バルテス Research Memo(4):主力はソフトウェアテストだが、Web/モバイルアプリ開発も行う(2)
[22/12/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
(2) Web/モバイルアプリ開発サービス事業(同8.9%)
連結子会社のバルテス・モバイルテクノロジー(株)が、Webアプリ及びモバイルアプリ開発、セキュリティ診断(脆弱性診断)を提供している。Web/モバイルアプリ開発では、企画から、要件定義、開発、デザイン、リリース、運用までワンストップで提供可能だ。また、ソフトウェアの品質向上をグループ経営方針としており、バルテス<4442>によるソフトウェアテスト、セキュリティサービスチームからの教育によるセキュアコーディングを施したソフトウェア開発サービスを提供している。Web/モバイルアプリのセキュリティ診断では、安全性の調査を提供している。熟練したエンジニアの診断ノウハウを手順化しており、潜在的な脆弱性が発見できる。このほか、連結子会社の(株)アール・エス・アールが、コンピュータソフトウェアの開発、システムの開発請負及び開発要員派遣等を行っている。
(3) オフショアサービス事業(同0.3%)
主にフィリピンで事業展開している連結子会社のVALTES Advanced Technology, Inc.が、グループ会社とのノウハウ共有により、製造業やソフトウェアベンダーを営む顧客に対して、ソフトウェアテストサービスとソフトウェア開発サービスを提供している。現地の安価で豊富な労働力を背景に、同社の教育コンテンツを受講した現地のエンジニアが、同社を窓口とした日本企業や在比日系企業に向けてサービスを提供している。
以上のような同社のグループ体制を要約すると下図のようになる。
(4) 主な知財投資
同社は案件ごとのサービスに加えて、サブスクリプション型のサービスも提供している。売上規模がまだ小さいことから売上金額は開示されていないが、成長が期待でき、今後の状況が注目される。
a) テスト情報プラットフォーム「Qbook」
ソフトウェア品質向上のためのプラットフォーム。同社が培ってきたテスト・品質向上ノウハウを無料で提供し、同社の認知度向上やICT社会に貢献する人材の育成を図る。
b) テスト自動化ソフトウェア「T-DASH」
非エンジニアでも「簡単」にWebアプリケーションの動作確認・検証を可能にするテスト自動化ツール。
c) 従量制のクラウド型WAF「PrimeWAF」
簡単、低価格で導入可能なクラウド型のWAF(Web Application Firewall)サービス。様々なサイバー攻撃からWebサイトを防御する。
d) いつでもどこでも実機テスト「AnyTest」
クラウド上で実機を遠隔操作することでテストが可能。豊富な機種・OSのラインナップを揃えており、リモートでもラグのない操作感が特長である。
2. 特色、強み、競合
同社の主力事業はソフトウェアテスト事業だが、以下のような特色や強みを持っている。
(1) 専門企業としての豊富な経験・知識・知見
既述のとおり、同社はソフトウェアテストサービスの提供を目的として2004年に設立されて以来、専業企業としてソフトウェアテストサービス事業を続けている。そのため、この間に蓄積された経験と専門的な知識・知見が豊富である。専門性に関しては、同社は国際規格であるISTQB※のグローバルパートナー認証を国内で初めて受けるなど、国内でも有数の技術力を有していると言える。このような高い専門性と経験・知識が顧客との強い信頼関係を生んでおり、この点は同社の強みと言えるだろう。
※International Software Testing Qualifications Boardの略で、世界130カ国のテスト技術者認定組織のこと。Global Partnerは世界で10社のみで、日本では同社が初めてである。
(2) ソフトウェア開発の全工程でテストサービスを提供
同社は、ソフトウェア開発の川上である要件定義から、基本設計、詳細設計、製造・単体テスト、結合テスト、システムテスト、さらに川下であるユーザー受入テストまで全工程でのテストサービスを提供している。このため、顧客にとってはワンストップソリューションが可能となっており、この点も同社の強みと言えるだろう。
(3) 独自の教育メソッド
同社の事業にとって、エンジニアの数と質が重要な要素であるのは言うまでもない。そのため同社では、質の高いエンジニアを確保するために、創業以来の経験・知見を生かした独自の体系的教育メソッド(研修カリキュラム)を確立している。新卒・未経験者に対しては月間320時間、キャリア(経験者)には同160時間の入社時研修を行っており、入社後2ヶ月は研修のみに集中し、通常業務は一切行わない。このような独自の教育メソッドによりエンジニアの早期戦力化を図ると同時に、高スキルを維持している。その結果として、入社2年目以降のエンジニアの92%がJSTQB※の資格を保有している。このような教育メソッドの確立は短期間でできるものではなく、これが同社の強みであると同時に参入障壁にもなっている。
※Japan Software Testing Qualifications Boardの略で、国内のソフトウェアテスト技術者の認定組織。
(4) 競合
ソフトウェアテスト市場での競合企業としては、SHIFT<3697>、ポールトゥウィン(株)、デジタルハーツホールディングス<3676>、(株)ベリサーブ(SCSK<9719>の子会社)などが挙げられる。正確な統計がないためそれぞれのシェアは不明であるが、市場そのものが拡大しているので、各社同士によるバッティングは少ないようだ。むしろ最大の競合は、内製市場(SIerやユーザーの社内で行われているテスト)と言えるだろう。ソフトウェアテスト市場でのアウトソーシング比率はまだ低いので、これら各社がお互いに競合する以上に市場そのものが拡大すると言えそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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(2) Web/モバイルアプリ開発サービス事業(同8.9%)
連結子会社のバルテス・モバイルテクノロジー(株)が、Webアプリ及びモバイルアプリ開発、セキュリティ診断(脆弱性診断)を提供している。Web/モバイルアプリ開発では、企画から、要件定義、開発、デザイン、リリース、運用までワンストップで提供可能だ。また、ソフトウェアの品質向上をグループ経営方針としており、バルテス<4442>によるソフトウェアテスト、セキュリティサービスチームからの教育によるセキュアコーディングを施したソフトウェア開発サービスを提供している。Web/モバイルアプリのセキュリティ診断では、安全性の調査を提供している。熟練したエンジニアの診断ノウハウを手順化しており、潜在的な脆弱性が発見できる。このほか、連結子会社の(株)アール・エス・アールが、コンピュータソフトウェアの開発、システムの開発請負及び開発要員派遣等を行っている。
(3) オフショアサービス事業(同0.3%)
主にフィリピンで事業展開している連結子会社のVALTES Advanced Technology, Inc.が、グループ会社とのノウハウ共有により、製造業やソフトウェアベンダーを営む顧客に対して、ソフトウェアテストサービスとソフトウェア開発サービスを提供している。現地の安価で豊富な労働力を背景に、同社の教育コンテンツを受講した現地のエンジニアが、同社を窓口とした日本企業や在比日系企業に向けてサービスを提供している。
以上のような同社のグループ体制を要約すると下図のようになる。
(4) 主な知財投資
同社は案件ごとのサービスに加えて、サブスクリプション型のサービスも提供している。売上規模がまだ小さいことから売上金額は開示されていないが、成長が期待でき、今後の状況が注目される。
a) テスト情報プラットフォーム「Qbook」
ソフトウェア品質向上のためのプラットフォーム。同社が培ってきたテスト・品質向上ノウハウを無料で提供し、同社の認知度向上やICT社会に貢献する人材の育成を図る。
b) テスト自動化ソフトウェア「T-DASH」
非エンジニアでも「簡単」にWebアプリケーションの動作確認・検証を可能にするテスト自動化ツール。
c) 従量制のクラウド型WAF「PrimeWAF」
簡単、低価格で導入可能なクラウド型のWAF(Web Application Firewall)サービス。様々なサイバー攻撃からWebサイトを防御する。
d) いつでもどこでも実機テスト「AnyTest」
クラウド上で実機を遠隔操作することでテストが可能。豊富な機種・OSのラインナップを揃えており、リモートでもラグのない操作感が特長である。
2. 特色、強み、競合
同社の主力事業はソフトウェアテスト事業だが、以下のような特色や強みを持っている。
(1) 専門企業としての豊富な経験・知識・知見
既述のとおり、同社はソフトウェアテストサービスの提供を目的として2004年に設立されて以来、専業企業としてソフトウェアテストサービス事業を続けている。そのため、この間に蓄積された経験と専門的な知識・知見が豊富である。専門性に関しては、同社は国際規格であるISTQB※のグローバルパートナー認証を国内で初めて受けるなど、国内でも有数の技術力を有していると言える。このような高い専門性と経験・知識が顧客との強い信頼関係を生んでおり、この点は同社の強みと言えるだろう。
※International Software Testing Qualifications Boardの略で、世界130カ国のテスト技術者認定組織のこと。Global Partnerは世界で10社のみで、日本では同社が初めてである。
(2) ソフトウェア開発の全工程でテストサービスを提供
同社は、ソフトウェア開発の川上である要件定義から、基本設計、詳細設計、製造・単体テスト、結合テスト、システムテスト、さらに川下であるユーザー受入テストまで全工程でのテストサービスを提供している。このため、顧客にとってはワンストップソリューションが可能となっており、この点も同社の強みと言えるだろう。
(3) 独自の教育メソッド
同社の事業にとって、エンジニアの数と質が重要な要素であるのは言うまでもない。そのため同社では、質の高いエンジニアを確保するために、創業以来の経験・知見を生かした独自の体系的教育メソッド(研修カリキュラム)を確立している。新卒・未経験者に対しては月間320時間、キャリア(経験者)には同160時間の入社時研修を行っており、入社後2ヶ月は研修のみに集中し、通常業務は一切行わない。このような独自の教育メソッドによりエンジニアの早期戦力化を図ると同時に、高スキルを維持している。その結果として、入社2年目以降のエンジニアの92%がJSTQB※の資格を保有している。このような教育メソッドの確立は短期間でできるものではなく、これが同社の強みであると同時に参入障壁にもなっている。
※Japan Software Testing Qualifications Boardの略で、国内のソフトウェアテスト技術者の認定組織。
(4) 競合
ソフトウェアテスト市場での競合企業としては、SHIFT<3697>、ポールトゥウィン(株)、デジタルハーツホールディングス<3676>、(株)ベリサーブ(SCSK<9719>の子会社)などが挙げられる。正確な統計がないためそれぞれのシェアは不明であるが、市場そのものが拡大しているので、各社同士によるバッティングは少ないようだ。むしろ最大の競合は、内製市場(SIerやユーザーの社内で行われているテスト)と言えるだろう。ソフトウェアテスト市場でのアウトソーシング比率はまだ低いので、これら各社がお互いに競合する以上に市場そのものが拡大すると言えそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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