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窪田製薬HD Research Memo(7):2021年12月期は前期並みの営業損失を計上

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2021年12月期の業績概要
窪田製薬ホールディングス<4596>の2021年12月期の連結業績は、事業収益の計上がなく、営業損失で2,584百万円(前期は2,484百万円の損失)、税引前当期損失で2,616百万円(同2,437百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失で2,616百万円(同2,437百万円の損失)とほぼ前期並みの損失を計上した。一方、会社計画に対しては研究開発費や一般管理費の見直しを進めたことで、損失額が縮小する格好となった。

事業収益に関しては、前期がNASAからの開発受託金37百万円を計上したのに対して、2021年12月期は「クボタメガネ」で10百万円の売上を見込んでいたが、既述のとおり販売時期が2022年にずれ込んだことにより事業収益の計上がなかった。

費用の内訳を見ると、研究開発費は前期比67百万円増加の2,040百万円となった。被験者登録が完了した「エミクススタト塩酸塩」の研究開発費及び「PBOS」の開発費用が減少した一方で、「クボタメガネ」の開発費用が増加したことによる。また、一般管理費は同2百万円減少の603百万円となった。各開発プロジェクトの進展に伴い、特許関連費用及び事業開発関連費用が増加した一方で、経費削減施策を実施したことで費用を抑制した。なお、その他の営業収益としてエミクススタト塩酸塩の第3相臨床試験に伴う助成金収入59百万円を計上した。


2022年12月期は「クボタメガネ」で事業収益の計上を目指す
2. 2022年12月期業績の見通し
2022年12月期の連結業績について、事業収益は「クボタメガネ」のソフトローンチによる売上貢献が見込まれるが、ローンチ後に合理的な見積もりが可能になった段階で見通しを開示する方針としている。また、営業損失、税引前当期損失、親会社の所有者に帰属する当期損失でそれぞれ2,000百万円を計画している。

費用面について見ると、研究開発費は「クボタメガネ」の商業化に向けた開発費や臨床試験費用等が継続するものの、「エミクススタト塩酸塩」の臨床試験費用、「PBOS」の開発費用などがピークアウトする見通しで、前期比で大きく減少する見込みとなっており、営業損失の縮小要因となる。また、一般管理費については引き続き経費の抑制に取り組む一方で、「クボタメガネ」の商業化へ向けたマーケティング費用などの増加を見込んでいる。なお、為替前提レートは115円/ドルとしている。


手元資金は44億円と2年分の事業活動資金を確保
3. 財務状況
2021年12月期末の資産合計は前期末比1,859百万円減少の4,832百万円となった。主な変動要因は、事業活動に伴う手元資金の支出によるもので、手元資金(現金及び現金同等物、その他の金融資産(流動・非流動))が同1,922百万円減少の4,415百万円となった。

負債合計は前期末比19百万円減少の679百万円となった。買掛金が6百万円、未払債務が97百万円それぞれ増加した一方で、リース負債が長短合わせて119百万円減少した。また、資本合計は前期末比1,840百万円減少の4,152百万円となった。新株予約権の行使等に伴う株式発行により、資本金及び資本剰余金が合わせて392百万円増加したほか、期末にかけての円安進展に伴いその他の資本の構成要素が384百万円増加した一方で、親会社の所有者に帰属する当期損失2,616百万円の計上により繰越損失が拡大した。

2021年12月期末の手元資金は4,415百万円と減少傾向が続いているものの、約2年分の事業活動資金は確保した状態にある。とは言え同社は、今後も当面開発ステージが続くことから、開発資金の調達を目的として2020年7月に第三者割当による第25回新株予約権を発行している。潜在株式数900万株(希薄化率21.3%)に対して、2022年2月末時点の行使率は39.5%、資金調達額は約9億円となっているが、2021年8月以降は株価が下限行使価額の197円を下回って推移していることから、行使が進んでいない状況となっている。このため、今後も株価が下限行使価額を下回る状況が続くようだと、いずれかの時期に新たな資金調達を検討するものと考えられる。なお、今回の新株予約権発行により調達する資金はスターガルト病の第3相臨床試験に関する費用約17.4億円(2020年約8億円、2021年約5億円、2022年約4億円)と、ウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」の開発費用約18億円(2020年約6億円、2021年約12億円)に充当していく予定となっていた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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