芙蓉リース Research Memo(4):2022年3月期は過去最高益を更新。中期経営計画も全項目で超過達成(1)
[22/07/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
3. 2022年3月期決算の概要
芙蓉総合リース<8424>の2022年3月期の業績は、営業利益が前期比3.3%増の460億円、経常利益が同9.8%増の527億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.6%増の339億円と、各段階利益で増益かつ過去最高益を更新した。また、2022年3月期を最終年度とする中期経営計画の目標(経常利益500億円、ROA 2.0%、営業資産残高2.5兆円)についてもすべての項目で超過達成することができた。
売上高は前期比11.1%減の6,578億円と、会計基準の変更※1により減収となったものの、損益への影響はなく、事業本来の業績を示す「差引利益」は同6.2%増の982億円と順調に拡大した。特に戦略分野については、引き続き好調な「エネルギー環境」や「不動産」などが伸長したほか、ファイナンス事業においても適切なポートフォリオの入替やエクイティ投資※2による収益の拡大が増益に大きく寄与した。また、NOCの伸びやWorkVisionの連結化も上乗せ要因となっている。
※1 「収益認識に関する会計基準」等の適用によるもの。
※2 主に不動産ファイナンスや再生可能エネルギー事業におけるエクイティ出資からの収益。
一方、費用面については、WorkVisionの連結化や退職給付費用の増加等により人物件費が増加したものの、持分法投資利益※の増加等に伴う営業外収益の伸びも手伝い、経常利益は大幅な増益となった。
※特にカナダの子会社(ピックアップトラックのリース)や、横河電機との合弁による横河レンタ・リース(PC・計測器のレンタル)が好調であったもようだ。
「契約実行高」についても前期比3.0%増の1兆3,844億円に増加した。「不動産」や「航空機」など戦略分野を中心にオペレーティング・リースが伸びたほか、診療・介護報酬債権などを対象としたアクリーティブのファクタリングも拡大した。また、「営業資産残高」についても、流動化を通じたアセットコントロールによりファイナンス・リースが減少したが、戦略分野の営業資産の積み上げでカバーし、前期末とほぼ同水準の2兆5,659億円を確保するとともに、中期経営計画の目標値(2.5兆円)を大きく超過することができた。
これらの結果、ROAについては2.06%(前期は1.94%)と大きく改善した。収益性の高いポートフォリオへの入れ替えが奏功し、中期経営計画目標値(2.0%)を上回ることができた。
財政状態については、総資産は前期末比1.0%減の2兆9,497億円とほぼ横ばいで推移した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同9.3%増の3,328億円に増加したことから、自己資本比率は11.3%(前期末は10.2%)に改善した。また、有利子負債(リース債務を除く)は前期末比2.7%減の2兆3,662億円に減少するとともに、社債や長期借入金を活用した長期調達※1を進めた一方、CPによる短期調達を抑制したことから、長期有利子負債比率※2は43.2%(前期末は41.0%)に向上し、短期の支払い能力を示す流動比率も139.5%(同137.1%)と安定しており、財務の健全性は維持されている。
※1 ESGファイナンスの取り組みによる、サステナビリティボンド(芙蓉CSVボンド)やポジティブ・インパクト・ファイナンスによる調達を含む。
※2 有利子負債に占める、長期有利子負債(社債+長期借入金+債権流動化に伴う長期支払債務)の比率。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
3. 2022年3月期決算の概要
芙蓉総合リース<8424>の2022年3月期の業績は、営業利益が前期比3.3%増の460億円、経常利益が同9.8%増の527億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同14.6%増の339億円と、各段階利益で増益かつ過去最高益を更新した。また、2022年3月期を最終年度とする中期経営計画の目標(経常利益500億円、ROA 2.0%、営業資産残高2.5兆円)についてもすべての項目で超過達成することができた。
売上高は前期比11.1%減の6,578億円と、会計基準の変更※1により減収となったものの、損益への影響はなく、事業本来の業績を示す「差引利益」は同6.2%増の982億円と順調に拡大した。特に戦略分野については、引き続き好調な「エネルギー環境」や「不動産」などが伸長したほか、ファイナンス事業においても適切なポートフォリオの入替やエクイティ投資※2による収益の拡大が増益に大きく寄与した。また、NOCの伸びやWorkVisionの連結化も上乗せ要因となっている。
※1 「収益認識に関する会計基準」等の適用によるもの。
※2 主に不動産ファイナンスや再生可能エネルギー事業におけるエクイティ出資からの収益。
一方、費用面については、WorkVisionの連結化や退職給付費用の増加等により人物件費が増加したものの、持分法投資利益※の増加等に伴う営業外収益の伸びも手伝い、経常利益は大幅な増益となった。
※特にカナダの子会社(ピックアップトラックのリース)や、横河電機との合弁による横河レンタ・リース(PC・計測器のレンタル)が好調であったもようだ。
「契約実行高」についても前期比3.0%増の1兆3,844億円に増加した。「不動産」や「航空機」など戦略分野を中心にオペレーティング・リースが伸びたほか、診療・介護報酬債権などを対象としたアクリーティブのファクタリングも拡大した。また、「営業資産残高」についても、流動化を通じたアセットコントロールによりファイナンス・リースが減少したが、戦略分野の営業資産の積み上げでカバーし、前期末とほぼ同水準の2兆5,659億円を確保するとともに、中期経営計画の目標値(2.5兆円)を大きく超過することができた。
これらの結果、ROAについては2.06%(前期は1.94%)と大きく改善した。収益性の高いポートフォリオへの入れ替えが奏功し、中期経営計画目標値(2.0%)を上回ることができた。
財政状態については、総資産は前期末比1.0%減の2兆9,497億円とほぼ横ばいで推移した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同9.3%増の3,328億円に増加したことから、自己資本比率は11.3%(前期末は10.2%)に改善した。また、有利子負債(リース債務を除く)は前期末比2.7%減の2兆3,662億円に減少するとともに、社債や長期借入金を活用した長期調達※1を進めた一方、CPによる短期調達を抑制したことから、長期有利子負債比率※2は43.2%(前期末は41.0%)に向上し、短期の支払い能力を示す流動比率も139.5%(同137.1%)と安定しており、財務の健全性は維持されている。
※1 ESGファイナンスの取り組みによる、サステナビリティボンド(芙蓉CSVボンド)やポジティブ・インパクト・ファイナンスによる調達を含む。
※2 有利子負債に占める、長期有利子負債(社債+長期借入金+債権流動化に伴う長期支払債務)の比率。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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