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ネットイヤー Research Memo(1):顧客起点のDX支援サービスが成長、新規事業も育成しながら2ケタ増益目指す

注目トピックス 日本株
■要約

ネットイヤーグループ<3622>は、インターネット技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタルマーケティング支援事業を展開しており、主にWebマーケティング領域において豊富な実績を持つ。2019年2月にNTTデータ<9613>と資本業務提携契約を締結し、グループ会社となっている。なお、2021年4月に子会社の(株)トライバルメディアハウスの全株式を売却したため、2022年3月期より単体決算のみの開示となる。

1. 2022年3月期の業績概要
2022年3月期の単体業績※は、売上高で前期比0.2%増の3,416百万円、営業利益で同46.1%増の205百万円となった。「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い、旧会計基準と比較し売上高及び売上原価が415百万円目減りしており、同要因を除いた実質増収率は12.4%となっている。顧客起点のDXに対する企業の投資意欲が旺盛で、なかでもNTTデータとの共同プロジェクトとなる大型案件が増収に大きく貢献した。NTTデータ向けの売上高は同75.2%増の1,130百万円となり、売上構成比率では33.1%まで上昇した。利益面では、増収効果に加えて大型案件が期初から寄与したことで、稼働率が年間を通じて高水準で推移したこともあり、売上原価率が大きく改善(2021年3月期の80.9%から75.0%(旧会計基準では77.7%)に改善)したことが増益要因となった。なお、新規事業として「Shopify(ショッピファイ)」アプリの開発販売を開始し、2022年6月までに8本をリリース、開発費用として62百万円を計上した。売上への貢献は軽微なものの、これらアプリの機能強化を図りながら収益化を目指していく。

※2022年3月期より単体決算会社となったため、単体数値にて比較している。また、2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用している。


2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の業績は、売上高で前期比5.4%増の3,600百万円、営業利益で同17.0%増の240百万円と増収増益が続く見通し。NTTデータとの協業案件が引き続き増加するほか、リアルとデジタルを融合した顧客起点でのUXデザインやシステム構築案件の増加が見込まれる。また、オウンドメディアの開発やEC構築支援サービス等の拡大も続く見通し。2019年から開始した「パフォーマンスオプティマイゼーションサービス※(以下、POS)」についても顧客数が33社(2022年3月期末)と順調に拡大しており、収益増に貢献する。課題であった人的リソースの強化については、新卒・中途採用の強化によって前期末比10%程度の増員を計画しているほか、IT人材の育成サービスを行う(株)LULLとの協業により、プロジェクトごとに必要な人材を補充していくことにしている。

※顧客企業のオウンドメディアの活性化とマーケティング費用対効果の最大化を目的に、顧客課題や市場状況、競合動向などのデータ分析を行い、「SEO」「WEB広告」「サイト改善」の3つの領域で改善施策と予算配分の提案を行うほか、運用・分析、改善提案までをワンストップソリューションとして支援するサービス。


3. 成長戦略
同社は2020年3月期から2023年3月期までを「経営基盤の強化」を図る期間と位置付け、その取り組みを推進してきた。利益体質への転換が図られるなど、その成果も顕在化してきている。2024年3月期以降の新たな中期計画では既存事業の成長に加えて、新規事業の開発・育成にも取り組むことで一段の収益成長を目指していく方針だ。新規事業としては、Shopify関連サービスやPOSに加えて、社会インパクト事業の育成に取り組んでいく。SDGsへの関心が高まるなか、社会課題解決型の新規事業の立ち上げを目指している企業に対して、サービスデザインやシステム構築、デジタルマーケティング支援等を行うサービスで、将来的には社会起業家とのオープンコラボレーション等も推進していく予定となっている。また、行政のデジタル化が今後一段と進展していくなかで、豊富な取引実績を持つNTTデータとの協業を推進していくことで、自治体向け開発案件の増加も期待される。

■Key Points
・2022年3月期は大型案件の寄与と原価率の改善により、実質2ケタ増収増益に
・2023年3月期もDX需要は底堅く、増収増益が続く見通し
・NTTデータとの協業推進に加えて、新規事業の育成により中長期的な企業価値向上を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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