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サイオス Research Memo(2):半導体不足の影響による売上減少やSaaS事業への先行投資により減収、営業損失

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2022年12月期第2四半期累計業績の概要
サイオス<3744>の2022年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比10.2%減の7,256百万円、営業損失で225百万円(前年同期は295百万円の利益)、経常損失で207百万円(同316百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失で339百万円(同234百万円の利益)となった。

なお、2022年12月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、収益認識会計基準)等を適用しており、その影響額として売上高が186百万円減少し、営業利益及び経常利益はそれぞれ9百万円増加した。

業績悪化の要因は、大きく分けて2つある。1点目は、2021年後半から続いている半導体不足によりサーバー等のハードウェア製品の供給不足が生じ、顧客企業においてシステム投資の先送りがあった影響を受け、一部製品の売上が減少したことが挙げられる。2点目は、減益要因として、SaaS事業の成長に向けたマーケティング投資や開発投資等を積み増したことが挙げられる。

売上総利益率は、収益認識会計基準等の適用及び販売構成比の変化(Red Hat, Inc.関連製品等の仕入販売事業の構成比低下)を主因として、前年同期の30.8%から31.7%に上昇したものの、減収に伴い売上総利益は同7.6%減となった。また、販管費は、人件費を含む研究開発費の増加やマーケティング費用の増加を主因として、同15.2%増となった。


OSS関連商品及びサポートサービス、「Gluegentシリーズ」、MFP向けソフトウェア製品は堅調な増収に

2. 事業セグメント別の動向
(1) オープンシステム基盤事業
オープンシステム基盤事業の売上高は前年同期比14.9%減の4,303百万円、営業利益は同92.9%減の15百万円となった。OSS関連商品及びOSSサポートサービスは堅調な増収となったものの、売上構成比の高いRed Hat, Inc.関連商品は半導体不足によるハードウェア等の納期遅延を理由に大型案件が昨年に比べて減少したため、大幅減収となった。また、主力自社製品である「LifeKeeper」も、米州及びアジア・オセアニア地域が増収となったものの、ハードウェア等の供給不足により国内のライセンス販売が減少し、全体でも減収となった。なお、海外売上高は同11.8%増の376百万円と2年連続で増収となった。一方、利益面では、減収に伴う売上総利益の減少に加えて人件費の増加が減益要因となった。なお、収益認識会計基準等の適用に伴う収益への影響はない。

(2) アプリケーション事業
アプリケーション事業の売上高は前年同期比2.6%減の2,947百万円、営業損失は246百万円(前年同期は79百万円の利益)となった。「Gluegentシリーズ」及びMFP向けソフトウェア製品は堅調な増収となったものの、半導体不足によるハードウェア製品等の供給不足により、顧客企業においてシステム投資の先送りがあった影響を受け、金融機関向け経営支援システム販売が減収となった。利益面では325百万円の悪化となったが、減収に加えて人件費が増加したこと、新製品・サービスへの投資を積み増したことが減益要因となった。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は186百万円減少、セグメント利益は9百万円増加している。

なお、新製品として、Med Tech領域で精神科病院向け電子カルテサービス「INDIGO NOTE」をリリースしたほか、HR Tech領域で従業員エンゲージメント(会社と従業員の間の信頼関係)を定量化できる「OurEngage」の提供を同年6月より開始した(詳細は後述)。


有利子負債が順調に減少、将来の売上になる前受金は増加基調

3. 財務状況
2022年12月期第2四半期末の総資産は前期末比545百万円減少の6,104百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が410百万円減少し、固定資産では差入保証金が29百万円減少した。負債合計は同199百万円減少の4,552百万円となった。有利子負債が64百万円減少したほか、買掛金が321百万円減少した。一方、将来の売上高となる前受金についてはサブスクリプションサービス(保守サービス含む)の契約件数増加に伴い、同341百万円増の2,740百万円と順調に積み上がっている。前受金が発生する製品・サービスとしては、「LifeKeeper」、「Gluegentシリーズ」やMFP向けソフトウェア製品(サブスクリプションモデル)等がある。純資産合計は同346百万円減少の1,551百万円となった。円安進展により為替換算調整勘定が94百万円改善した一方で、配当金支出と親会社株主に帰属する四半期純損失の計上により利益剰余金が461百万円減少した。経営指標については、有利子負債の圧縮に取り組んだことで有利子負債比率は前期末の17.1%から16.9%に低下した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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