オークファン Research Memo(2):在庫流動化のワンストップソリューションを提供
[22/06/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
オークファン<3674>は、「RE-INFRA COMPANY」※1をコンセプトとして、膨大な蓄積データとAIにより在庫価値を可視化・最適化する「在庫価値ソリューション事業」と、企業在庫の流通を支援する「商品流通プラットフォーム事業」の2軸により、国内BtoB卸売市場のDX化や社会課題となっている廃棄ロス削減に向けたワンストップサービスを提供している。主なサービスには、相場検索・価格比較サービス「aucfan.com」や国内最大級のBtoB卸売・仕入れプラットフォーム「NETSEA」、返品・型落ち品・滞留在庫などの流動化支援サービス「NETSEAオークション」※2などがあり、中小企業・個人事業主(副業を含む)を中心とする小売・流通業向けの在庫流動化支援ソリューションを展開している。
※1 同社の存在意義を再定義したもの。「新たにゼロから生み出すのではなく、今、目の前にある価値を見つめ直す。オークファンは社会の様々な『Re』(再び)を統合した唯一無二のインフラを構築していく会社でありたい」という思いを表現した造語。
※2 「リバリューBtoBモール」より名称変更・リニューアルされたもの。
事業セグメントは、1)「在庫価値ソリューション事業」、2)「商品流通プラットフォーム事業」、3)「インキュベーション事業」の3つに区分され、1)及び2)を主力事業として展開してきた。ただ、GMVの拡大に向けて事業の選択と集中を進めており、その進捗を示すために主力事業を「注力事業」と「撤退事業」に括り直したうえで、「注力事業」への積極投資を行っていく方針である。
1.事業セグメントの概要
(1) 在庫価値ソリューション事業
膨大な蓄積データとAIを用いて、企業が保有する在庫価値の可視化・最適化を推進するほか、出品業務の効率化支援なども手掛けている。具体的には、ネットショッピング・オークションの相場、統計価格比較サービス「aucfan.com」や、IT知識がなくても業務効率化を実現するRPA※1ソリューション「オークファンロボ」、オークション教育・個別サポートサービス「good sellers」、複雑なネットショップの業務フローをシンプルにするクラウドサービス「タテンポガイド」などを通じて、SMB※2をターゲットに様々なソリューションを提供している。主にサブスクリプション(月額課金)による積み上げ型の収益モデルであり、利用企業数やアカウント数の伸びが業績をけん引する。また、セグメント利益率は20% 程度と高いうえ、売上高の拡大とともにさらに改善する余地もある。
※1 Robotic Process Automationの略。ロボットによる業務自動化のこと。
※2 Small and Medium Businessの略。中小企業(個人事業主を含む)を指す。
(2) 商品流通プラットフォーム事業
企業の滞留在庫・商品等の流通を支援しており、複数のマーケットプレイスの運営を手掛けている。具体的には、国内最大級のBtoB卸売・仕入れプラットフォーム「NETSEA」、返品・型落ち品、滞留在庫などの流動化支援サービス「NETSEAオークション」など※1を通じて、間接流通(B to SMB)のプラットフォームを提供している。なお、「NETSEA」は主に1次流通(新品)の大量仕入れ・大量販売を担うBtoBマーケットプレイスであり、流通構造がオフラインからオンラインへシフトする流れのなか、潜在市場は巨大と言える。一方、「NETSEAオークション」は主に滞留在庫(例えば、パッケージに傷がついた商品や賞味(使用)期限の切迫品、返品等)など1.5次(新古品)や2次(中古品)流通商品の流動化支援を行っている。収益モデルは、主に販売収益とGMV(流通額)課金収益の2 種類となっている。「NETSEA」は自ら在庫を保有せず、流通額に一定の手数料率をかけたGMV課金収益である一方、「NETSEAオークション」は自ら販売主体となって販売収益を獲得する※2。したがって、「NETSEA」は1 件当たりの売上インパクトは小さいが、利益率は極めて大きくなるところに特徴がある。
※1 オークション形式で返品商材・配送事故品など新古品の仕入れができる卸サイト「NETSEAオークション」のほか、2021年8月下旬からは滞留在庫の共同仕入れプラットフォーム「NETSEAバルクモール」も開始している。
※2 ただし、新たに委託販売形式のサービスも開始している(詳細は後述)
(3) インキュベーション事業
事業投資活動を通じて、中長期にわたり競合優位性を構築・維持していくための知見とネットワークを得ることを目的としている。営業投資有価証券の売却及び投資先企業へのコンサルティング収入が主な収益源となっているが、営業投資有価証券の売却のタイミングが業績の大きな変動要因となるところに注意が必要である。
2. 事業の選択と集中(新事業区分への変更)
同社は、巨大なBtoB卸売市場におけるDX化の流れに加え、商品在庫の廃棄ロス問題の深刻化やリバースロジスティクス(返品市場)の拡大など在庫流動化ニーズを取り込み、圧倒的な地位を確立するため、事業の選択と集中に踏み切った。具体的には、SMBをターゲットとした「NETSEA」「NETSEAオークション」「aucfan.com」を「注力事業」としたうえで、大企業向け・個人向けサービス※は撤退を進める方針であり、最重要指標であるGMVのさらなる拡大を目指していく。
※大企業向けSaaS「zaicoban」、寄付型ショッピングサイト「Otameshi」、法人向け卸販売など。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<SI>
オークファン<3674>は、「RE-INFRA COMPANY」※1をコンセプトとして、膨大な蓄積データとAIにより在庫価値を可視化・最適化する「在庫価値ソリューション事業」と、企業在庫の流通を支援する「商品流通プラットフォーム事業」の2軸により、国内BtoB卸売市場のDX化や社会課題となっている廃棄ロス削減に向けたワンストップサービスを提供している。主なサービスには、相場検索・価格比較サービス「aucfan.com」や国内最大級のBtoB卸売・仕入れプラットフォーム「NETSEA」、返品・型落ち品・滞留在庫などの流動化支援サービス「NETSEAオークション」※2などがあり、中小企業・個人事業主(副業を含む)を中心とする小売・流通業向けの在庫流動化支援ソリューションを展開している。
※1 同社の存在意義を再定義したもの。「新たにゼロから生み出すのではなく、今、目の前にある価値を見つめ直す。オークファンは社会の様々な『Re』(再び)を統合した唯一無二のインフラを構築していく会社でありたい」という思いを表現した造語。
※2 「リバリューBtoBモール」より名称変更・リニューアルされたもの。
事業セグメントは、1)「在庫価値ソリューション事業」、2)「商品流通プラットフォーム事業」、3)「インキュベーション事業」の3つに区分され、1)及び2)を主力事業として展開してきた。ただ、GMVの拡大に向けて事業の選択と集中を進めており、その進捗を示すために主力事業を「注力事業」と「撤退事業」に括り直したうえで、「注力事業」への積極投資を行っていく方針である。
1.事業セグメントの概要
(1) 在庫価値ソリューション事業
膨大な蓄積データとAIを用いて、企業が保有する在庫価値の可視化・最適化を推進するほか、出品業務の効率化支援なども手掛けている。具体的には、ネットショッピング・オークションの相場、統計価格比較サービス「aucfan.com」や、IT知識がなくても業務効率化を実現するRPA※1ソリューション「オークファンロボ」、オークション教育・個別サポートサービス「good sellers」、複雑なネットショップの業務フローをシンプルにするクラウドサービス「タテンポガイド」などを通じて、SMB※2をターゲットに様々なソリューションを提供している。主にサブスクリプション(月額課金)による積み上げ型の収益モデルであり、利用企業数やアカウント数の伸びが業績をけん引する。また、セグメント利益率は20% 程度と高いうえ、売上高の拡大とともにさらに改善する余地もある。
※1 Robotic Process Automationの略。ロボットによる業務自動化のこと。
※2 Small and Medium Businessの略。中小企業(個人事業主を含む)を指す。
(2) 商品流通プラットフォーム事業
企業の滞留在庫・商品等の流通を支援しており、複数のマーケットプレイスの運営を手掛けている。具体的には、国内最大級のBtoB卸売・仕入れプラットフォーム「NETSEA」、返品・型落ち品、滞留在庫などの流動化支援サービス「NETSEAオークション」など※1を通じて、間接流通(B to SMB)のプラットフォームを提供している。なお、「NETSEA」は主に1次流通(新品)の大量仕入れ・大量販売を担うBtoBマーケットプレイスであり、流通構造がオフラインからオンラインへシフトする流れのなか、潜在市場は巨大と言える。一方、「NETSEAオークション」は主に滞留在庫(例えば、パッケージに傷がついた商品や賞味(使用)期限の切迫品、返品等)など1.5次(新古品)や2次(中古品)流通商品の流動化支援を行っている。収益モデルは、主に販売収益とGMV(流通額)課金収益の2 種類となっている。「NETSEA」は自ら在庫を保有せず、流通額に一定の手数料率をかけたGMV課金収益である一方、「NETSEAオークション」は自ら販売主体となって販売収益を獲得する※2。したがって、「NETSEA」は1 件当たりの売上インパクトは小さいが、利益率は極めて大きくなるところに特徴がある。
※1 オークション形式で返品商材・配送事故品など新古品の仕入れができる卸サイト「NETSEAオークション」のほか、2021年8月下旬からは滞留在庫の共同仕入れプラットフォーム「NETSEAバルクモール」も開始している。
※2 ただし、新たに委託販売形式のサービスも開始している(詳細は後述)
(3) インキュベーション事業
事業投資活動を通じて、中長期にわたり競合優位性を構築・維持していくための知見とネットワークを得ることを目的としている。営業投資有価証券の売却及び投資先企業へのコンサルティング収入が主な収益源となっているが、営業投資有価証券の売却のタイミングが業績の大きな変動要因となるところに注意が必要である。
2. 事業の選択と集中(新事業区分への変更)
同社は、巨大なBtoB卸売市場におけるDX化の流れに加え、商品在庫の廃棄ロス問題の深刻化やリバースロジスティクス(返品市場)の拡大など在庫流動化ニーズを取り込み、圧倒的な地位を確立するため、事業の選択と集中に踏み切った。具体的には、SMBをターゲットとした「NETSEA」「NETSEAオークション」「aucfan.com」を「注力事業」としたうえで、大企業向け・個人向けサービス※は撤退を進める方針であり、最重要指標であるGMVのさらなる拡大を目指していく。
※大企業向けSaaS「zaicoban」、寄付型ショッピングサイト「Otameshi」、法人向け卸販売など。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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