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ADワークスグループ Research Memo(7):収益不動産残高の積み上げに注力し、開発事業も強化方針(2)

注目トピックス 日本株
■中期経営計画

(2) “脱”不動産事業を具現化する施策
a) 持株会社体制の活用
ADワークスグループ<2982>は今後の成長に向けて、迅速な経営判断による積極的なM&A、資本提携、業務提携等を推進していくこと、リスクを取った“攻め”と、手堅く堅実な“守り”を同時に追求していくこと、時代を先取りした人事制度・報酬制度を導入していくこと等を目的に、2020年4月に持株会社体制に移行した。

2021年5月には「第1次中期経営計画」を策定し、個人投資家向けのオンラインIR説明会や株主総会のオンデマンド配信を実施するなど、コーポレートコミュニケーションの取り組み強化も図った。今後は既存事業の深化と新規事業の探索の実現を目指すべく、CVC事業を強化推進し、その延長としてM&Aも積極的に検討していく意向となっている。また、2022年1月にCG委員会を設置し、指名・報酬に関するガバナンス強化にも取り組んでいる。

b) CVC事業の活用
2020年12月にCVC事業への進出を決定し、子会社のエンジェル・トーチにて取り組みを進めている。事業開始以降、不動産テック、FinTech、DX等の様々な領域にわたる80社超のベンチャー企業の投資案件を検討し、このうち2件について投資を実行している。第1号案件として、資産形成ニーズのある個人と全国のファイナンシャル・プランナーをマッチングさせるデジタルプラットフォーム事業を展開する(株)クロス・デジタル・イノベーションに2021年4月に出資(50百万円)しており、第2号案件についてもエネルギー関連のデータを収集分析・活用するIT系のベンチャー企業に出資したもようだ。

同社では今後も既存事業の「深化」と同時に、新規案件の「探索」をCVC事業で追求し、イノベーションを可能にする戦略を推進していく。“脱”不動産事業で収益の柱を育成し、不動産事業とのシナジーを効かせていくことで、5年後に全体の収益の約3割を“脱”不動産事業等で占めるよう、今後もCVC事業については積極的に取り組んでいく予定だ。

(3) 共通施策
a) クラウドファンディングの活用
資金調達手段として、今後はエクイティ・ファイナンスよりもDebtを活用して成長資金を調達する方針を打ち出しており、そのなかでクラウドファンディングも積極的に活用し始めている。2021年12月期は福岡の「(仮称)大名2丁目オフィス」プロジェクトの開発資金として約5億円を調達したほか、運転資金等も含めて合計約9億円をクラウドファンディングで調達した。

同社では「超過利潤の獲得」「ROEの向上」に向けて、今後もクラウドファンディンを柔軟かつ積極的に活用していくほか、金融機関からの借入れも含めてDebt性の資金を積極活用し、収益不動産の購入やCVC事業の資金に充当していく方針としている。

b) フィービジネスなどノンアセット事業の強化・探索
ノンアセット事業では、業容拡大に比例して管理物件棟数、オーナーとのリレーション数、売買物件情報量が増加するため、売買仲介やPM、リノベーション工事等のフィービジネスのチャンスも乗数効果を伴って増加していくことが期待される。

事業会社のうち、PM業務を展開するエー・ディー・パートナーズや、バリューアップ工事を行うエー・ディー・デザインビルドについては、バリューチェーンの強化において存在感を発揮する一方で、フィー収入を基本とするビジネスモデルとなるため資本効率が相対的に高く、両社の収益力を強化することで全体の資本効率も向上していくものと見ている。

2021年12月期においてはオフィスビルに対応したPM業務の体制を構築するなど投資が先行する格好となったが、体制構築もほぼ一巡し、今後はREIT事業や開発事業等の規模拡大等にも対応する格好で、フィー収入が増加し収益性も向上していくものと見込まれる。

また、2022年4月には澄川工務店とエー・ディー・デザインビルドの合併を決定しており、両社の経営リソースとノウハウを融合することで、グループ外の受注案件を獲得し、建築・工事事業の規模をさらに拡大していく戦略だ。

(4) SDGsの取り組み
SDGsに関する同社の取り組み事例について、「環境」に関しては収益不動産物件のリノベーション施工時におけるエコ素材の使用や廃材のリサイクルなど、環境負荷を低減する活動を行っている。また、「社会」への取り組みでは住宅価格が高騰するハワイにおいて、手頃な価格で提供できる賃貸住宅の開発に着手しており、開発事業を通じた社会貢献に取り組んでいる。「ガバナンス」への取り組みでは、2021年10月にサステナビリティ委員会を、2022年1月にCG委員会を設置し、引き続きガバナンス体制の強化を図っており、今後もサステナビリティへの取り組みを継続していく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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