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酒井重 Research Memo(1):2022年3月期業績予想を上方修正も控え目な印象、さらなる上方修正の可能性も

注目トピックス 日本株
■要約

酒井重工業<6358>は道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカー。長い歴史を有し、国内シェアは70%超を誇るトップメーカーである。近年では北米や東南アジアを中心に海外市場の開拓に注力している。

1. 2022年3月期第3四半期の業績概要
2022年3月期第3四半期の連結業績※は、売上高が19,793百万円(前年同期比28.7%増)、営業利益が1,165百万円(同189.0%増)、経常利益が1,206百万円(同286.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が836百万円(前年同期は285百万円の損失)となった。前年同期は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響受けたことから、売上高、営業利益ともに前年同期比で大きく伸長したが、国内外市場ともに需要回復が本格化したことにより、予算に対しても上回る結果であった。また、地域別でも国内外ともに順調で、特に海外で想定以上に好調に推移した。

※2022年3月期の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しているが、2022年3月期第3四半期に与える影響はない。前年同期は非適用の数値である。


2. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の連結業績は、売上高で26,000百万円(前期比20.2%増)、営業利益で1,200百万円(同71.1%増)、経常利益で1,250百万円(同89.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で850百万円(前期は4百万円の利益)を見込んでいる。依然としてコロナ禍の影響が不透明であるものの、国内・海外ともに堅調に推移すると予想される。一方で、鋼材等の部材価格高騰やコンテナ運賃の高騰によるコスト増を見込んでおり、その多くが第4四半期の売上原価として計上予定であることから、慎重な見通しとなっている。しかし、営業利益は第4四半期(会計期間)に35百万円以上で達成するなど控えめな印象であり、利益予想がさらに上方修正される可能性もあると弊社では見ている。

3. 中長期の成長戦略
同社は、2021年6月に2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を発表している。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進する方針だ。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE(自己資本利益率)8%を実現し、安定的に配当性向50%(DOE(株主資本配当率)4%)を維持することを目指す。この方針に沿って、2022年3月期は配当性向100%(年間配当120円)を発表していたが、業績予想の上方修正に伴い配当基準を配当性向からDOEに変更し、年間配当を150.0円に増額することを発表した。業績がさらに上振れするようであれば、さらなる増配の可能性もあると弊社では見ている。このように、ROEの改善に向けて明白な資本政策を発表し、それに沿った株主還元を実行している同社の姿勢は、評価に値すると言える。

■Key Points
・長い歴史を有するロードローラのトップメーカーで国内シェアは70%超。海外シェアの拡大により成長を図る
・2022年3月期業績予想を上方修正したものの控え目な印象、さらなる上方修正の可能性も
・中期的な数値目標として、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)




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