三機工業 Research Memo(1):2022年3月期は受注高・売上高ともに前期を上回り、営業利益は21.5%増
[22/06/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備(主に空調設備)及びプラント設備(上下水道処理施設等)の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年近い実績から培われた高い技術力や信用力である。
1. 2022年3月期:営業利益は前期比21.5%増
2022年3月期の業績は、受注高202,250百万円(前期比3.4%増)、売上高193,189百万円(同1.6%増)、営業利益9,112百万円(同21.5%増)、経常利益9,817百万円(同19.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,489百万円(同10.0%増)となった。受注高は202,250百万円(同3.4%増)と目標(200,000百万円)を達成した。売上高は微増に止まったが、次期繰越高は150,737百万円(前期末比6.4%増)と高水準を維持した。原価管理の徹底、現場サポート体制の強化などを継続したことから売上総利益率は15.6%となり、前期比で0.5ポイント改善した。販管費は、人件費などは増加したものの、その他の経費節減効果などにより、前期比0.7%減の21,110百万円に止まった。この結果、営業利益は前期比で21.5%増となった。
2. 2023年3月期の業績見通し:営業利益は前期比4.2%増を予想
2023年3月期については、現時点では受注高200,000百万円(前期比1.1%減)、売上高200,000百万円(同3.5%増)、営業利益9,500百万円(同4.2%増)、経常利益10,000百万円(同1.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,900百万円(同6.3%増)と予想している。売上総利益率は15.8%(同0.2pt上昇)となり、販管費は前期比4.2%増を見込んでいる。同社は「依然として新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響や原材料費の上昇など不透明要因はあるものの、投資環境は活発であり、手持ち工事を着実に売り上げることで目標を達成する」と述べた。
3. 中期経営計画“Century 2025”はPhase3へ
同社は創立100周年の2026年3月期に向けて、2017年3月期から10年間の長期ビジョン“Century 2025”を発表した。その目標達成のために10年間を3つのPhaseに分け、中期経営計画に基づく事業戦略を推進してきた。2023年3月期から最終のPhase3に入った。この長期ビジョンの最終目標(Phase3の目標)を「選ばれる」会社と定めている。定量的な目標としては、最終年度である2026年3月期に売上高2,200億円、売上総利益率16.5%、経常利益120億円、配当性向50%以上、ROE8.0%以上としている。決して容易な目標ではないが、重要な点は、「この目標に向けて同社が質的・量的にどのように変わっていくか」である。今後の同社のさらなる変化に注目したい。
4. 株主還元にも前向き:過去9年間の総還元性向(加重平均)は87.1%
同社は、これまでの安定配当や近年の増配に加え、自社株買いなど積極的な株主還元を実施している。年間配当(特別配当を含む)については、2021年3月期80円、2022年3月期85円を行った。2023年3月期は70円を予定している。自己株式については、2020年3月期に1,958千株を取得し1,000千株を消却、さらに2021年3月期も1,000千株を取得し1,000千株を消却した。2022年3月期は1,000千株の自己株式を取得した。この結果、2022年3月期までの過去9年間の総還元性向(加重平均)は87.1%となった。単に業績の向上を目指すだけでなく、株主還元策においても積極的な同社の姿勢は大いに評価すべきだろう。
■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率改善策を実行中
・2023年3月期は前期比4.2%の営業増益予想。中期経営計画は最終段階へ移行
・株主還元にも前向き。過去9年間の総還元性向(加重平均)は87.1%
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
三機工業<1961>の主要事業は、オフィスビル、学校、病院、ショッピングセンター、工場、研究施設などの建築設備(主に空調設備)及びプラント設備(上下水道処理施設等)の企画・設計・製作・監理・施工・販売・コンサルティングなどである。同社の強みは、多岐にわたる事業を横断的に融合させる総合エンジニアリングと100年近い実績から培われた高い技術力や信用力である。
1. 2022年3月期:営業利益は前期比21.5%増
2022年3月期の業績は、受注高202,250百万円(前期比3.4%増)、売上高193,189百万円(同1.6%増)、営業利益9,112百万円(同21.5%増)、経常利益9,817百万円(同19.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,489百万円(同10.0%増)となった。受注高は202,250百万円(同3.4%増)と目標(200,000百万円)を達成した。売上高は微増に止まったが、次期繰越高は150,737百万円(前期末比6.4%増)と高水準を維持した。原価管理の徹底、現場サポート体制の強化などを継続したことから売上総利益率は15.6%となり、前期比で0.5ポイント改善した。販管費は、人件費などは増加したものの、その他の経費節減効果などにより、前期比0.7%減の21,110百万円に止まった。この結果、営業利益は前期比で21.5%増となった。
2. 2023年3月期の業績見通し:営業利益は前期比4.2%増を予想
2023年3月期については、現時点では受注高200,000百万円(前期比1.1%減)、売上高200,000百万円(同3.5%増)、営業利益9,500百万円(同4.2%増)、経常利益10,000百万円(同1.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,900百万円(同6.3%増)と予想している。売上総利益率は15.8%(同0.2pt上昇)となり、販管費は前期比4.2%増を見込んでいる。同社は「依然として新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響や原材料費の上昇など不透明要因はあるものの、投資環境は活発であり、手持ち工事を着実に売り上げることで目標を達成する」と述べた。
3. 中期経営計画“Century 2025”はPhase3へ
同社は創立100周年の2026年3月期に向けて、2017年3月期から10年間の長期ビジョン“Century 2025”を発表した。その目標達成のために10年間を3つのPhaseに分け、中期経営計画に基づく事業戦略を推進してきた。2023年3月期から最終のPhase3に入った。この長期ビジョンの最終目標(Phase3の目標)を「選ばれる」会社と定めている。定量的な目標としては、最終年度である2026年3月期に売上高2,200億円、売上総利益率16.5%、経常利益120億円、配当性向50%以上、ROE8.0%以上としている。決して容易な目標ではないが、重要な点は、「この目標に向けて同社が質的・量的にどのように変わっていくか」である。今後の同社のさらなる変化に注目したい。
4. 株主還元にも前向き:過去9年間の総還元性向(加重平均)は87.1%
同社は、これまでの安定配当や近年の増配に加え、自社株買いなど積極的な株主還元を実施している。年間配当(特別配当を含む)については、2021年3月期80円、2022年3月期85円を行った。2023年3月期は70円を予定している。自己株式については、2020年3月期に1,958千株を取得し1,000千株を消却、さらに2021年3月期も1,000千株を取得し1,000千株を消却した。2022年3月期は1,000千株の自己株式を取得した。この結果、2022年3月期までの過去9年間の総還元性向(加重平均)は87.1%となった。単に業績の向上を目指すだけでなく、株主還元策においても積極的な同社の姿勢は大いに評価すべきだろう。
■Key Points
・三井系の国内トップクラスの建築設備会社。利益率改善策を実行中
・2023年3月期は前期比4.2%の営業増益予想。中期経営計画は最終段階へ移行
・株主還元にも前向き。過去9年間の総還元性向(加重平均)は87.1%
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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