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SBSHD Research Memo(4):物流事業はM&A効果と企業間物流の回復により大幅増収増益に

注目トピックス 日本株
■SBSホールディングス<2384>の業績動向

2. 事業セグメント別の動向
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比57.1%増の378,335百万円、営業利益は同159.5%増の15,546百万円となった。このうち、SBS東芝ロジスティクスの業績寄与は売上高で111,410百万円、営業利益で6,558百万円となり増収増益要因の大半を占めたが、同要因を除いても売上高は同10.8%増の266,925百万円、営業利益は同59.4%増の10,519百万円といずれも過去最高(売上高は2020年12月期の240,818百万円、営業利益は2019年12月期の6,278百万円)を大きく更新した点は評価できる。特に企業間物流の回復とグループ間連携の効果によりSBSリコーロジスティクスの業績が伸長したほか、EC需要の取り込みによりSBS即配サポートの業績も好調に推移した。

SBS東芝ロジスティクスを除いた増収要因について見ると、企業間物流量の増加や新規顧客開拓、料金適正化等で104億円、新規物流拠点開設の効果で23億円、海上運賃・航空運賃の高騰により83億円、その他のM&A※による効果で51億円となった。このうち、新規物流拠点としては、2021年10月にSBSリコーロジスティクスの「物流センター横浜金沢」(横浜市、延床面積:16,200坪)をオープンしている。

※2021年1月に東洋運輸倉庫(株)、同年4月に旭新運輸開発(株)、(株)日ノ丸急送、同年7月に(株)ジャスを子会社化した。


一方、営業利益の増減要因を見ると、増益要因としてSBS東芝ロジスティクスの寄与で6,558百万円、企業間物流の増加及び新規顧客開拓等で2,827百万円、料金の適正化で617百万円、その他経費の削減等で1,073百万円となり、減益要因として新規物流拠点立ち上げ費用で150百万円、のれん償却等の増加で923百万円、軽油単価の高騰で447百万円となった。なお、軽油の平均仕入価格は前期の84円/Lから103円/Lに上昇し、1円/Lの上昇で年間約25百万円の減益要因となっている。

(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比82.3%増の17,043百万円、営業利益は同39.0%増の6,333百万円となった。このうち、開発事業は売上高で前期比107.2%増の14,855百万円、営業利益で同53.0%増の5,058百万円と大幅な増収増益となった。2021年5月に「南港物流センター」(大阪市:延床面積18,500坪)の信託受益権を一括で譲渡したことによる。一方、賃貸事業は売上高で同0.4%増の2,188百万円、営業利益で同1.7%増の1,274百万円となった。

(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比15.4%増の8,106百万円、営業利益は同71.0%増の435百万円となった。前期にコロナ禍の影響で落ち込んでいた人材派遣事業がEC関連の受注増により売上高で同20.2%増の4,432百万円、営業利益で65百万円(前期は138百万円の損失)と回復したことが主因だ。また、太陽光発電事業も発電量の増加により売上高で同2.8%増の448百万円、営業利益で同13.1%増の198百万円となった。一方、マーケティング事業は売上高で同11.6%増の1,918百万円と増収基調が続いたものの、営業利益は人材投資を実施したことにより同6.1%減の124百万円と減益に転じ、環境事業他も売上高で同10.7%増の1,306百万円、営業利益で同45.2%減の46百万円となった。


収益拡大により財務内容も改善、資産の効率性も向上

3. 財務状況と経営指標
2021年12月期末の財務状況について、総資産は前期末比22,646百万円増加の277,197百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が3,743百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が7,366百万円増加したほか、物流倉庫建設のための土地取得等によりたな卸資産が9,189百万円増加した。固定資産ではM&Aの実行によりのれんが988百万円増加したほか、投資有価証券が1,232百万円、本社移転に伴い差入保証金が1,577百万円増加した。

負債合計は前期末比10,085百万円増加の196,489百万円となった。有利子負債が2,993百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金が3,365百万円、未払金及び未払費用が3,470百万円、未払法人税等が676百万円、繰延税金負債が2,180百万円それぞれ増加した。純資産は前期末比12,561百万円増加の80,707百万円となった。利益剰余金が9,400百万円増加したほか、非支配株主持分が2,645百万円増加した。

経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は前期末の19.9%から21.9%と若干上昇し、ネットDEレシオが1.39倍から1.19倍に低下するなど収益拡大により財務内容の改善が進んだ。また、効率性指標を見ても前期末はSBS東芝ロジスティクスの資産のみ計上したことで低下した格好となったが、2021年12月期末は業績面にも反映されたことで、ROA、ROE、総資産回転率ともに上昇し、2010年12月期以降ではいずれの数値も最高水準を更新している。なお、同社は自己資本比率について30%を目標としている。現在の水準とはまだ乖離があるものの、M&Aによるシナジー創出や「IT×LT」の導入等によって持続的に収益を拡大することで、達成を目指していく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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