平和RE Research Memo(3):物件譲渡益が寄与し、期初予想を上回る増収増益決算。分配金は過去最高を更新
[22/08/08]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2022年5月期の業績概要
平和不動産リート投資法人<8966>の2022年5月期(第41期)の業績は営業収益7,322百万円(前期比6.5%増)、営業利益3,609百万円(同7.4%増)、経常利益3,193百万円(同7.5%増)、当期純利益3,193百万円(同7.5%増)となった。物件譲渡益(462百万円)及び期中の物件取得が寄与し、営業収益及び各段階利益は、いずれも期初予想を上回って着地した。なお、REITでは、税引前利益の90%超を分配金として支払う場合には法人税が免除されることから、当期純利益は経常利益とほぼ同水準となっている。
外部成長としては、オフィス2物件とレジデンス2物件を取得し、期末には2022年11月期初(第42期)の公募増資と合わせてレジデンス3物件の譲渡を行った結果、2022年5月期末の資産規模は1,963億円に拡大した。内部成長としては、ポートフォリオ全体の期中平均稼働率が97.48%(前期比0.19ポイント上昇)と回復基調にある。オフィスの期中平均稼働率は98.68%とコロナ禍においても高位安定稼働を見せたほか、レジデンスの期中平均稼働率は96.76%とコロナ禍前の水準に回復した。また、高い稼働率を背景に、NOI利回り(実質利回りとも言う、(賃貸事業収入-賃貸事業費用)(年換算)/期中平均帳簿価額×100で計算)も5.20%(同0.07ポイント低下)と、引き続き高水準を維持している。財務運営では、良好な金融環境を背景に借入期間を長期化し、健全な財務体質を堅持している。
以上から、EPUは3,024円(前期比208円増)となり、DPUは3,050円(同160円増)と13期連続でスポンサー変更後の最高値を更新した。また、物件譲渡益等の一時的要因を除いた実力ベースの収益力を示す、賃貸収益ベースのEPUは、前期比9円増の2,639円となった。これらの着実な成長に加え、同REITは分散の効いたポートフォリオ(114物件)、潤沢なフリーキャッシュ(119.2億円)、十分な内部留保(53.8億円)、低い鑑定LTV(40.6%)、コミットメントライン(70億円)、格付A+(ポジティブ)(2022年6月にAA-に格上げ)など、コロナ禍などの不測の事態に備えて十分なリスク耐性を備えている。
2. 財政状態
2022年5月期末の財政状態は、総資産209,794百万円(前期末比3.2%増)、純資産104,618百万円(同0.4%増)、有利子負債96,757百万円(同6.5%増)であった。平均調達金利は0.739%と過去最低水準を維持し、有利子負債の平均調達年数は7.15年であった。今後も、主要金融機関との良好な関係のもと、比較的金利水準が高い過去の借入金が満期を迎えることで、緩やかな調達コストの低下が見込まれる。なお、長期借入金比率は99.8%、長期借入金固定化比率は80.7%と高く、将来の金利上昇リスクに備えている。また、大手都銀からのコミットメントライン(必要な時に借りられる、銀行からの融資枠)を2020年11月期より70億円に拡大し、不測の事態にも対応できるように、手元流動性を拡充している。
一方、鑑定LTV比率(期末の鑑定評価額(帳簿価額+含み損益)に対する有利子負債の割合)は40.6%と良好な低水準を維持している。同REITでは、同比率40〜50%を標準水準として維持し、上限を65%に設定しているが、鑑定評価額の増加に伴って同比率は低下傾向にあり、借入余力が拡大したことで、より機動的な物件取得が可能になっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<YM>
1. 2022年5月期の業績概要
平和不動産リート投資法人<8966>の2022年5月期(第41期)の業績は営業収益7,322百万円(前期比6.5%増)、営業利益3,609百万円(同7.4%増)、経常利益3,193百万円(同7.5%増)、当期純利益3,193百万円(同7.5%増)となった。物件譲渡益(462百万円)及び期中の物件取得が寄与し、営業収益及び各段階利益は、いずれも期初予想を上回って着地した。なお、REITでは、税引前利益の90%超を分配金として支払う場合には法人税が免除されることから、当期純利益は経常利益とほぼ同水準となっている。
外部成長としては、オフィス2物件とレジデンス2物件を取得し、期末には2022年11月期初(第42期)の公募増資と合わせてレジデンス3物件の譲渡を行った結果、2022年5月期末の資産規模は1,963億円に拡大した。内部成長としては、ポートフォリオ全体の期中平均稼働率が97.48%(前期比0.19ポイント上昇)と回復基調にある。オフィスの期中平均稼働率は98.68%とコロナ禍においても高位安定稼働を見せたほか、レジデンスの期中平均稼働率は96.76%とコロナ禍前の水準に回復した。また、高い稼働率を背景に、NOI利回り(実質利回りとも言う、(賃貸事業収入-賃貸事業費用)(年換算)/期中平均帳簿価額×100で計算)も5.20%(同0.07ポイント低下)と、引き続き高水準を維持している。財務運営では、良好な金融環境を背景に借入期間を長期化し、健全な財務体質を堅持している。
以上から、EPUは3,024円(前期比208円増)となり、DPUは3,050円(同160円増)と13期連続でスポンサー変更後の最高値を更新した。また、物件譲渡益等の一時的要因を除いた実力ベースの収益力を示す、賃貸収益ベースのEPUは、前期比9円増の2,639円となった。これらの着実な成長に加え、同REITは分散の効いたポートフォリオ(114物件)、潤沢なフリーキャッシュ(119.2億円)、十分な内部留保(53.8億円)、低い鑑定LTV(40.6%)、コミットメントライン(70億円)、格付A+(ポジティブ)(2022年6月にAA-に格上げ)など、コロナ禍などの不測の事態に備えて十分なリスク耐性を備えている。
2. 財政状態
2022年5月期末の財政状態は、総資産209,794百万円(前期末比3.2%増)、純資産104,618百万円(同0.4%増)、有利子負債96,757百万円(同6.5%増)であった。平均調達金利は0.739%と過去最低水準を維持し、有利子負債の平均調達年数は7.15年であった。今後も、主要金融機関との良好な関係のもと、比較的金利水準が高い過去の借入金が満期を迎えることで、緩やかな調達コストの低下が見込まれる。なお、長期借入金比率は99.8%、長期借入金固定化比率は80.7%と高く、将来の金利上昇リスクに備えている。また、大手都銀からのコミットメントライン(必要な時に借りられる、銀行からの融資枠)を2020年11月期より70億円に拡大し、不測の事態にも対応できるように、手元流動性を拡充している。
一方、鑑定LTV比率(期末の鑑定評価額(帳簿価額+含み損益)に対する有利子負債の割合)は40.6%と良好な低水準を維持している。同REITでは、同比率40〜50%を標準水準として維持し、上限を65%に設定しているが、鑑定評価額の増加に伴って同比率は低下傾向にあり、借入余力が拡大したことで、より機動的な物件取得が可能になっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<YM>