アイエスビー Research Memo(2):1970年設立のITシステム開発会社、事業領域の拡大とM&A戦略で成長
[22/03/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 沿革
アイ・エス・ビー<9702>は1970年、汎用系及び業務系のシステム開発・運用を手掛ける情報サービス事業を目的に、(株)インフォメイション・サービス・ビューローとして設立され、その後はソフトウェアの自社開発、受託開発、システム構築(SI)を中心に業容を拡大していった。
1980年代にアナログ交換機の開発を手掛けていた縁でNEC<6701>の自動車電話開発プロジェクトに参画、そこでソフトウェア開発力が評価され「モバイルのISB」という評価を確立した。その後90年代には携帯電話の開発にも多く携わるようになり、モバイル関連を主要な事業ドメインとして成長しながら、組込みソフトウェア開発やネットワークシステムの構築・保守・運用サービスなどその他の領域にも事業展開していった。
2003年にはベトナムにオフショア拠点としてISB Vietnamを設立。2010年代に入るとM&Aを成長戦略の一つとして掲げ積極的に推進していく。これまでの軌跡をたどると、2012年にソフトウェア開発のノックスデータ(株)を子会社化したのを皮切りに、2014年に(株)札幌システムサイエンス、2015年に(株)インフィックス、2017年に(株)アート、2019年にコンピュータハウス(株)並びにテイクスを相次いで子会社化した。なお、インフィックスは、2019年1月に札幌システムサイエンスと合併し(札幌システムサイエンスが存続会社)、社名を(株)スリーエスに変更している。
株式市場には1990年に店頭登録を行い、株式公開を果たした。その後2004年のジャスダック上場、2008年の東証2部上場を経て、2015年3月に東証1部に上場を果たした。また、2022年4月に予定されている東京証券取引所の市場区分見直しでは、「プライム市場」を選択することを決定し、今後も高いガバナンス水準を維持し持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでいく方針を明らかにしている。
情報サービス事業が主力事業、子会社でセキュリティシステム事業を展開
2. 事業内容
同社はソフトウェア受託開発からシステム構築・保守・運用などの情報サービス事業と、入退室管理システムを手掛けるアート及びその子会社のアートサービス(株)によるセキュリティシステム事業の2つの事業セグメントで情報を開示している。売上高、営業利益ともに情報サービス事業が80%以上で主力事業となっているが、ここ数年間の構成比に大きな変動はなく、両事業ともに成長が続いている。
また、同社はICT市場の環境変化に対応した成長を実現すべく2021年12月期より新たな中期経営計画をスタートしており、そのなかで分野別売上高を従来の8分野から4分野に再編・統合を行っている。具体的には従来の「携帯端末」「モバイルインフラ」、そして「組込み」のうち“車載”に関する事業を「モビリティソリューション」とし、「組込み」のうち“車載以外の組込み開発”と「業務システム」に関する事業分野を「ビジネスインダストリーソリューション」とした。また、「金融」「公共」「フィールド・サービス※」に関する事業分野を「エンタープライズソリューション」に統合した。「プロダクト事業」については名称だけを「プロダクトソリューション」に変更している。
※フィールド・サービスとは、ネットワーク/サーバの構築支援やシステムの保守・運用サービスのこと。
2021年12月期の分野別売上構成比について見ると、「モビリティソリューション」が18.9%、「ビジネスインダストリーソリューション」が34.1%、「エンタープライズソリューション」が29.6%、「プロダクトソリューション」が17.4%となっている。複数のM&Aを実施した2019年12月期以降は構成比率に大きな変化は見られない。なお、「プロダクトソリューション」の売上高の大半はアートで展開する入退室管理システムやクラウドサービス型のアクセスコントロールプラットフォーム「ALLIGATE(アリゲイト)」等のセキュリティシステム事業で占められるが、そのほかにも同社が開発したMDM(モバイルデバイス管理)システム「VECTANT SDM」や、DICOM※対応ソフトウェア「L-Share」などが含まれる。
※医療用検査装置(CT装置やMRI装置等)で撮影した画像のフォーマットと、それらを扱う医用画像機器間の通信プロトコルを定義した国際標準規格。
なお、主な子会社の概要を見ると、ISB Vietnamはオフショア拠点としてベトナム(ホーチミン市)に設立され、現在、売上高の90%以上を同社グループからの受注案件で占めている。また、アイ・エス・ビー東北、スリーエス、コンピュータハウスは独自で受注活動を行っているほか、同社がニアショア拠点としても活用しており、ニアショア売上比率は20%前後となっている。ノックスデータは東京、名古屋に拠点を置き、組込みや情報通信分野のソフトウェア開発などを主軸に展開している。
テイクスは大手Sierをはじめ多数のIT企業を顧客に持ち、首都圏を中心にサテライトオフィスを含め11拠点を展開しており、子会社のなかではアートと並ぶ事業規模である。システムの設計・開発・運用・保守などを行っており、事業分野としては「エンタープライズソリューション」のほか、「ビジネスインダストリーソリューション」に含まれる。
アートは入退室管理システムのパイオニアとして知られており、オフィスビルや商業施設、公共施設など幅広い分野で同社のシステムが導入されている。子会社のアートサービスも含めて、セキュリティシステムの提案・設計・施工・保守・メンテナンスまでを一括して提供している。また、2017年にはクラウド型アクセスコントロールプラットフォーム「ALLIGATE」を開発した。初期費用無料で月額利用料を得るストック型ビジネスであり、法人向けクラウド型入退室管理システムでは国内トップクラスとなっている。また、2020年5月から新型コロナウイルス感染症の予防対策として、AI搭載サーマルカメラの販売を開始したほか、2021年12月には新たな働き方に対するニーズに応えるため、個室型ワーキングブース「ZeneBooth(ゼネブース)」の販売を開始するなど、製品ラインナップの拡充を図っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 沿革
アイ・エス・ビー<9702>は1970年、汎用系及び業務系のシステム開発・運用を手掛ける情報サービス事業を目的に、(株)インフォメイション・サービス・ビューローとして設立され、その後はソフトウェアの自社開発、受託開発、システム構築(SI)を中心に業容を拡大していった。
1980年代にアナログ交換機の開発を手掛けていた縁でNEC<6701>の自動車電話開発プロジェクトに参画、そこでソフトウェア開発力が評価され「モバイルのISB」という評価を確立した。その後90年代には携帯電話の開発にも多く携わるようになり、モバイル関連を主要な事業ドメインとして成長しながら、組込みソフトウェア開発やネットワークシステムの構築・保守・運用サービスなどその他の領域にも事業展開していった。
2003年にはベトナムにオフショア拠点としてISB Vietnamを設立。2010年代に入るとM&Aを成長戦略の一つとして掲げ積極的に推進していく。これまでの軌跡をたどると、2012年にソフトウェア開発のノックスデータ(株)を子会社化したのを皮切りに、2014年に(株)札幌システムサイエンス、2015年に(株)インフィックス、2017年に(株)アート、2019年にコンピュータハウス(株)並びにテイクスを相次いで子会社化した。なお、インフィックスは、2019年1月に札幌システムサイエンスと合併し(札幌システムサイエンスが存続会社)、社名を(株)スリーエスに変更している。
株式市場には1990年に店頭登録を行い、株式公開を果たした。その後2004年のジャスダック上場、2008年の東証2部上場を経て、2015年3月に東証1部に上場を果たした。また、2022年4月に予定されている東京証券取引所の市場区分見直しでは、「プライム市場」を選択することを決定し、今後も高いガバナンス水準を維持し持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでいく方針を明らかにしている。
情報サービス事業が主力事業、子会社でセキュリティシステム事業を展開
2. 事業内容
同社はソフトウェア受託開発からシステム構築・保守・運用などの情報サービス事業と、入退室管理システムを手掛けるアート及びその子会社のアートサービス(株)によるセキュリティシステム事業の2つの事業セグメントで情報を開示している。売上高、営業利益ともに情報サービス事業が80%以上で主力事業となっているが、ここ数年間の構成比に大きな変動はなく、両事業ともに成長が続いている。
また、同社はICT市場の環境変化に対応した成長を実現すべく2021年12月期より新たな中期経営計画をスタートしており、そのなかで分野別売上高を従来の8分野から4分野に再編・統合を行っている。具体的には従来の「携帯端末」「モバイルインフラ」、そして「組込み」のうち“車載”に関する事業を「モビリティソリューション」とし、「組込み」のうち“車載以外の組込み開発”と「業務システム」に関する事業分野を「ビジネスインダストリーソリューション」とした。また、「金融」「公共」「フィールド・サービス※」に関する事業分野を「エンタープライズソリューション」に統合した。「プロダクト事業」については名称だけを「プロダクトソリューション」に変更している。
※フィールド・サービスとは、ネットワーク/サーバの構築支援やシステムの保守・運用サービスのこと。
2021年12月期の分野別売上構成比について見ると、「モビリティソリューション」が18.9%、「ビジネスインダストリーソリューション」が34.1%、「エンタープライズソリューション」が29.6%、「プロダクトソリューション」が17.4%となっている。複数のM&Aを実施した2019年12月期以降は構成比率に大きな変化は見られない。なお、「プロダクトソリューション」の売上高の大半はアートで展開する入退室管理システムやクラウドサービス型のアクセスコントロールプラットフォーム「ALLIGATE(アリゲイト)」等のセキュリティシステム事業で占められるが、そのほかにも同社が開発したMDM(モバイルデバイス管理)システム「VECTANT SDM」や、DICOM※対応ソフトウェア「L-Share」などが含まれる。
※医療用検査装置(CT装置やMRI装置等)で撮影した画像のフォーマットと、それらを扱う医用画像機器間の通信プロトコルを定義した国際標準規格。
なお、主な子会社の概要を見ると、ISB Vietnamはオフショア拠点としてベトナム(ホーチミン市)に設立され、現在、売上高の90%以上を同社グループからの受注案件で占めている。また、アイ・エス・ビー東北、スリーエス、コンピュータハウスは独自で受注活動を行っているほか、同社がニアショア拠点としても活用しており、ニアショア売上比率は20%前後となっている。ノックスデータは東京、名古屋に拠点を置き、組込みや情報通信分野のソフトウェア開発などを主軸に展開している。
テイクスは大手Sierをはじめ多数のIT企業を顧客に持ち、首都圏を中心にサテライトオフィスを含め11拠点を展開しており、子会社のなかではアートと並ぶ事業規模である。システムの設計・開発・運用・保守などを行っており、事業分野としては「エンタープライズソリューション」のほか、「ビジネスインダストリーソリューション」に含まれる。
アートは入退室管理システムのパイオニアとして知られており、オフィスビルや商業施設、公共施設など幅広い分野で同社のシステムが導入されている。子会社のアートサービスも含めて、セキュリティシステムの提案・設計・施工・保守・メンテナンスまでを一括して提供している。また、2017年にはクラウド型アクセスコントロールプラットフォーム「ALLIGATE」を開発した。初期費用無料で月額利用料を得るストック型ビジネスであり、法人向けクラウド型入退室管理システムでは国内トップクラスとなっている。また、2020年5月から新型コロナウイルス感染症の予防対策として、AI搭載サーマルカメラの販売を開始したほか、2021年12月には新たな働き方に対するニーズに応えるため、個室型ワーキングブース「ZeneBooth(ゼネブース)」の販売を開始するなど、製品ラインナップの拡充を図っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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