エルテス Research Memo(1):上期は戦略的M&Aや「内部脅威検知サービス」の伸びにより、大幅な増収増益
[22/11/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
エルテス<3967>は、「次々と現れる新たなデジタルリスクに立ち向かい、デジタルリスクを解決すること」をミッションに掲げ、リスク検知に特化したビッグデータ解析技術を基に、企業を中心としたあらゆる組織が晒されるリスクを解決するためのソリューションを提供している。創業来の主力である「ソーシャルリスクサービス」は、SNSやブログ、検索サイトなどWeb上の様々なメディアに起因するリスクに対するソリューションを提供するものである。インターネットの普及やデジタルデバイスの進化により、利便性の向上と引き換えに様々なリスク(従業員による不適切投稿等に伴う風評被害やネット炎上等)が顕在化するなか、ソーシャルメディアの監視から緊急対応、その後の対応まで、顧客のリスクマネジメントをワンストップで支援する独自のポジショニングにより成長を実現してきた。最近では、政府が進める経済安全保障※対策や営業秘密等の機密情報の持ち出し対策などを背景として、社内のログデータを対象として情報漏えいなどを検知する「内部脅威検知サービス」も順調に伸びている。
※経済活動や社会生活の安定を維持するために、エネルギー・資源・食料などの安定供給を確保するための措置、または技術・データの流出の未然措置などを講じること。
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を契機とする新たな事業機会の出現やデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)化の動きが加速するなかで、主力の「デジタルリスク事業」に加え、「AIセキュリティ事業」及び「DX推進事業」を新たな事業セグメントとして立ち上げた。今後は3つの事業による変革を進め、デジタル技術を軸とするユニークな事業基盤を確立していく方針である。また、2023年2月期に入ってからは戦略的M&Aや資本業務提携を相次いで実現するなど、事業体制及び組織運営の刷新にも取り組んでおり、成長加速に向けた「変革と基盤構築」が本格的に動き出した。
1. 2023年2月期上期決算の概要
2023年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比46.9%増の1,850百万円、営業利益が22百万円(前年同期は62百万円の損失)と、大幅な増収により営業損益の黒字化を実現した。重視するEBITDAについても86百万円と大きく改善している。売上高は、相次ぐM&Aによる効果※を含め、「デジタルリスク事業」「AIセキュリティ事業」「DX推進事業」の3つの事業がそれぞれ伸長した。特に「デジタルリスク事業」については、営業秘密など情報持ち出し事件が引き金となり「内部脅威検知サービス」が大きく成長した。また、「AIセキュリティ事業」及び「DX推進事業」についてもM&AやPMI(統合プロセス)推進による体制強化が増収に寄与した。損益面では、一時的なM&A費用が利益を圧迫したものの、高収益な「内部脅威検知サービス」の伸びなどにより営業損益は増益となり、3期ぶりに黒字化を実現した。一時的な費用を除く営業利益では79百万円で着地しており、利益を生み出せる体質改善が着実に進んできたと言える。
※2023年2月期上期期間中に合計4件のM&A案件を実現(そのうち1件は2023年2月期下期からの寄与)。
2. 2023年2月期の業績予想
2023年2月期の連結業績について同社は、2022年9月1日付で売上高予想を増額修正した。売上高は前期比67.7%増の4,500百万円、営業利益は同148.9%増の200百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。売上高を増額修正したのは、第3四半期から連結化した(株)メタウン(旧 バンズ保証(株))による上乗せ分を反映したことが理由である。加えて、需要が拡大してきた「内部脅威検知サービス」の伸びや金融機関向けDXサービスの大型システム案件、M&A先に対するPMI推進が大幅な増収に寄与する想定となっている。損益面でも、「内部脅威検知サービス」や大型システム案件が寄与するほか、上期に発生した一時的なM&A費用が解消されることにより、下期の利益率は大きく改善する想定となっている。
3. 成長戦略
2022年2月期より同社は、新たな中期経営計画「The Road To 2024」をスタートさせた。コロナ禍をきっかけにDX化への動きが加速するなかで、新たな事業機会を取り込むために、「AIセキュリティ事業」及び「DX推進事業」を創設し、事業構造の変革を進めていくことが最大のテーマとなっている。これまで主戦場としてきたSNS炎上対策というニッチな成長領域に加え、「デジタルガバメント関連」や「警備業界」など、成長率が高い領域、もしくは市場規模が大きい領域へ展開し、ユニークな事業基盤を構築する方向性である。3年×3期による9年の中長期を視野に入れており、第1フェーズの3年間は「変革と基盤構築」に取り組み、第2フェーズ以降での「加速度的な成長サイクルの実現」を目指している。また、成長の先に健全なデジタル社会の実現を見据え、メタバース×スマートシティによる独自の「メタシティ構想(リアルとデジタルが融合した都市計画)」を推し進める考えだ。
■Key Points
・2023年2月期上期は戦略的M&A等により大幅な増収増益となり、営業損益の黒字化を実現
・営業秘密など情報持ち出し事件が引き金となり、「内部脅威検知サービス」に対する需要が拡大傾向
・2023年2月期の売上高予想を増額修正。「内部脅威検知サービス」の伸びやPMI推進などにより通期でも大幅な増収増益を見込む
・中期経営計画では成長加速に向けて、「変革と基盤構築」に取り組むとともに、独自の「メタシティ構想」を推し進める方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NS>
エルテス<3967>は、「次々と現れる新たなデジタルリスクに立ち向かい、デジタルリスクを解決すること」をミッションに掲げ、リスク検知に特化したビッグデータ解析技術を基に、企業を中心としたあらゆる組織が晒されるリスクを解決するためのソリューションを提供している。創業来の主力である「ソーシャルリスクサービス」は、SNSやブログ、検索サイトなどWeb上の様々なメディアに起因するリスクに対するソリューションを提供するものである。インターネットの普及やデジタルデバイスの進化により、利便性の向上と引き換えに様々なリスク(従業員による不適切投稿等に伴う風評被害やネット炎上等)が顕在化するなか、ソーシャルメディアの監視から緊急対応、その後の対応まで、顧客のリスクマネジメントをワンストップで支援する独自のポジショニングにより成長を実現してきた。最近では、政府が進める経済安全保障※対策や営業秘密等の機密情報の持ち出し対策などを背景として、社内のログデータを対象として情報漏えいなどを検知する「内部脅威検知サービス」も順調に伸びている。
※経済活動や社会生活の安定を維持するために、エネルギー・資源・食料などの安定供給を確保するための措置、または技術・データの流出の未然措置などを講じること。
新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)を契機とする新たな事業機会の出現やデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)化の動きが加速するなかで、主力の「デジタルリスク事業」に加え、「AIセキュリティ事業」及び「DX推進事業」を新たな事業セグメントとして立ち上げた。今後は3つの事業による変革を進め、デジタル技術を軸とするユニークな事業基盤を確立していく方針である。また、2023年2月期に入ってからは戦略的M&Aや資本業務提携を相次いで実現するなど、事業体制及び組織運営の刷新にも取り組んでおり、成長加速に向けた「変革と基盤構築」が本格的に動き出した。
1. 2023年2月期上期決算の概要
2023年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比46.9%増の1,850百万円、営業利益が22百万円(前年同期は62百万円の損失)と、大幅な増収により営業損益の黒字化を実現した。重視するEBITDAについても86百万円と大きく改善している。売上高は、相次ぐM&Aによる効果※を含め、「デジタルリスク事業」「AIセキュリティ事業」「DX推進事業」の3つの事業がそれぞれ伸長した。特に「デジタルリスク事業」については、営業秘密など情報持ち出し事件が引き金となり「内部脅威検知サービス」が大きく成長した。また、「AIセキュリティ事業」及び「DX推進事業」についてもM&AやPMI(統合プロセス)推進による体制強化が増収に寄与した。損益面では、一時的なM&A費用が利益を圧迫したものの、高収益な「内部脅威検知サービス」の伸びなどにより営業損益は増益となり、3期ぶりに黒字化を実現した。一時的な費用を除く営業利益では79百万円で着地しており、利益を生み出せる体質改善が着実に進んできたと言える。
※2023年2月期上期期間中に合計4件のM&A案件を実現(そのうち1件は2023年2月期下期からの寄与)。
2. 2023年2月期の業績予想
2023年2月期の連結業績について同社は、2022年9月1日付で売上高予想を増額修正した。売上高は前期比67.7%増の4,500百万円、営業利益は同148.9%増の200百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。売上高を増額修正したのは、第3四半期から連結化した(株)メタウン(旧 バンズ保証(株))による上乗せ分を反映したことが理由である。加えて、需要が拡大してきた「内部脅威検知サービス」の伸びや金融機関向けDXサービスの大型システム案件、M&A先に対するPMI推進が大幅な増収に寄与する想定となっている。損益面でも、「内部脅威検知サービス」や大型システム案件が寄与するほか、上期に発生した一時的なM&A費用が解消されることにより、下期の利益率は大きく改善する想定となっている。
3. 成長戦略
2022年2月期より同社は、新たな中期経営計画「The Road To 2024」をスタートさせた。コロナ禍をきっかけにDX化への動きが加速するなかで、新たな事業機会を取り込むために、「AIセキュリティ事業」及び「DX推進事業」を創設し、事業構造の変革を進めていくことが最大のテーマとなっている。これまで主戦場としてきたSNS炎上対策というニッチな成長領域に加え、「デジタルガバメント関連」や「警備業界」など、成長率が高い領域、もしくは市場規模が大きい領域へ展開し、ユニークな事業基盤を構築する方向性である。3年×3期による9年の中長期を視野に入れており、第1フェーズの3年間は「変革と基盤構築」に取り組み、第2フェーズ以降での「加速度的な成長サイクルの実現」を目指している。また、成長の先に健全なデジタル社会の実現を見据え、メタバース×スマートシティによる独自の「メタシティ構想(リアルとデジタルが融合した都市計画)」を推し進める考えだ。
■Key Points
・2023年2月期上期は戦略的M&A等により大幅な増収増益となり、営業損益の黒字化を実現
・営業秘密など情報持ち出し事件が引き金となり、「内部脅威検知サービス」に対する需要が拡大傾向
・2023年2月期の売上高予想を増額修正。「内部脅威検知サービス」の伸びやPMI推進などにより通期でも大幅な増収増益を見込む
・中期経営計画では成長加速に向けて、「変革と基盤構築」に取り組むとともに、独自の「メタシティ構想」を推し進める方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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