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平山 Research Memo(9):2024年6月期に売上高400億円、営業利益率4%を目指す

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

3. 中期経営計画
平山ホールディングス<7781>は中期経営数値目標として、2024年6月期に売上高400億円、営業利益率4%の達成を目指している。売上高は今後3年間で年率20%成長となり、2024年6月期の事業セグメント別売上高は、インソーシング・派遣事業で292億円、技術者派遣事業で40億円、海外事業で25億円、その他事業で15億円、M&Aで28億円を計画している。また、営業利益は2021年6月期比で約3倍の16億円を目指す。

市場環境の前提として、コロナ禍の影響やウクライナ情勢等がリスク要因となるものの、これらの要因を除けば国内における製造請負・派遣、技術者派遣市場はともに安定成長が見込まれており、同社にとっても追い風が続くとの認識だ。こうしたなか同社は、成長戦略として以下の5つのポイントを重点施策として取り組んでいる。

(1) 新規事業と既存事業の融合による高付加価値サービスの創造
主力のインソーシング・派遣事業においては、製造現場の請負を中心に展開してきたがサービス領域を工場のインフラ部門やバックオフィス部門のほか、非製造業分野の流通・店舗運営部門へと領域を拡大していく。事業領域の拡大に当たっては、従来の強みである現場改善力に加えて、AIやIoT技術、RPAなどのITソリューションを組み合わせることで付加価値の高いサービスを提供し、競合他社との差別化を図っていく戦略だ。こうした取り組みにより新規顧客の開拓、並びに取引シェアを拡大し、事業規模を拡大していく。前述した日設工業への資本参加もこうした戦略の一環と位置付けることができる。

なお、付加価値サービスとして労働災害防止支援サービス「HAio(ハイオ)」の拡販にも取り組んでいる。同サービスは従業員の日々の体調などを出勤時にスマートフォンアプリの簡単な設問に回答することで把握し、日々蓄積されていくデータをAIで分析、変化を感知した際に管理者にアラートが通知され、従業員への面談を実施することで労災発生のリスクを軽減するシステムとなる。現在は、同社の請負現場を中心に登録者数が2,000名(前年同期は1,500名弱)まで増加している。導入ペースを加速していくため、今後は販売パートナーとの協業による拡販も検討しており、早期に1万人の達成を目指していく考えだ。月額利用料は1人当たり600円(税別)のため、1万人が登録すれば年間売上高は72百万円となる。そして、このなかからシステム開発企業に保守・メンテナンス費用などを支払うビジネスモデルとなっている。同ツールの収益への直接的な寄与は軽微だが、安全な職場環境づくりに取り組んでいることから新規顧客開拓の際のフック役として期待される。

(2) エンジニア派遣の領域拡大に伴う高付加価値人材の育成と多様な人材採用
大企業を中心にスマートファクトリー化に取り組む動きが増え始めており、製造現場でIoTやAI技術の導入が進むと同時に、こうした技術を活用できる専門のノウハウを持ったフィールドエンジニアの需要も増加傾向にある。このため、同社はフィールドエンジニア派遣についても強化していく計画で、人材採用については国内だけでなく、ミャンマーやベトナムの大学との連携により海外学生の採用も今後、積極的に進めていく予定だ。さらには、中小規模のエンジニア派遣会社のM&Aも視野に入れている。こうしたITソリューションを製造現場で上手く活用し、導入効果を高めていくためには、エンジニアだけでは難しく、製造現場を熟知している同社のような存在が一緒になり考えることでより効果が発揮できることから、M&Aによるシナジーは大きいと同社では見ている。

なお、人員採用計画について見ると、国内の新卒採用は2022年春の500名(うち、技術者100名)から、2024年春に1,000名に、中途採用については現状の年間2,000名弱から3,000名に拡大することを目標としている。また、外国籍技術者については、年間100名程度を採用していく計画となっている。


(3) 外国人労働者の受入管理受託サービスを全職種で展開
外国人労働者の入国制限緩和の動きが出始めたことで、子会社の平山GSで展開する外国人労働者受入管理受託サービスの成長が見込まれている。国内の労働力人口は減少傾向が続いており、2030年には約640万が不足するという予測もあり、こうした不足分を外国人労働者で一定数賄っていく必要があるためだ。

同社は、送り出し国としてベトナム、フィリピン、ミャンマー、インドネシアの4ヶ国とネットワークを構築しており、これら外国人労働者の受入先となる中堅・中小企業の開拓を進めている。また、受入先の企業では、入国前・入国後の教育・研修ができないため、平山GSで教育・研修サービスや労務管理業務受託サービスを提供し、受け入れた外国人労働者の帰国後の就職支援等も行っている。受入実習生の数としては、技能実習の業種を拡大していくことで短期的に年間300名、中期的に1,000名を目標とし、将来的に業績に貢献していくものと予想される。

(4) 国内の人材ビジネスパッケージを横展開(タイ)
国内で約30年にわたり蓄積してきた製造請負・派遣、現場改善コンサルティング、人材教育等のノウハウをパッケージ化し、タイに横展開していく。タイでは人材派遣、製造請負、現場改善コンサルティング、人材教育を現地日系企業向けに展開しており、3,000名規模の派遣を行っている。また、ベトナムについては足元の市場環境を勘案し休眠化したものの、日系企業を中心に現場改善コンサルティングや人材育成研修、人材管理等のサービスのニーズはあるため、市場環境が好転すれば再開するものと見られる。

(5) サービス事業(小売、物流、介護等)顧客の拡大
FUN to FUNでは現在、食品加工業界向けが売上高の約6割を占めているが、今後は人材不足が続く物流倉庫や都市型ミニスーパー、ホテル向けを強化していく方針で、外国人労働者も積極的に活用しながら売上拡大を図っていく戦略となっている。

また、平山では、2022年6月期より介護派遣サービスを開始している。大松サービシーズで運営する介護施設をベースに、東南アジアから採用した外国人の教育研修を行い、平山において派遣していく。外国人の入国制限が続いていることからまだ規模は小さいものの、今後も介護スタッフの人材不足は続くことから、成長ポテンシャルは大きい。同社では3年後に介護人材で300名の外国人スタッフの育成を目標としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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