SI Research Memo(6):E-Commerce事業が大きく伸長、ERP・AI事業は不採算案件納品により増益
[22/06/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■システムインテグレータ<3826>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は前期比3.1%増の677百万円、営業利益は同32.1%減の151百万円となった。「OBPM Neo」はクラウドシフトにより一時的に売上高成長率が鈍化したものの、前期にコロナ禍の影響で落ち込んだ「Object Browser」シリーズの需要が回復し、売上高は2期ぶりの増収となった。一方、利益面では「OBPM Neo」のサービス開始に伴い減価償却費が前期比37百万円増加したほか、保守サービス費用の増加により3期連続の減益となった。
「Object Browser」シリーズは、ソフトウェア開発の生産性を向上させるツールとして業界で幅広く利用されており、同社の安定収益源となっている。2022年1月には、Oracle Databaseの新バージョンに対応した「SI Object Browser for Oracle 21.2」及び「SI Object Browser ER 22」をリリースするなど、継続的に利便性向上を図っている。
統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」は、2021年3月より販売開始したSaaS型がIT業界だけでなく製造業やエンジニアリング業界にも導入が進んだことで、導入社数が前期末の210社から220社超に増加した。なお、既存ユーザーについても契約更新時に従来のオンプレミス型からSaaS型に切り替えているため、短期的には売上高、利益面でマイナスの影響を受ける格好となっている。
アプリケーション設計ツール「OBDZ」は、2019年6月からクラウドサービスとして販売を開始し、設計作業の生産性を大幅に向上させるツールとして拡販に取り組んでいる。しかしながら、導入社数は70社程度と当初の販売計画を下回っていることから、販売計画を見直すとともにソフトウェア資産の減損損失を計上した。今後については、顧客獲得に向けた追加機能の開発を進めており、2023年2月期下期を目途にリリースする予定となっている。
(2) E-Commerce事業
E-Commerce事業の売上高は前期比45.5%増の1,209百万円、営業利益は同94.4%増の412百万円と大幅増収増益となり、過去最高を更新した。EC市場の拡大を背景に大手企業がECサイトの刷新に取り組む動きが活発化し、大規模リプレイス案件の受注を相次いで獲得したことが大幅増収につながった。利益面では、増収効果に加えて開発効率が向上したことも増益要因となり、営業利益率も前期の25.5%から34.1%と大きく上昇し、過去最高を更新した。
なお、製品の競争力強化に向けた開発も継続的に行っている。2021年9月には、セキュリティ機能を大幅に強化し、EC事業者の運用効率・開発効率を改善する機能を追加した「SI Web Shopping V12.11」をリリースしたほか、2022年3月には「適格請求書等保存方式(インボイス制度(※))に対応した最新バージョン「SI Web Shopping V12.12」をリリースしている。
※インボイス制度:2023年10月から開始する適格請求書等保存方式のことで、所定の記載要件を満たした請求書を発行、保存することにより、消費税の仕入税額控除を受けられる制度。
(3) ERP・AI事業
ERP・AI事業の売上高は前期比5.6%増の2,886百万円、営業利益は同291.1%増の124百万円となった。このうち、ERP事業の売上高は同5.2%増の2,867百万円、営業利益は同70.0%増の222百万円となった。ERP市場はコロナ禍でも拡大基調が続いており、同社の売上高も製造業向けを中心に堅調に推移した。利益面では、前期に発生した不採算プロジェクトの納品を完了したことから増益となったが、大型プロジェクトに若手エンジニアを積極的に登用した結果、受注損失引当金の影響を除いたベースではやや収益性が低下している。
AI事業については売上高で前期比117.5%増の18百万円、営業損失で98百万円(前期は98百万円の損失)となった。「AISI∀-AD」は、工場の目視検査工程の自動化・省力化を目的に2018年に販売を開始した。多くの企業から引き合いを受け(対象検査物は、輸送機器用部品、ペットボトルのキャップ、電設資材、フィルム製品等)、PoCを繰り返しながらノウハウを蓄積して製品強化及びソリューション力の向上に取り組んでいる。売上高の増加はPoC案件の受注増によるもので、当初計画に織り込んでいたフィルムメーカー向けの製造ライン導入案件については、検収時期が2022年5月にずれ込んだため売上計上には至らなかった。直近ではPoC案件が10件程度、同時並行で動いている状況にあり、このなかから製造ライン向け開発プロジェクトの受注を目指していくことになる。
(4) その他
その他の事業の売上高は前期比21.1%増の44百万円、営業損失は100百万円(前期は50百万円の損失)となった。プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」は、2021年2月よりデータベース言語であるSQLのスキル判定サービス「TOPSIC-SQL」を開始したことや継続的な機能改善に取り組んだことにより導入社数が着実に増加し、増収となった。一方、営業損失が50百万円拡大したのは、2021年秋に販売を開始した「VOICE TICKETS」「IDEA GARDEN」の開発費用50百万円を計上したことが主な要因となっている。なお、「VOICE TICKETS」「IDEA GARDEN」の導入実績はいずれも数件程度となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別動向
(1) Object Browser事業
Object Browser事業の売上高は前期比3.1%増の677百万円、営業利益は同32.1%減の151百万円となった。「OBPM Neo」はクラウドシフトにより一時的に売上高成長率が鈍化したものの、前期にコロナ禍の影響で落ち込んだ「Object Browser」シリーズの需要が回復し、売上高は2期ぶりの増収となった。一方、利益面では「OBPM Neo」のサービス開始に伴い減価償却費が前期比37百万円増加したほか、保守サービス費用の増加により3期連続の減益となった。
「Object Browser」シリーズは、ソフトウェア開発の生産性を向上させるツールとして業界で幅広く利用されており、同社の安定収益源となっている。2022年1月には、Oracle Databaseの新バージョンに対応した「SI Object Browser for Oracle 21.2」及び「SI Object Browser ER 22」をリリースするなど、継続的に利便性向上を図っている。
統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」は、2021年3月より販売開始したSaaS型がIT業界だけでなく製造業やエンジニアリング業界にも導入が進んだことで、導入社数が前期末の210社から220社超に増加した。なお、既存ユーザーについても契約更新時に従来のオンプレミス型からSaaS型に切り替えているため、短期的には売上高、利益面でマイナスの影響を受ける格好となっている。
アプリケーション設計ツール「OBDZ」は、2019年6月からクラウドサービスとして販売を開始し、設計作業の生産性を大幅に向上させるツールとして拡販に取り組んでいる。しかしながら、導入社数は70社程度と当初の販売計画を下回っていることから、販売計画を見直すとともにソフトウェア資産の減損損失を計上した。今後については、顧客獲得に向けた追加機能の開発を進めており、2023年2月期下期を目途にリリースする予定となっている。
(2) E-Commerce事業
E-Commerce事業の売上高は前期比45.5%増の1,209百万円、営業利益は同94.4%増の412百万円と大幅増収増益となり、過去最高を更新した。EC市場の拡大を背景に大手企業がECサイトの刷新に取り組む動きが活発化し、大規模リプレイス案件の受注を相次いで獲得したことが大幅増収につながった。利益面では、増収効果に加えて開発効率が向上したことも増益要因となり、営業利益率も前期の25.5%から34.1%と大きく上昇し、過去最高を更新した。
なお、製品の競争力強化に向けた開発も継続的に行っている。2021年9月には、セキュリティ機能を大幅に強化し、EC事業者の運用効率・開発効率を改善する機能を追加した「SI Web Shopping V12.11」をリリースしたほか、2022年3月には「適格請求書等保存方式(インボイス制度(※))に対応した最新バージョン「SI Web Shopping V12.12」をリリースしている。
※インボイス制度:2023年10月から開始する適格請求書等保存方式のことで、所定の記載要件を満たした請求書を発行、保存することにより、消費税の仕入税額控除を受けられる制度。
(3) ERP・AI事業
ERP・AI事業の売上高は前期比5.6%増の2,886百万円、営業利益は同291.1%増の124百万円となった。このうち、ERP事業の売上高は同5.2%増の2,867百万円、営業利益は同70.0%増の222百万円となった。ERP市場はコロナ禍でも拡大基調が続いており、同社の売上高も製造業向けを中心に堅調に推移した。利益面では、前期に発生した不採算プロジェクトの納品を完了したことから増益となったが、大型プロジェクトに若手エンジニアを積極的に登用した結果、受注損失引当金の影響を除いたベースではやや収益性が低下している。
AI事業については売上高で前期比117.5%増の18百万円、営業損失で98百万円(前期は98百万円の損失)となった。「AISI∀-AD」は、工場の目視検査工程の自動化・省力化を目的に2018年に販売を開始した。多くの企業から引き合いを受け(対象検査物は、輸送機器用部品、ペットボトルのキャップ、電設資材、フィルム製品等)、PoCを繰り返しながらノウハウを蓄積して製品強化及びソリューション力の向上に取り組んでいる。売上高の増加はPoC案件の受注増によるもので、当初計画に織り込んでいたフィルムメーカー向けの製造ライン導入案件については、検収時期が2022年5月にずれ込んだため売上計上には至らなかった。直近ではPoC案件が10件程度、同時並行で動いている状況にあり、このなかから製造ライン向け開発プロジェクトの受注を目指していくことになる。
(4) その他
その他の事業の売上高は前期比21.1%増の44百万円、営業損失は100百万円(前期は50百万円の損失)となった。プログラミングスキル判定サービス「TOPSIC」は、2021年2月よりデータベース言語であるSQLのスキル判定サービス「TOPSIC-SQL」を開始したことや継続的な機能改善に取り組んだことにより導入社数が着実に増加し、増収となった。一方、営業損失が50百万円拡大したのは、2021年秋に販売を開始した「VOICE TICKETS」「IDEA GARDEN」の開発費用50百万円を計上したことが主な要因となっている。なお、「VOICE TICKETS」「IDEA GARDEN」の導入実績はいずれも数件程度となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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