巴川紙 Research Memo(4):2022年3月期第3四半期の連結業績は10.8%増収、営業利益は黒字転換
[22/03/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2022年3月期第3四半期の連結業績概要
巴川製紙所<3878>の2022年3月期第3四半期の連結業績は売上高24,254百万円(前年同期比10.8%増)、営業利益1,641百万円(同681百万円の損失)、経常利益1,992百万円(同513百万円の損失)、親会社株主に帰属する当純利益1,458百万円(同1,478百万円の損失)と、急回復した。全体を通じて、電子材料が半導体向け中心に好調持続、トナーはコロナ禍からの回復、利益面では売上高の大幅回復に製品MIX良化と構造改革効果、さらに円安効果から大幅な利益回復となった。
四半期での収益推移では前年同期との比較で第1四半期が6.9%増収、営業利益427百万円(前年同期は438百万円の損失)、第2四半期が17.6%増収、営業利益624百万円(前年同期は427百万円の損失)、第3四半期が8.3%増収、営業利益590百万円(3.2倍)と、四半期推移でも収益の回復が継続している。
2. セグメント別業績
セグメント別では、トナー事業は売上高9,042百万円(前年同期比27.0%増)、営業利益871百万円(前年同期は477百万円の損失)となった。売上面では、コロナ禍の影響による反動増に加え、リモートワーク拡大でパーソナルでのプリント需要が拡大するなどの効果もあり、増収を確保した。利益面では米国トナー工場閉鎖に伴う固定費圧縮効果、国内工場の生産量増加、円安効果も加わり営業利益が大幅な黒字転換となった。なお、収益認識会計基準等を適用したことによる影響額が895百万円あり、従来の基準による売上高は9,937(前年同期比39.6%増)となり、増収効果による増益が大きい。
電子材料事業は売上高4,566百万円(前年同期比14.2%増)、営業利益829百万円(同162.5%増)となった。光学フィルム関連はスマートフォン向け光学フィルム案件が季節的に第2四半期でピークアウトとなるも、半導体関連事業もレガシー半導体などの繁忙もありポリイミド製静電チャックなどが引き続き好調を維持した。また、自動車産業向けにもEV化や自動運転など車載半導体の拡大により信頼性の高いQFPパッケージ需要が増加するなか、同社の「リードフレーム固定テープ」も好調で、販売数量の急回復が続いた。営業利益面でも数量増効果、MIX良化で営業利益は大幅増益となった。なお、収益認識会計基準等を適用した影響額は292百万円であり、従来の基準による売上高は4,858百万円(前年同期比21.5%増)と、こちらも増収効果による増益が大きい。
機能紙事業は売上高7,547百万円(前年同期比1.6%増)、営業損失は79百万円(同354百万円の損失縮小)となった。コロナ禍からの市況回復が見られたものの、洋紙事業や磁気乗車券販売等の既存事業縮小が止まらずほぼ同期並みの売上高となった。一方、利益面では2019年12月に実施した7号抄紙機の停機効果など構造改革効果で損失が縮小した。なお2022年3月に向けた9号抄紙機停機に向けた在庫の積み増しによる生産増も寄与している。収益認識会計基準等を適用したことによる影響額は163百万円であり、従来の基準による売上高は7,711百万円(前年同期比3.8%増)となっている。
セキュリティメディア事業は、売上高は2,930百万円(前年同期比8.5%減)、営業利益225百万円(前年同期比94.0%増)となった。証書類で特需による販売増加があったものの、カード関連、通帳類等主要製品の需要が引き続き停滞した。利益面では特需効果が寄与した。収益認識会計基準等を適用したことによる影響額は15百万円と影響額は軽微であった。なお、第1四半期より日本カード(株)が連結対象から外れた影響は売上高で259百万円減、営業利益は20百万円改善となった。
新規開発事業は売上高65百万円(前年同期比47.9%増)、営業損失328百万円(同51百万円の損失拡大)となった。なお同事業の売上は、試作、テスト需要に限定され、量産化の後は各事業の売上、利益に含まれることになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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1. 2022年3月期第3四半期の連結業績概要
巴川製紙所<3878>の2022年3月期第3四半期の連結業績は売上高24,254百万円(前年同期比10.8%増)、営業利益1,641百万円(同681百万円の損失)、経常利益1,992百万円(同513百万円の損失)、親会社株主に帰属する当純利益1,458百万円(同1,478百万円の損失)と、急回復した。全体を通じて、電子材料が半導体向け中心に好調持続、トナーはコロナ禍からの回復、利益面では売上高の大幅回復に製品MIX良化と構造改革効果、さらに円安効果から大幅な利益回復となった。
四半期での収益推移では前年同期との比較で第1四半期が6.9%増収、営業利益427百万円(前年同期は438百万円の損失)、第2四半期が17.6%増収、営業利益624百万円(前年同期は427百万円の損失)、第3四半期が8.3%増収、営業利益590百万円(3.2倍)と、四半期推移でも収益の回復が継続している。
2. セグメント別業績
セグメント別では、トナー事業は売上高9,042百万円(前年同期比27.0%増)、営業利益871百万円(前年同期は477百万円の損失)となった。売上面では、コロナ禍の影響による反動増に加え、リモートワーク拡大でパーソナルでのプリント需要が拡大するなどの効果もあり、増収を確保した。利益面では米国トナー工場閉鎖に伴う固定費圧縮効果、国内工場の生産量増加、円安効果も加わり営業利益が大幅な黒字転換となった。なお、収益認識会計基準等を適用したことによる影響額が895百万円あり、従来の基準による売上高は9,937(前年同期比39.6%増)となり、増収効果による増益が大きい。
電子材料事業は売上高4,566百万円(前年同期比14.2%増)、営業利益829百万円(同162.5%増)となった。光学フィルム関連はスマートフォン向け光学フィルム案件が季節的に第2四半期でピークアウトとなるも、半導体関連事業もレガシー半導体などの繁忙もありポリイミド製静電チャックなどが引き続き好調を維持した。また、自動車産業向けにもEV化や自動運転など車載半導体の拡大により信頼性の高いQFPパッケージ需要が増加するなか、同社の「リードフレーム固定テープ」も好調で、販売数量の急回復が続いた。営業利益面でも数量増効果、MIX良化で営業利益は大幅増益となった。なお、収益認識会計基準等を適用した影響額は292百万円であり、従来の基準による売上高は4,858百万円(前年同期比21.5%増)と、こちらも増収効果による増益が大きい。
機能紙事業は売上高7,547百万円(前年同期比1.6%増)、営業損失は79百万円(同354百万円の損失縮小)となった。コロナ禍からの市況回復が見られたものの、洋紙事業や磁気乗車券販売等の既存事業縮小が止まらずほぼ同期並みの売上高となった。一方、利益面では2019年12月に実施した7号抄紙機の停機効果など構造改革効果で損失が縮小した。なお2022年3月に向けた9号抄紙機停機に向けた在庫の積み増しによる生産増も寄与している。収益認識会計基準等を適用したことによる影響額は163百万円であり、従来の基準による売上高は7,711百万円(前年同期比3.8%増)となっている。
セキュリティメディア事業は、売上高は2,930百万円(前年同期比8.5%減)、営業利益225百万円(前年同期比94.0%増)となった。証書類で特需による販売増加があったものの、カード関連、通帳類等主要製品の需要が引き続き停滞した。利益面では特需効果が寄与した。収益認識会計基準等を適用したことによる影響額は15百万円と影響額は軽微であった。なお、第1四半期より日本カード(株)が連結対象から外れた影響は売上高で259百万円減、営業利益は20百万円改善となった。
新規開発事業は売上高65百万円(前年同期比47.9%増)、営業損失328百万円(同51百万円の損失拡大)となった。なお同事業の売上は、試作、テスト需要に限定され、量産化の後は各事業の売上、利益に含まれることになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)
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