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サイバーコム Research Memo(6):通信ソフトウェア開発、業務ソフトウェア開発、サービス事業が2ケタ増収

注目トピックス 日本株
■サイバーコム<3852>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業の売上高は前期比14.4%増の12,238百万円、営業利益は同12.1%増の1,754百万円と2期ぶりの増収増益に転じ、過去最高業績を更新した。制御ソフトウェア開発は減収減益となったものの、通信ソフトウェア開発や業務ソフトウェア開発の伸長によりカバーした。

分野別の動向を見ると、通信ソフトウェア開発は売上高で前期比40.2%増の3,256百万円、営業利益で同24.8%増の397百万円と大幅増収増益となった。このうち、通信端末等の「その他通信向け」の売上高は同20.2%減の429百万円と低調だったものの、5Gのコアネットワーク装置開発案件を中心に「通信基盤向け」が同58.3%増の2,826百万円と大きく伸長したことが要因である。利益率は前期の13.7%から12.2%と若干低下したが、開発案件の違いによるもので、ここ数年間のなかでは2020年12月期に次ぐ高水準となっている。

制御ソフトウェア開発は売上高で前期比1.3%減の2,685百万円、営業利益で同1.7%減の404百万円と2期連続で減収減益となった。半導体製造装置やOA機器向けの開発案件が増加した結果、車載以外の「その他制御向け」の売上高は同18.3%増の1,372百万円と増収に転じたものの、「車載向け」に関しては顧客先の一部で内製化が進んだこともあり同15.9%減の1,312百万円と減少傾向が続いた。ただ、半期ベースで見ると下期は増加に転じていることから、「車載向け」の売上高についても下げ止まったと言えよう。

業務ソフトウェア開発は売上高で前期比11.5%増の6,296百万円、営業利益で同14.0%増の953百万円と増収増益に転じた。業界別売上動向を見ると、医療向けが同15.0%減であったことを除き、すべての業界で増収を達成した。なかでも、製造業向けが同30.3%増、流通業向けが同47.2%増と好調に推移し、注力分野である公共向けも同6.2%増と着実に増加した。製造業向けでは顔認証システムや多言語連携システム等の開発案件、流通業向けではECサイト構築案件などを受注し、増収に貢献している。

(2) サービス事業
サービス事業の売上高は前期比11.5%増の3,263百万円、営業利益は同0.5%減の414百万円となった。SIサービスでは、社会インフラ及び金融系を中心とした仮想化やクラウドへの移行案件、セキュリティ対策案件、ネットワーク構築案件が堅調に推移したほか、5G基地局の検証案件が好調に推移した。

また、自社プロダクトである「Cyber Smartシリーズ」製品は、コールセンター構築案件や年間保守料の増加により好調に推移し、クラウドVPNサービス「楽々セキュアコネクト」も、コロナ禍でリモートワークに取り組む企業が増えるなかで、手軽かつ安全にリモートワーク環境を構築できるサービスとして中小企業向けを中心に堅調に推移した。2020年7月に販売を開始した位置情報ソリューション「Cyber Position Navi」についても、オフィスのフリーアドレス化や物流センターでのトラック運行管理など様々なソリューションを提案しており、製造業を中心に導入実績が拡がりつつある。利益面では、事業拡大に向けた人材投資を進めたことで前期並みの水準にとどまったようだ。


無借金経営で財務内容は健全

3. 財務状況と経営指標
2021年12月期末における資産合計は前期末比1,428百万円増加の11,137百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では受取手形及び売掛金が392百万円増加したほか、短期貸付金(富士ソフト向けCMS※貸付金)が847百万円増加した。また、固定資産では減価償却の進展により有形固定資産が61百万円、無形固定資産(ソフトウェア)が21百万円減少し、繰延税金資産が172百万円増加した。

※CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)とは、企業グループ全体の資金の状況を可視化し、資金の無駄遣いの防止や、資金の不足・不正など、資金に関わる様々なリスクに対応するための管理システムを言う。CMSを活用することにより、親会社は、企業グループ全体の資金を一元的に管理することが可能になり、資金効率の向上や内部統制の強化を図ることができる。


負債合計は、前期末比868百万円増加の5,092百万円となった。主な変動要因を見ると、流動負債では買掛金が120百万円、未払費用が229百万円、未払法人税等が279百万円、賞与引当金が89百万円それぞれ増加し、固定負債では退職給付引当金が194百万円増加した。純資産は同560百万円増加の6,044百万円となった。配当金の支払及び当期純利益の計上により、利益剰余金が560百万円増加した。

経営指標を見ると、自己資本比率は前期末の56.5%から54.3%へ若干低下したものの、無借金経営であり金融資産(現金及び預金、CMS貸付金)も37億円強と潤沢で、財務の健全性は高いと判断できる。また、収益性についてもROAで9.9%、ROEで12.2%、売上高営業利益率で6.1%と安定して推移しており、ROEに関しては同社が目標としている10%以上の水準で推移している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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