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ネクスグループ Research Memo(5):2021年11月期業績は親会社株主に帰属する当期純利益が黒字転換で着地

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2021年11月期業績の概要
ネクスグループ<6634>の2021年11月期の連結業績は、売上高が4,848百万円(前期比26.1%減)、営業損失が208百万円(前期は620百万円の損失)、経常損失が133百万円(同597百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が303百万円(同1,361百万円の損失)となった。なお、(株)カイカエクスチェンジホールディングス(旧 (株)Zaif Holdings)などの株式売却に伴う特別利益によって、親会社株主に帰属する当期純損益は黒字転換した。

トピックスとしては、戦略的注力領域であるIoT関連事業をさらに強化するために、2021年3月にネクスの株式の49%をCAICA(現 CAICA DIGITAL)<2315>より取得し、完全子会社化した。また、11月より事業構造改革を実施しており、慢性的な営業損失の解消と財務基盤の強化を図っている。

セグメント別の業績について、IoT関連事業に関しては、コロナ禍対策として在宅勤務などのテレワーク導入企業増加に伴い通信端末の販売が伸長した一方で、世界的な部品調達の大幅な遅れや、コロナ禍による先行き不透明感からM2M分野で設備投資が抑制された影響や、コロナ禍対策が優先となったことによる医療機関への機器導入の延伸などの影響により、計画を下回る結果となった。また、インターネット旅行事業及びブランドリテールプラットフォーム事業に関しては、期を通してコロナ禍の影響を受け、減収となった。

2. セグメント別動向
(1) IoT関連事業
IoT関連事業の売上高は581百万円(前期比57.2%減)、営業損失は102百万円(前期は204百万円の利益)となった。既存製品では、USB型 LTE/3G データ通信端末「UX302NC-R」が(株)NTTドコモの相互接続性試験をクリアしたことにより、NTTドコモの取扱製品として同社製品サイトに掲載されるとともに全国のドコモショップ・オンラインショップにて販売されたことにより、売上が増加している。また、2020年12月には、文部科学省が教育改革案として推奨している学校のICT化「GIGAスクール構想」における「1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する5年間の計画」に標準仕様として提示されているGoogle Chrome OSを搭載したコンピュータ「Chromebook」に対応する機能の追加バージョンをリリースした。

農業ICT事業(NCXX FARM)では、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」と、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」のパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」の事業化を推進した。「6次産業化事業」では、2018年より販売を開始したスーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)の専用のサイトを設け、青果に加えて加工品の「GOLDEN BERRYアイス」の販売を開始した。2021年9月には、「GOLDEN BERRYアイス」を専用のギフトボックスに入れたセット商品「GOLDEN BERRYアイスギフト」の販売を開始し、本社のある岩手県花巻市のふるさと納税の返礼品としても採用された。また、GOLDEN BERRYを原材料としたフレッシュ・リキュールの販売も開始している。

フランチャイズ事業では、自社試験圃場での栽培実績をもとに、独自の特許農法(多段式ポット)とICTシステムの提供に加えて、顧客の要望に沿った多種多様な農法・システム・農業関連製品を提供する農業総合コンサルティングサービスを展開している。2021年3月には、(一社)全国農業経営専門会計人協会(農専会)と業務提携契約を締結し、双方の強みを生かした総合的なコンサルティングサービスの提供を目指している。

(2) インターネット旅行事業
インターネット旅行事業の売上高は151百万円(前期比75.8%減)、営業損失は165百万円(前期は140百万円の損失)となった。期を通してコロナ禍の影響を大きく受けたものの、固定費の割合が小さいビジネスモデルであるため、減収幅に対して損失は最小限にとどめた。

イー・旅ネット・ドット・コム及びその子会社では、コロナ禍の影響が長引き、海外旅行需要の回復が見られないなか、継続的に国内旅行に注力した。しかしながら、度重なる緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の発出により、国内旅行の需要が大幅に減少し、売上高も大きく減少した。一方で、自治体向けの情報提供サービスを開始したところ、26の自治体の登録があり115の国内観光情報が掲載された。

ウェブトラベルでは、獲得コストの高いリスティング広告以外からの集客をするため、積極的なSNSでの発信や外部企業との業務提携を進めた。また、顧客とのコミュニケーションツールとしてチャットを積極的に活用し、リアルタイムのやり取りを実現できるように社内環境を整えた。

グロリアツアーズでは、東京パラリンピックが無観客開催となったことにより観戦ツアーを主催することはできなかったものの、東京パラリンピックに向けた国内の強化合宿と海外遠征が全体の売上に貢献した。また、フランス語留学においては、2020年に引き続き国内でのスクーリング授業の開催や現地とのオンライン留学、大学単位でのオンラインセミナーを開催し、2022年11月期の留学研修につなげることができた。

(3) ブランドリテールプラットフォーム事業
ブランドリテールプラットフォーム事業の売上高は3,367百万円(前期比25.8%減)、営業損失は399百万円(前期は364百万円の損失)となった。

チチカカは、店舗事業では2021年11月期に11店舗閉店した結果、2021年10月末時点で61店舗(2020年10月末時点で72店舗)体制、EC事業では8店舗体制となった。前期に引き続き、不採算店舗の閉店や人員体制の見直しなどによる構造改革を進めている。店舗事業に関しては、コロナ禍の影響を大きく受け、売上計画比89%となった。2021年11月期は、2020年11、12月及び2021年9、10月を除くすべての期間で緊急事態宣言が発出されており、特にチチカカが出店するモールへの来店減少が直接店舗客数減少につながり、売上減少の最も大きな要因となった。また、オンライン事業に関しては、前期の緊急事態宣言の影響による売上伸長の揺り戻しの影響で、計画比81%となった。

(4) 暗号資産・ブロックチェーン事業
暗号資産・ブロックチェーン事業の売上高は735百万円(前期は30百万円)、一部暗号資産の売却を行ったことにより、営業利益は733百万円(同18百万円の利益)となった。暗号資産市場の動向と資金効率を踏まえた安定的な運用を行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)




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