フェイスNW Research Memo(5):物件売却の販売時期見直しや土地先行販売が奏功し、大幅な増収増益
[22/12/20]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2023年3月期第2四半期の業績概要
フェイスネットワーク<3489>の2023年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比122.8%増の7,237百万円、営業利益が272百万円(前年同期は269百万円の損失)、経常利益が183百万円(同388百万円の損失)、四半期純利益が123百万円(同270百万円の損失)となった。
前期より販売時期を見直した物件の売却や、土地先行販売の実施が奏功し、前年同期比で大幅な増収増益となった。開発案件の土地先行売却は3件(2022年9月末時点)となるなど、従来と比較して土地を先行売却するケースが増えている。マーケット環境においては、不動産投資に係る市場の剰余資金が、東京を中心とした優良な居住用不動産への投資需要に向かい、引き続き堅調に推移している。同社では、メインブランドである「GranDuo」シリーズの企画開発及び販売の拡大、不動産小口化商品の販売を推進するとともに、業務効率化を目的とした社内業務システムの運用開始に向け、積極的に取り組んだ。販管費では、DX関連投資による情報システム費、組織体制強化に伴う人件費が増加した一方で、自社顧客取引の増加により仲介手数料は減少傾向にある。なお、DX関連投資や組織体制強化に伴う投資は、効率的な用地仕入を推進することで利益率改善や施工能力の強化、販管費の適正なコントロールを実現することから、中長期での成長に必須の投資と言える。このほか、城南3区エリアに特化している強みを活かし、開発用地の仕入は順調に進んでおり、仕掛販売用不動産の2023年3月期第2四半期末残高は前期末比1,827百万円増の9,327百万円まで積み上がった。同社の業績は不動産業界の特性上、第4四半期に売上・利益が偏重する傾向にあるが、これらの仕掛販売用不動産の積み上げが売上・利益の加速度的な増加要因になると弊社では見ている。
セグメント別の業績は以下のとおりである。
(1) 不動産投資支援事業
不動産投資支援事業の売上高は前年同期比136.5%増の6,896百万円、セグメント利益は224百万円(前年同期は316百万円の損失)となった。需要が堅調に推移したことにより、不動産商品3件(前年同期は5件)、建築商品9件(同4件)を販売したほか、大型物件の開発も推進した。
(2) 不動産マネジメント事業
不動産マネジメント事業の売上高は前年同期比2.5%増の340百万円、セグメント利益は同0.3%増の47百万円となった。また、2022年9月末時点の管理戸数は同8.3%増の1,930戸(166棟)と堅調に推移した。2021年3月期以前は、新型コロナウイルス感染症拡大による実質的な営業活動停止や、不動産投資に関わる金融機関の不正融資などの影響を受け、在庫保有期間が長期化する傾向にあったが、現在では販売状況・在庫保有期間ともに適正となっている。足元の在庫保有期間はゼロに近い状況で、好調に推移している。管理戸数は販売物件数に相関して伸長するものであることから、改修工事などの一部案件による若干の増減はあるものの、セグメント利益は今後も同程度で推移すると弊社では見ている。
2. 財務状況
2023年3月期第2四半期末の資産合計は、前期末比1,676百万円増の18,503百万円となった。販売用商品の仕入が順調に進んだため、主に仕掛販売用不動産が1,827百万円、販売用不動産が1,363百万円、完成工事未収入金が753百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が2,137百万円減少したことによる。仕掛販売用不動産の増加は開発用地の仕入によるものであり、営業力強化とDX推進の効果により効率的な用地仕入が推進されている。負債合計は同1,714百万円増の13,039百万円となった。主に販売用商品の増加に伴い、借入金が2,183百万円増加した一方で、未成工事受入金が346百万円、未払法人税等が241百万円それぞれ減少したことによる。純資産合計は同37百万円減の5,463百万円となった。主に四半期純利益の獲得等により繰越利益剰余金が123百万円増加した一方で、剰余金の配当により183百万円減少したことによる。これらの結果、自己資本比率は29.5%(前期末は32.7%)となった。
なお、借入金のうち短期借入金1,860百万円は建築資金が主である。建築資金は短期借入を中心に物件に紐づけた形で調達している。また、1年内返済予定の長期借入金1,977百万円及び長期借入金7,268百万円は、設備資金及び運転資金、用地仕入に係るものである。運転資金はおおむね5〜10年、用地仕入はおおむね2年程度の長期借入にて調達している。建築資金や用地仕入に係る借入れは、いずれも物件の売却とともに都度返済が行われており、健全な資金調達と運用が行われている。不動産デベロッパーの場合は過大な有利子負債がリスク要因となるが、同社の場合は自己資本比率30%前後を維持しており、有利子負債の運用は仕入状況に合わせて機動的に修正を行っている。
2023年3月期第2四半期末の営業活動によるキャッシュ・フローは4,049百万円の支出となったが、販売用商品の仕入先行によるものである。足元の市況動向は旺盛であり、売上の源泉となる開発用地取得も順調に推移していることから、財務面での大きな懸念材料は見当たらないと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
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1. 2023年3月期第2四半期の業績概要
フェイスネットワーク<3489>の2023年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比122.8%増の7,237百万円、営業利益が272百万円(前年同期は269百万円の損失)、経常利益が183百万円(同388百万円の損失)、四半期純利益が123百万円(同270百万円の損失)となった。
前期より販売時期を見直した物件の売却や、土地先行販売の実施が奏功し、前年同期比で大幅な増収増益となった。開発案件の土地先行売却は3件(2022年9月末時点)となるなど、従来と比較して土地を先行売却するケースが増えている。マーケット環境においては、不動産投資に係る市場の剰余資金が、東京を中心とした優良な居住用不動産への投資需要に向かい、引き続き堅調に推移している。同社では、メインブランドである「GranDuo」シリーズの企画開発及び販売の拡大、不動産小口化商品の販売を推進するとともに、業務効率化を目的とした社内業務システムの運用開始に向け、積極的に取り組んだ。販管費では、DX関連投資による情報システム費、組織体制強化に伴う人件費が増加した一方で、自社顧客取引の増加により仲介手数料は減少傾向にある。なお、DX関連投資や組織体制強化に伴う投資は、効率的な用地仕入を推進することで利益率改善や施工能力の強化、販管費の適正なコントロールを実現することから、中長期での成長に必須の投資と言える。このほか、城南3区エリアに特化している強みを活かし、開発用地の仕入は順調に進んでおり、仕掛販売用不動産の2023年3月期第2四半期末残高は前期末比1,827百万円増の9,327百万円まで積み上がった。同社の業績は不動産業界の特性上、第4四半期に売上・利益が偏重する傾向にあるが、これらの仕掛販売用不動産の積み上げが売上・利益の加速度的な増加要因になると弊社では見ている。
セグメント別の業績は以下のとおりである。
(1) 不動産投資支援事業
不動産投資支援事業の売上高は前年同期比136.5%増の6,896百万円、セグメント利益は224百万円(前年同期は316百万円の損失)となった。需要が堅調に推移したことにより、不動産商品3件(前年同期は5件)、建築商品9件(同4件)を販売したほか、大型物件の開発も推進した。
(2) 不動産マネジメント事業
不動産マネジメント事業の売上高は前年同期比2.5%増の340百万円、セグメント利益は同0.3%増の47百万円となった。また、2022年9月末時点の管理戸数は同8.3%増の1,930戸(166棟)と堅調に推移した。2021年3月期以前は、新型コロナウイルス感染症拡大による実質的な営業活動停止や、不動産投資に関わる金融機関の不正融資などの影響を受け、在庫保有期間が長期化する傾向にあったが、現在では販売状況・在庫保有期間ともに適正となっている。足元の在庫保有期間はゼロに近い状況で、好調に推移している。管理戸数は販売物件数に相関して伸長するものであることから、改修工事などの一部案件による若干の増減はあるものの、セグメント利益は今後も同程度で推移すると弊社では見ている。
2. 財務状況
2023年3月期第2四半期末の資産合計は、前期末比1,676百万円増の18,503百万円となった。販売用商品の仕入が順調に進んだため、主に仕掛販売用不動産が1,827百万円、販売用不動産が1,363百万円、完成工事未収入金が753百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が2,137百万円減少したことによる。仕掛販売用不動産の増加は開発用地の仕入によるものであり、営業力強化とDX推進の効果により効率的な用地仕入が推進されている。負債合計は同1,714百万円増の13,039百万円となった。主に販売用商品の増加に伴い、借入金が2,183百万円増加した一方で、未成工事受入金が346百万円、未払法人税等が241百万円それぞれ減少したことによる。純資産合計は同37百万円減の5,463百万円となった。主に四半期純利益の獲得等により繰越利益剰余金が123百万円増加した一方で、剰余金の配当により183百万円減少したことによる。これらの結果、自己資本比率は29.5%(前期末は32.7%)となった。
なお、借入金のうち短期借入金1,860百万円は建築資金が主である。建築資金は短期借入を中心に物件に紐づけた形で調達している。また、1年内返済予定の長期借入金1,977百万円及び長期借入金7,268百万円は、設備資金及び運転資金、用地仕入に係るものである。運転資金はおおむね5〜10年、用地仕入はおおむね2年程度の長期借入にて調達している。建築資金や用地仕入に係る借入れは、いずれも物件の売却とともに都度返済が行われており、健全な資金調達と運用が行われている。不動産デベロッパーの場合は過大な有利子負債がリスク要因となるが、同社の場合は自己資本比率30%前後を維持しており、有利子負債の運用は仕入状況に合わせて機動的に修正を行っている。
2023年3月期第2四半期末の営業活動によるキャッシュ・フローは4,049百万円の支出となったが、販売用商品の仕入先行によるものである。足元の市況動向は旺盛であり、売上の源泉となる開発用地取得も順調に推移していることから、財務面での大きな懸念材料は見当たらないと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
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