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東京通信 Research Memo(5):インターネット広告市場の成長により主力事業が好調

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2021年12月期業績の概要
東京通信<7359>の2021年12月期業績は、売上高が4,731百万円(前期比93.2%増)、営業利益が465百万円(同21.4%増)、経常利益が424百万円(同14.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が202百万円(同4.7%増)、EBITDAが707百万円(同79.1%増)となった。主力のインターネットメディア事業で、ハイパーカジュアルゲームアプリについて米国を中心としたグローバル展開を強化し、運用本数の増加による成長を推進した。グローバル戦略が奏功した格好となって、大幅な増収と2ケタ増益を達成した。プラットフォーム事業では、同社グループの広告運用手法やSEO対策の強化を図ることで「カリス」の認知度向上や、新規会員獲得の取り組みを強化した。

2. 事業セグメント別動向
1) インターネットメディア事業
セグメント別の売上高では、インターネットメディア事業の売上高が3,278百万円(前期比56.1%増)、セグメント利益が678百万円(同41.2%増)だった。アプリ1本当たりの売上高は減少したが、運用本数が増加し、国内向けカジュアルゲームアプリによる売上高は1,014百万円(同3.4%増)となった。ハイパーカジュアルゲームアプリ(国内及び海外のハイパーカジュアルゲームアプリと海外向けカジュアルゲームアプリの合計)は、2020年11月から本格的に運用開始した「Save them all」が1年を通じて好調を維持し、2021年リリースのタイトルである「Stop the flow!」や「Make Expression」等も海外ユーザーの新規獲得に加えて、国内ユーザーの利用も拡大し、好調に推移している。この結果、売上高は2,144百万円(同110.7%増)となった。このほか、期間経過により収益性が低下したアプリ等で広告出稿せずに自然流入のみでユーザーを獲得し、広告収入を得ているアプリからの収入(ストック収入)等による売上高は118百万円(同18.6%増)となった。

売上原価が100百万円から500百万円、販売費及び一般管理費が1,900百万円から3,700百万円に急激に増加している点については、前期以前まで同事業の売上は日本の国内向けで占められていたが、市場をより大きなグローバル市場へと移し、リソースをグローバルのハイパーカジュアルに移管するなどで、広告費用やリソース配分のための費用が増加したことが要因である。

国内市場がほぼすべてであった数年前からは変化して、国内市場は引き続き継続的に成長させつつ、国内ドメイン以上の規模にグローバル領域を別ドメインとしてアドオンした形となっている。この結果、アプリ市場で成長を続けている状況である。

2) プラットフォーム事業
プラットフォーム事業の売上高は1,273百万円、セグメント利益は182百万円となった。プラットフォーム事業は2021年12月期第2四半期から事業化したため、前期との比較はない。有料での相談、診断のサービスを提供する電話占い「カリス」を中心とする事業で、実績のある約200名の鑑定師が、毎月2万2,000件ほどの電話鑑定を安定的に実施する。新規ユーザー獲得の効率化などが奏功し、黒字を確保している。

3) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高は161百万円(前期比50.9%減)、セグメント利益は51百万円(同78.7%減)となった。主要広告主及びアフィリエイターとのリレーションを深め、ウェブマーケティングによるアフィリエイト広告に加えて、運用型広告によるアプリマーケティングへの取り組みを強化した。同事業は代理店業であるが、ほとんどがノンインセンティブ型の成果報酬、いわゆるアフィリエイト、運用型の広告での実績である。減益の要因としては、巣ごもり需要によるVOD関連の特需が落ち着いたことによる冷え込みが挙げられる。2022年12月期は、新規顧客開拓の営業への注力で収益水準が以前のベースに回復することを見込む。

4) その他の事業
その他の事業の売上高は18百万円(前期比13.3%減)、セグメント損失は112百万円(前期は30百万円の損失)となった。主要な売上は、スキルオン事業のオンラインフィットネスサービスとソリューションセールス事業のOA機器の販売代理によるものである。これまでオフラインが主流であったフィットネスサービスを、場所や時間の制約がないオンラインにDX(デジタルトランスフォーメーション)化して、SNSで影響力のあるインフルエンサーと企画からサービスの運営、収益面のサポートまで共同で取り組んだため、販売費及び一般管理費は、新規事業のための開発費、人件費等が増加した。

スキルオン事業では、ファンビジネスのDX支援に取り組み、インフルエンサーとの協力を中心に、サブスクリプション型の課金サービスを展開する際に必要なITソリューションの開発、提供、またはコンテンツ生成、サポート管理、運用そのもののサービス提供を行う。システムの貸し出しやその場だけの提供ではなく、ツールやコンテンツによって、サービス運営自体がよりよいものとなるように総合的なサポートをするという方針で取り組んでいる。また、新規事業のキーワードは、広告収益ではなく「課金ビジネスの創出」であり、今後は、同社が培ってきたCtoCサービスでの経験値やマーケティングを生かしていくことが可能である。

3. 財務状況と経営指標
2021年12月期末における財政状態は、資産が4,004百万円(前期末比170.8%増)、負債が2,869百万円(同424.4%増)、純資産が1,134百万円(同21.8%増)となった。

資産の主な増加要因は、2021年4月1日にティファレトの全株式を取得したことによるのれん751百万円、顧客関連資産557百万円及び商標権813百万円が増加したこと、新規連結に伴う現金及び預金219百万円が増加したことによるものである。

負債の主な増加要因は、ティファレトの全株式取得のための借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が1812百万円及び繰延税金負債が473百万円増加したことによるものである。純資産の主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が202百万円増加したことが挙げられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 大川 勇一郎)




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