ハウテレビジョン Research Memo(8):2022年1月期から拡大フェーズ
[22/05/30]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■ハウテレビジョン<7064>の成長戦略
1. 中期経営計画
事業環境の変化や戦略的先行投資の実施(2021年1月期)を考慮して、新たな中期経営計画(2023年1月期〜2026年1月期)を策定した。目標値には最終年度2026年1月期の売上高6,000百万円、営業利益1,500百万円を掲げている。取引企業数の拡大、多様な顧客ニーズに対応した新サービスの開発・提供(新卒サービスにおけるスカウト商品の拡充など)、企業と会員間の高品質なマッチングの維持(就職活動の時期に応じて変遷する会員の関心・志向に応じた適切な求人情報の提供など)によって、キャリアプラットフォーム事業(新卒及び中途領域)の事業成長を加速させる方針だ。
2. シェア拡大を推進、キャリアアップ支援市場や知見共有市場への展開も目指す
市場環境として、ビジネス職・エンジニア職ともに、新卒市場での優秀人材獲得がメンバーシップ型では困難となり、外資系企業にとどまらず、国内大手企業においてもジョブ型採用への移行が加速している。また社会・産業のDX化やデジタルシフトに伴って、企業のIT人材に対する量的・質的需要が一段と高まっている。一方で、同社の登録会員であるハイクラス学生層にとっても、コンサルティングファームや大手金融機関に加えて、先端IT企業のエンジニア職が就職先の新たな選択肢として浮上している。同社は創業以来、プロフェッショナル職志向のユーザー層を集客しており、企業の新たなジョブ型人材採用需要の増加に対して、ビジネス職・エンジニア職ともに最高水準の人材を送客できることを強みとしている。
このような市場環境を背景として、事業拡大余地の大きいキャリアプラットフォーム事業の新卒・中途採用市場(推定規模7,000億円)で有意なシェアを拡大したうえで、中長期的にはキャリアアップ支援市場(推定規模9,000億円)及び知見共有市場(推定規模2.7兆円)への展開も目指す方針としている。
3. 中長期的な成長ポテンシャルは大きい
同社は2021年1月期に戦略的先行投資を実行したため一時的に赤字転落したが、2022年1月期から戦略的先行投資も寄与して収益拡大フェーズに入ったと考えられる。ハイクラス人材を求めるハイクラス企業の採用意欲は景気悪化局面でも強く市場環境は良好だ。独自性が強く高付加価値なリクルーティング・メディアとしてのポジショニングを確立して取引企業数や会員数は増加基調である。弊社では、キャリアプラットフォーム事業における同社の市場シェア拡大余地は大きく、さらに事業ドメイン拡大戦略によって中長期的に成長ポテンシャルは大きいと評価している。
■株主還元策
株主に対する利益還元については重要な経営課題の1つとして認識しているが、現在は成長段階にあり、より一層の内部留保の充実を図り、収益基盤の安定化・多様化や新規の投資に充当することにより、さらなる事業拡大を図ることが株主に対する最大の利益還元につながると考えている。
将来的には、その時点における経営成績及び財務状態を勘案しつつ、株主に対して利益還元を実施していく方針だが、現時点において配当実施の可能性及び実施時期等については未定としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<ST>