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ミアヘルサHD Research Memo(7):2024年3月期に売上高243億円、経常利益6億円を目指す(1)

注目トピックス 日本株
■今後の成長戦略

1. 中期経営計画
(1) 基本方針と経営数値目標
今後の高齢化社会と少子化が進むなかで、ミアヘルサホールディングス<7129>は中長期的な事業展開を加速していくべく、2021年に3ヶ年の中期経営計画を策定し、また、業績計画については2021年10月にライフサポートをグループ会社化したことを踏まえて、2022年6月に修正発表を行った。

基本方針については、「市場機会を活かし、高齢化社会に必要な街づくりに向けて、保育・医薬・介護事業の機能連携により『生活を支える地域包括ケア』を展開する」ことを掲げ、中長期の事業変革に向けたDXの活用と戦略実現に向けた組織風土の改善に取り組んでいく。経営数値目標は、最終年度となる2024年3月期に売上高24,352百万円、営業利益628百万円、経常利益653百万円、親会社株主に帰属する当期純利益509百万円とした。ライフサポートをグループ会社化したことで、当初計画に対して売上高は4,352百万円上積みした一方、営業利益については12百万円減額している。これは介護事業の収益性が2022年3月期に低下したため、保守的に見直したことが主因となっている。また、親会社株主に帰属する当期純利益は保育園の新規開園計画を見直したことで、特別利益として計上する補助金収入が減少するため、当初計画から191百万円の減額となっている。

(2) 事業セグメント別計画と重点施策
a) 医薬事業
医薬事業は、2024年3月期の売上高で10,359百万円、営業利益で689百万円を目指す。2年間の年平均成長率は売上高で8.6%、営業利益で11.0%となる。当初計画(売上高10,000百万円、営業利益率7.2%以上)に対して、売上高は若干上積みし、営業利益率に関しては6.7%と若干引き下げた格好となっている。

店舗数については前期末の41店舗から45店舗に拡大する計画で、2023年3月期に門前薬局、医療モール内薬局各1店舗を出店し、2024年3月期は医療モール内薬局2店舗を出店する予定だ。売上高は2022年1月にオープンした足立医療センターの門前薬局2店舗や、新規医療モール内薬局の貢献による処方箋枚数の増加と、薬剤単価が高額な抗がん剤等の高度薬学管理の強化に取り組むことで計画達成を目指す。

また、利益率は2022年3月期の6.4%から6.7%と若干上昇を見込んでいる。病院から地元クリニックに逆紹介される患者を囲い込むため、医療モール型の開発に注力していくほか、オンライン服薬指導の活用による幅広い患者層の集客、カテゴリー別に再度仕入原価率を精査し、仕入ルートの最適化に取り組むことで改善していく方針となっている。医療モール型に関しては調剤技術料が門前薬局よりも約7%高いこともあり、処方箋枚数さえ確保できれば収益性の向上に寄与することになる。また、仕入コスト低減の具体策としては、現在仕入を行っている医薬品卸3社に対して、後発医薬品や新薬、疾患別などカテゴリー別に分類し、物流の効率化によるコスト見直しを含めて価格交渉を行うことで、仕入単価を引き下げていく。

そのほか薬局の機能強化とサービスの充実に向けた取り組みとして、介護部門との連携によるHIT(在宅輸液療法)等の在宅調剤売上の拡大や、かかりつけ薬局、地域連携薬局、健康サポート薬局の認定取得を進めていく。かかりつけ薬局については2022年3月期末で26店舗、地域連携薬局は1店舗それぞれ取得しており、現在取得準備中の専門医療機関連携薬局も含めて認定店舗を増やしていく。また、オンライン服薬指導や即日配送等のサービス強化にも取り組んでいく方針だ。

b) 介護事業
介護事業は、2024年3月期の売上高で3,938百万円、営業利益で53百万円を目指す。2年間の年平均成長率は売上高で7.5%、営業利益で48.6%となる。当初計画(売上高4,090百万円、営業利益率7.6%以上)に対して、売上高は若干引き下げ、営業利益率も1.3%と大きく引き下げた格好となっている。

売上高については、コロナ禍の収束が依然不透明で、通所介護サービスの利用者数回復の時期が見通し難いことに加えて、当初は年間1施設ペースで開設する計画であったホスピスについては、2023年3月期は開設を見送り2024年3月期に1施設を開設する計画に変更したことが要因だ。ホスピスについては既存施設における看護師の採用・定着化の課題を解消してから、拡大していくことにしている。このため、今回利益についても保守的な計画に見直している。

重点施策としては、介護・看護サービスの質の向上、継続的な営業強化と開設準備体制の構築、人事施策の3点を挙げている。介護・看護サービスの質の向上に関しては、事業所ごとにバラつきのあるサービス品質を均一化していくため、サービスセグメントごとに運営スキームの標準化を進めていくほか、セグメント別委員会を通じた介護・看護技術や知識の向上に取り組んでいく。また、本部機能を強化して各事業所の運営状況を定期的にチェックしていくとともに、法令遵守と根拠ある個別ケアの実践によるサービスの質の向上を図っていく。

また、営業強化施策としては、介護施設の安定稼働に向けた入居者募集体制の強化に取り組んでいく。入居者の退去日から新規入居者が決定するまでの期間を短縮することで稼働率の維持向上を図る。また、新規開設施設における開設1年前からの年間スケジュールに沿った入居促進と人材採用に取り組むことで、施設オープン後のスムーズな立ち上げを実現していく。

人事施策としては、採用力強化に向けて福祉系介護育成校とのネットワークを強化していくことで、新卒採用者数の増加を図っていく。保育事業での成功モデルを介護事業でも進めていく。従来は新卒で年間4〜5名の採用人数だったが、2023年以降は採用数をさらに増やしていくことにしている。また、管理職(エリア長、管理者、副主任)の育成強化のための研修を実施していくほか、政府による新たな処遇改善加算の活用により、職員のモチベーションアップを図りサービスの質の向上につなげていく。従来、こうした加算金については賞与等の一時金として支給してきたが、月額給与に反映することで、処遇改善の効果をわかりやすく伝えていく。

また、今後の需要拡大が見込まれるホスピス事業については、サービス付き高齢者向け住宅のホスピス化と専用のホスピス対応型ホームの開発を進めていく予定にしている。看護師の採用・定着化に加えて、地域の医療機関との連携強化を図ることで稼働率の安定維持を実現していく。また、医師・看護師・薬剤師を中心とした多職種チームによる緩和ケアサービスを提供し、「病院の安心感」と「自宅の快適さ」を備えた設備によりチームケアの充実を図るなど、サービス品質の向上に取り組んでいく。ホスピス施設では看護ステーションが併設されるほか薬剤料も含めると、顧客1人あたりの売上高はグループホームなどと比べて約2.5倍の水準となり、医薬事業とのシナジー効果も見込まれる。ホスピス対応型ホームのドミナント展開によって地域包括ケア体制をさらに拡充し、グループ全体の事業効率を一段と高めていく戦略だ。

高齢化社会の進展により65歳以上の人口は2060年には38.1%まで上昇することが予測されている。なかでも、介護サービスの利用率が高まる75歳以上の人口については2020年の1,872万人から2055年には2,446万人と約1.3倍に増加し、4人に1人が75歳以上という超高齢化社会に突入することになる。このため、今後も介護サービスの市場は安定的に拡大していくことが予想され、特に人口の多い首都圏で居住系から在宅系まで幅広い領域のサービスを展開する同社にとっては、事業を拡大していく好機と言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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