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サイジニア Research Memo(7):scienceとengineeringで情報化社会の問題を解決

注目トピックス 日本株
■中期成長イメージ

1. 経営理念
science+engineeringを社名(scigineer)の由来とするサイジニア<6031>は、アカデミックな科学的アプローチと実践的な技術開発に同時に取り組むことが、新たなイノベーションを創出することにつながると考えている。情報化社会における問題点は、過剰な情報に囲まれて欲しい情報が見つけられないこと、検索できない情報についてはその存在にすら気付けないことである。こうした情報化社会の問題点に対して、サイエンスとエンジニアリングで解決することを同社は企業理念としている。そのため、既存サービスを強化し、新たなサービスを開発することで、ユーザーの魅力ある買い物や顧客の売上高拡大に向けて今後も購買環境や販売環境を改善し、顧客のデジタルマーケティングを支援する考えである。


中期成長のドライバーとなる新たなサービス
2. 新たなサービス
同社の経営理念に統合シナジーが加わることで、中期成長のドライバーとなる新サービスの開発に拍車がかかっている。その1つが、商品説明や同社が経営資源として蓄積しているクチコミなどからホットなキーワードを抽出し、CX向上やSEO改善などにつなげるハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」である。ECサイトは、ユーザーによるクチコミやスタッフの投稿などUGC(User Generated Contents=ユーザーが作るコンテンツ)の活用が加速しており、単なる購買の場だけでなくメディアとしての役割も高まっている。クッキー規制でリターゲティング広告が難しくなると予測されるなか、UGCをデータとして活用することは、ECサイトなどのCX向上やサイトへの流入増加の効果が期待できる。「ZETA HASHTAG」は、商品説明やクチコミなどのテキストを解析することで、その商品にまつわるホットなキーワードを抽出することができるため、「ZETA CXシリーズ」の既存プロダクトである「ZETA SEARCH」や「ZETA VOICE」との親和性が高く、連携することで大きな効果を得ることができる。また、商品ページやクチコミへのアクセス解析などと連動してキーワード同士の関連性を見出すことで、ユーザーにセレンディピティ(素敵な偶然の出会い)を提供し、ショッピングが一層楽しくなるCXを実現することができる。

また、リテールメディアテックの1つで、すでに一部サイトで利用しているが、サイト内検索連動広告を新サービスとして「デクワス.LISTING」をリリースした。検索連動広告とは、ユーザーが検索したキーワードに連動した広告を表示する広告サービスで、GoogleやYahoo!など検索エンジンでは以前から普及していたが、最近ではAmazonや大手ECモールのようなECサイト内での利用が進んでいる。ECサイトに来るのはもともと購買意欲の高いユーザーが多いため、そうしたサイトで行われる検索連動広告は非常に効果が高いといわれている。また、クッキー規制が実際に行われる可能性が高まっており、クッキーに依存しない広告のため一層脚光が当たると考えられている。特にリテールのECサイトでの検索連動広告は、メーカーやブランドにとって効率的なマーケティング手法になると見られている。また、今後、リテールのECサイトは単なる売場としての役割だけではなく、クチコミなどの活用によりソーシャル化することで、情報発信の場やユーザー同士のコミュニケーションの場としても広く使われていくことが予想されている。同社も経営資源であるクチコミを利用した新サービスの開発に余念がない。


中長期的にさらなるシナジーや効率化、事業拡大を追求する方針
3. 中長期成長イメージ
同社の事業領域であるEC市場は、今後も高い成長が続くことが見込まれている。同社も、既存サービスの成長力が強く新サービスの創出力も高いことから、高い成長が見込まれている。これは、ZETAを経営統合し、経営資源・技術開発力の相互活用、顧客基盤の拡大、機動的な事業戦略を策定する経営体制の確立を進めてきたことで、業績を拡大し企業価値の向上を図ることができるようになったことが背景にある。さらに成長力を高めるため、グループ各社の事業領域を再定義したうえで組織改革を実行した。これにより、同社がM&Aや研究開発、グループ全体のコーポレート機能に、プロフィット事業部がDSP開発・運営やハイエンド向けCXソリューションにフォーカスすることができるようになった。これで、効率的でバランスの取れた事業ポートフォリオが構築され、中長期成長へ向けて収益体質を一層強化する社内体制が整ったといえる。なお、将来的にストック型収益の比率を高める方針で、より安定した業績と強い成長を同時に実現する考えである。

現在、顧客の多い小売業界で大きな問題となっているのが、急進展するDXや急拡大するECへの対応である。リアルでもネットでもユーザーのタッチポイントが急速に多様化したことで多種多様で大量なデータが生成されるようになり、それを処理するため小売業界でDXが急速に進んでいるが、売上の大半を占める実店舗のDXに忙しくて手が足りないくらいである。また、ネットに流出した売上を取り戻すため、実店舗とECの対立関係を融合へと進化させることも急務となっている。このような小売業界の問題によって、ZETAの展開するCX改善サービスとOMO推進サービスの両方に追い風が吹いている。同社は解析対象となるデータ同士の関連性をリアルタイムに分析しているが、ネットだけでなくリアルの世界での消費行動データにも対応できるため、特にネットとリアルの融合をビジネスとするOMO推進サービスにとって強い追い風といえる。また、「ZETA VOICE」では投稿数(クチコミデータ)が急増しているが、取り扱うクチコミ数が増えると解析ビジネスが大きくなるだけでなく、特にリテーラーのECサイト自体が有望な広告メディアとして価値を持ってくるため、「ZETA HASHTAG」や「デクワス.LISTING」など顧客とユーザーをつなぐ新サービスのビジネスチャンスは大きいといえる。

同社が業容を拡大し収益力を強化する一方、同社のターゲットとする市場は拡大を続け、小売などEC事業者が同社のサービスを利用する機会が着実に増えている。このため2022年6月期は大きく黒字転換し、2023年6月期は実質的に30%を超える利益成長が予想されている。今後もさらなるシナジーや効率化、事業拡大を追求する方針で、特に、急増するクチコミデータを応用した事業やポストクッキー時代に向けたビジネス、リテーラーECサイトの新たな価値を利用したリテールメディアテックなどを見据えたサービス展開を強化する考えである。弊社では、中期的に相当の利益成長が期待され、長期的には新規事業やM&Aにより成長力がさらに引き上る可能性もあると考える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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