ディーエムソリュ Research Memo(1):EC領域本格参入でビジネスモデルが進化し始めた
[22/06/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 既存事業の強みを生かしEC領域に本格参入
ディーエムソリューションズ<6549>は、ダイレクトメールやインターネット広告などを通じて、顧客企業とエンドユーザー(消費者・企業)をつなぐ事業を行っている。ダイレクトメール事業では、ダイレクトメール(DM)の企画から印刷、封入・封緘、配送といった作業をワンストップで展開、ECの成長を的確に捉えた宅配便の発送代行を取り扱うフルフィルメントサービスも行っている。インターネット事業では、デジタルマーケティングサービスとバーティカルメディアサービスを展開している。2021年4月にアパレル等の輸入卸売をECサイトのみで行う(株)ビアトランスポーツを子会社化、ダイレクトメール事業とインターネット事業の強みを生かして、アパレル事業も含むEC領域に本格参入した。2022年3月期の売上高構成比はダイレクトメール事業83.7%、インターネット事業9.7%、アパレル事業6.6%となっている。
2. EC領域本格参入でビジネスモデルが進化
ダイレクトメールの市場規模は3,400億円程度で微減傾向にあると言われているが、中小零細の事業者が多く、大手の同社でさえシェアが5%程度しかないため、同社にとって成長余地は大きい。加えて同社のダイレクトメール事業には、営業力と全国規模の展開力、ワンストップソリューション、フルフィルメントサービスのキャパシティなどの強みがある。一方インターネット事業は、コンサルティング力やバーティカルメディアの制作力に強みを持つ。市場は成長しているものの技術進歩や環境変化が速く、厳しい事業環境にある。ダイレクトメール事業とインターネット事業は大きなシナジーをなかなか創出しきれなかったが、その2事業に深く関わるEC領域に本格参入することで強いシナジーが生まれる可能性が出てきた。ビジネスモデルが一段進化したといえよう。
3. 前期はアルゴリズム変更で苦戦も、今期は利益回復へ
2022年3月期の業績は、売上高16,682百万円(前期比14.1%増)、営業利益98百万円(同85.0%減)となった。ダイレクトメール事業はダイレクトメールサービス、フルフィルメントサービスともに好調な動きだった。また、インターネット事業のデジタルマーケティングサービスも順調に成長、新たにアパレル事業もセグメントに加わった。しかし、検索サイトの表示順位判定基準(アルゴリズム)の変更によりバーティカルメディアサービスが苦戦したため、増収ながら営業減益となった。同社は2023年3月期の業績について、売上高17,972百万円(前期比7.7%増)、営業利益220百万円(同123.3%増)を見込んでいる。バーティカルメディアサービスは引き続き厳しいという前提だが、5つのサービスを展開する強みを生かして利益を回復する方針である。
4. 他に類を見ないソリューションカンパニーへと飛躍
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)やウクライナ情勢など様々なリスクは残るが、経済環境は平時に向けて動き出している。このため同社は、ダイレクトメール事業とインターネット事業という2つのビジネス基盤を連携し、自社ECやEC支援といったEC領域を中期的に拡大する方針である。ダイレクトメール事業は、競争力の高いビジネス基盤かつ安定収益基盤として強化・拡充を図り、インターネット事業は、競争力を高めることで他の事業の拡大も支援できるキービジネスへと進化させる。ダイレクトメール事業とインターネット事業という2つの基盤の間に、成長市場にある「EC領域」が納まることで、リスク分散とシナジーというポートフォリオ効果を創出し、2024年3月期以降に、他に類を見ないソリューションカンパニーへと飛躍する考えである。
■Key Points
・ダイレクトメール事業とインターネット事業の強みを生かしてEC領域に本格参入
・バーティカルメディアは苦戦も、5つのサービスを展開する強みを背景に2023年3月期利益回復へ
・基盤2事業にEC領域を加え、他に類を見ないソリューションカンパニーへと飛躍
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
1. 既存事業の強みを生かしEC領域に本格参入
ディーエムソリューションズ<6549>は、ダイレクトメールやインターネット広告などを通じて、顧客企業とエンドユーザー(消費者・企業)をつなぐ事業を行っている。ダイレクトメール事業では、ダイレクトメール(DM)の企画から印刷、封入・封緘、配送といった作業をワンストップで展開、ECの成長を的確に捉えた宅配便の発送代行を取り扱うフルフィルメントサービスも行っている。インターネット事業では、デジタルマーケティングサービスとバーティカルメディアサービスを展開している。2021年4月にアパレル等の輸入卸売をECサイトのみで行う(株)ビアトランスポーツを子会社化、ダイレクトメール事業とインターネット事業の強みを生かして、アパレル事業も含むEC領域に本格参入した。2022年3月期の売上高構成比はダイレクトメール事業83.7%、インターネット事業9.7%、アパレル事業6.6%となっている。
2. EC領域本格参入でビジネスモデルが進化
ダイレクトメールの市場規模は3,400億円程度で微減傾向にあると言われているが、中小零細の事業者が多く、大手の同社でさえシェアが5%程度しかないため、同社にとって成長余地は大きい。加えて同社のダイレクトメール事業には、営業力と全国規模の展開力、ワンストップソリューション、フルフィルメントサービスのキャパシティなどの強みがある。一方インターネット事業は、コンサルティング力やバーティカルメディアの制作力に強みを持つ。市場は成長しているものの技術進歩や環境変化が速く、厳しい事業環境にある。ダイレクトメール事業とインターネット事業は大きなシナジーをなかなか創出しきれなかったが、その2事業に深く関わるEC領域に本格参入することで強いシナジーが生まれる可能性が出てきた。ビジネスモデルが一段進化したといえよう。
3. 前期はアルゴリズム変更で苦戦も、今期は利益回復へ
2022年3月期の業績は、売上高16,682百万円(前期比14.1%増)、営業利益98百万円(同85.0%減)となった。ダイレクトメール事業はダイレクトメールサービス、フルフィルメントサービスともに好調な動きだった。また、インターネット事業のデジタルマーケティングサービスも順調に成長、新たにアパレル事業もセグメントに加わった。しかし、検索サイトの表示順位判定基準(アルゴリズム)の変更によりバーティカルメディアサービスが苦戦したため、増収ながら営業減益となった。同社は2023年3月期の業績について、売上高17,972百万円(前期比7.7%増)、営業利益220百万円(同123.3%増)を見込んでいる。バーティカルメディアサービスは引き続き厳しいという前提だが、5つのサービスを展開する強みを生かして利益を回復する方針である。
4. 他に類を見ないソリューションカンパニーへと飛躍
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)やウクライナ情勢など様々なリスクは残るが、経済環境は平時に向けて動き出している。このため同社は、ダイレクトメール事業とインターネット事業という2つのビジネス基盤を連携し、自社ECやEC支援といったEC領域を中期的に拡大する方針である。ダイレクトメール事業は、競争力の高いビジネス基盤かつ安定収益基盤として強化・拡充を図り、インターネット事業は、競争力を高めることで他の事業の拡大も支援できるキービジネスへと進化させる。ダイレクトメール事業とインターネット事業という2つの基盤の間に、成長市場にある「EC領域」が納まることで、リスク分散とシナジーというポートフォリオ効果を創出し、2024年3月期以降に、他に類を見ないソリューションカンパニーへと飛躍する考えである。
■Key Points
・ダイレクトメール事業とインターネット事業の強みを生かしてEC領域に本格参入
・バーティカルメディアは苦戦も、5つのサービスを展開する強みを背景に2023年3月期利益回復へ
・基盤2事業にEC領域を加え、他に類を見ないソリューションカンパニーへと飛躍
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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