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日ピストン Research Memo(4):2022年3月期業績はコロナ禍からの需要回復に伴い、大幅な増収増益で着地

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2022年3月期の業績概要
日本ピストンリング<6461>の2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比12.2%増の50,783百万円、営業利益が2,627百万円(前期は165百万円の損失)、経常利益が同759.7%増の3,058百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,928百万円(同813百万円の損失)となった。また、平均為替レートは1ドル109.90円(同106.76円)、1ユーロ129.91円(同121.88円)であった。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年3月期の期首から適用しているが、業績に与える影響はないとしている。

車載半導体不足や部品供給の停滞、サプライチェーン混乱等に伴う自動車メーカーの生産調整の影響を断続的に受けたものの、グローバル市場の需要は回復基調にあり、前期比で大幅な増収増益で着地した。利益面では、増産の影響に加え、継続的に取り組んできた生産性の改善や経費の有効活用等の原価低減活動の進展により、大幅な増益となった。なお、原材料価格高騰については取引先との交渉を進めてきたものの、適用時期のずれ等もあり、部分的な価格転嫁に留まった。売上総利益は前期比41.6%増加、売上総利益率は同4.8ポイント上昇し22.8%となった。販管費は同7.2%増加したが、販管費率は同0.8ポイント低下し17.6%となった。営業外収益は助成金収入が同445百万円減少したものの、為替差益が同152百万円増加した。

経常利益は前期比759.7%増となったが、増益要因としては増産影響で22億円、原価低減(価格転嫁を含む)効果で9億円、為替変動(主に対ユーロの円安効果)で3億円、経費他等の減少で1億円、減益要因としては原材料価格高騰で6億円、営業外で1億円であった。

2. セグメント別動向
セグメント別に見ると、自動車関連製品事業の売上高は前期比13.2%増の43,883百万円、営業利益は2,632百万円(前期は24百万円の損失)となった。車載半導体不足に伴う自動車メーカーの稼働停止影響を受けたものの、グローバル市場で自動車生産台数が増加したこと等により、増収・営業利益は黒字化した。地域別売上高構成比は日本36.9%、アジア30.2%、ヨーロッパ10.3%、北米11.7%、その他の地域10.9%であった。一方、舶用・その他の製品事業の売上高は同8.7%増の2,356百万円、営業利益は同171.0%増の371百万円となった。産業機器向けメタモールド製品の需要拡大等により、増収・大幅な増益となった。その他の売上高は同4.8%増の4,543百万円、営業利益は同21.2%増の177百万円となった。

自動車エンジン事業と非自動車エンジン事業で区分した場合、コロナ禍からの需要回復に伴い、両セグメントともに前期比で増収増益となり、安定した収益基盤を確立した。自動車エンジン事業の売上高は前期比9.3%増の435億円、営業利益率は同5.5%上昇し5.4%となった。売上高についてはコロナ禍前の2020年3月期の水準には達しなかったものの、原価低減効果や為替効果等により営業利益率は2020年3月期を上回った。一方、非自動車エンジン事業の売上高は同35.2%増の73億円、営業利益率は同6.0%上昇し3.8%となった。舶用ピストンリングの収益力強化、産業機械向けのメタモールド製品の需要拡大等により黒字化した。

3. 財務状況
2022年3月期末の資産合計は前期末比5,566百万円増加し67,375百万円となった。これは主に、棚卸資産が1,838百万円、現金及び預金が1,223百万円、投資有価証券が1,002百万円それぞれ増加したこと等による。棚卸資産の増加は原材料価格高騰の影響に加え、自動車メーカーの生産調整やサプライチェーン混乱を考慮して戦略的に増やしたもので、一時的である。負債合計は同827百万円増加し32,368百万円となった。これは主に、支払手形及び買掛金が1,085百万円、流動負債のその他が1,022百万円、電子記録債務が322百万円、営業外電子記録債務が284百万円それぞれ増加したこと等による。純資産合計は同4,738百万円増加し35,006百万円となった。これは主に、為替換算調整勘定が1,795百万円、利益剰余金が1,605百万円、その他有価証券評価差額金が696百万円それぞれ増加したこと等による。

この結果、自己資本比率は49.2%(前期末は46.4%)に改善、有利子負債が前期末比2,079百万円減少したことにより、ネットD/Eレシオは0.27倍(前期末は0.43倍)に低下し、特に大きな懸念は見当たらない。現金及び現金同等物の期末残高も増加しており、財務の健全性は維持されていると言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)




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