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エヴィクサー Research Memo(3):独自の要素技術を、映画を中心としたエンターテイメントなど様々な領域で活用

注目トピックス 日本株
■事業概要

エヴィクサー<4257>は、独自の要素技術である音声フィンガープリント技術及び音響透かし技術を、映画を中心としたエンターテイメント、TV視聴測定、IoT/M2M、地方DX(防災等)といった領域で活用することで、様々なソリューションを提供している。

音に情報を載せ、伝達を行う音響通信は、1) 音による通信が可能なため、放送や配信などとの相性が良い、2) スピーカーとマイクのみで通信が可能であり、開発と運用のフットプリントが軽い、3) 電波ではないため、技適(技術基準適合証明)不要であり、輸出を考慮した開発や国別の再検査が不要、4) オーディオアンプのボリューム調整のみで細やかな通信範囲の調整が可能、5) 電波法の縛りがないため、音波の届く範囲までデータ送信が可能、といった特長を有しており、電波通信とは違ったメリットがある。

加えて、音声フィンガープリント技術及び音響透かし技術には、以下のような特長や優位性がある。なお、同社は顧客ニーズに合わせて両技術を組み合わせ、「Another Track(R)」「Evixar ACR」の名称でソリューションとして提供している。

1. 音声フィンガープリント技術
音声フィンガープリント技術は、マルチメディアデータの内容を信号処理を行い分析して、異なる内容のデータ同士の区別が可能な最小限の情報を抽出する技術である。指紋で個人を認識できるように、任意の機器で再生されるマルチメディアデータの内容を認識することが可能となる。同社が収集する膨大なマスター音(教師データ)と、一般消費者のスマートフォンなどのマイクから集音される音の特長を比較することで、音同士の同一性を識別できる。このため、TVなどの視聴測定用途またはメディア接触測定で使用されることが多い。同技術の優位性は、その認識率の精度と効率的な検索機能を実現する軽量さにあり、インターネットを中心としたメディア消費、メディアデバイスを横断的に検索したり、リアルタイムに処理を行う際に、同社のような高水準の技術が必要となる。

2. 音響透かし技術
音響透かし(音声透かし)技術とは、音声信号に暗号化した文字情報などを埋め込む技術である。既存のスピーカーなどから発出される音に透かし音(データ)を載せることで、一般消費者のスマートフォンなどのデバイスに特定の情報を表示したり、音と連動して特定の動きを施すことができる。特に、同技術は、メディア耐性(様々な音声発出のファイルフォーマットや配信チャネルに対応できる)、秘匿性(発信する情報のセキュリティを確保している)、残響及び雑音耐性に優れ(雑音が多いスタジアムや残響のある舞台などでも対応可能)、音質劣化性能(音に情報を載せても既存の音が劣化しにくい)も検証済みであるため、様々な用途に対応したソリューションを提供できる。スタジアムで音と連動して応援を盛り上げるペンライトなどに適用されており、2022年12月期中間期にはサッカーJ1リーグの名古屋グランパス等に音響連動ペンライトを供給している。

3. Another Track(R)
「Another Track(R)」は、同社が独自に開発した音響通信によるデバイス制御ソリューションで、スタジアム・劇場・シアター等で活用されている。特長としては、以下の5つが挙げられる。

(1) 字幕データを即財に情報伝達できる
透かし音が流れると即座にスマートデバイスに字幕が表示される。透かし音の送出をサンプラー等の設備と組み合わせることで、舞台やコンサートで使用可能となる。送出するデータは字幕に限定しておらず、スマートフォンをサイリウムにする等、舞台上の演出にも対応可能である。

(2) 字幕データを効率的に送信できる
字幕用の台詞と透かし音をPC画面上に表示し、ワンクリックで透かし音に台詞データを乗せて送出できる。また、完パケのコンテンツだけでなく、ミュージカルや現代劇のBGMに透かし音を埋め込ませることにより、これまでのプロダクション業務だけでの運用も可能だ。

(3) インターネット通信のない環境でも情報伝達できる
通信自体は電波を利用しないため、建物内や電波及び無線LANのない環境でも情報伝達できる。また、通話やインターネット通信が禁止されている舞台やライブ会場等では、機内モード(携帯電話回線、Wi-Fi回線等の電波発信がオフ)でも伝達可能である。

(4) 既存の音響設備のみでスマートデバイスと同期できる
専用の音響設備や特殊な音響設備は不要で、舞台やライブ会場等の既存の音響設備のみで情報伝達が可能。このため、映画館や舞台、野球場等の様々なフィールドで実績がある。

(5) オンライン/オフライン双方に対応
オンライン配信時に施される圧縮や音域カットに耐性があり、テレビ・ラジオや複数のオンライン配信などマルチチャネルへの同時配信も可能である。また、発信側の信号生成には、VSTプラグインでの提供が可能で、OBS Studio等でのオンライン配信にも利用できる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)



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