IIF Research Memo(1):アフターコロナを見据え、M&Aやスタートアップへの投資を含めた構造改革を進行
[22/12/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
インターネットインフィニティー<6545>は、リアルとWebの両輪で新たなヘルスケアサービスを展開するヘルスケアソリューション企業である。ヘルスケアソリューション事業では、高齢者の健康寿命※1を延ばすための短時間リハビリ型通所介護サービス(デイサービス)「レコードブック」の運営を行うレコードブック事業、ケアマネジャー※2専用ポータルサイト「ケアマネジメント・オンライン」を通じて構築したケアマネジャーネットワークを利用したシルバーマーケティング支援や仕事と介護の両立支援等を行うWebソリューション事業、福祉用具のレンタル・販売を行うケアサプライ事業を展開している。一方、在宅サービス事業では、在宅高齢者の各種介護保険サービスを提供している。
※1 健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間。
※2 介護が必要な人の心身の状況や希望に応じて、適切な介護サービスを利用できるように「ケアプラン」を作成する介護支援専門員。
1. 2023年3月期第2四半期の業績概要
2023年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比0.3%減の2,083百万円、営業利益が同47.5%減の35百万円、経常利益が同67.4%減の53百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同74.7%減の27百万円となった。引き続き新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けたものの、レコードブック事業で新規出店を継続した結果、全体の売上高は微減に留まった。一方、コロナ禍収束後(以下、アフターコロナ)を見据え、通常の事業活動の再開やそれに伴う賞与水準の見直し、DX推進に向けたIT投資、各事業における将来投資等に伴い全体的に費用が増加し、営業減益となった。
トピックとしては、アフターコロナを見据え、M&Aやスタートアップへの投資を含めた構造改革を進行した。M&Aについては、2022年10月に広島県で住宅リフォーム事業を専業とする(株)正光技建を子会社化した。正光技建は主に介護保険外の住宅リフォームを展開していることから、同社グループの事業ポートフォリオを介護保険外の領域へ分散し、長期的な収益力拡大を目指している。同年12月には連結子会社である(株)カンケイ舎が、(株)合の家より住宅型有料老人ホーム2施設とそれに付随する事業を譲受した。将来的に、あらゆる介護ステージの利用者に対する健康寿命延伸に寄与することを目指していく。スタートアップへの投資については、2022年8月にSeniorLife Technologies, Inc.に出資し、レコードブック事業において歩行解析を行う等、既存サービスの向上を目指していく。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績について同社は、売上高で前期比6.1%増の4,421百万円、営業利益で同102.4%増の315百万円、経常利益で同8.2%増の313百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.4%増の203百万円を見込んでいる。直近の業績推移に加え、下期のM&Aによる売上高・利益の増加見通し等を考慮し、期初予想を据え置いた。通期予想に対する進捗率は、売上高で47.1%、営業利益で11.2%、経常利益で16.9%、親会社株主に帰属する当期純利益で13.3%となっている。売上高は順調に推移しているものの、新型コロナウイルス感染症第7波や先行投資など費用増加等の影響により、各利益の進捗は落ち込んでいる。これに対し同社は、下期にかけて実施する2件のM&A(2022年10月に子会社化した正光技建及び同年12月に子会社が事業譲受予定の住宅型有料老人ホーム)が寄与すると見込んでいる。また、レコードブック事業は下期偏重型で、期末にかけて店舗数が増加する傾向にあることを考慮すれば、通期予想達成の可能性は高いと弊社では見ている。
3. 中期的な経営方針
中期的な経営方針として同社は、2022年6月に「事業計画及び成長可能性に関する事項」を更新した。この中で、持続的な成長と中期的な企業価値向上に向けたグループ中期ビジョン「中期ビジョン2025〜健康寿命延伸社会の実現に向けて〜」を定め、「身体の健康」「脳と心の健康」「社会参加」に取り組むことで健康寿命延伸の実現を目指している。また、重点戦略としては、既存事業を拡大するとともに新たなソリューションを開発・提供していくことで、健康寿命延伸に向けた取り組みを加速させていく。これらを推進することで、最終年度である2026年3月期に売上高5,900百万円、営業利益750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益492百万円、ROE20.0%、売上高営業利益率12.9%の達成を目指す。このうちROE及び売上高営業利益率を主要経営指標に掲げているが、高付加価値サービスの提供による利益率向上を目標とし、それによりROEを高めていく方針だ。加えて、アフターコロナを見据え、M&Aなどを含めた構造改革を推進している。2023年3月期には2件のM&Aを実行した。将来的には介護の予防から中重度利用者向けサービスまで、すべてのステージで健康寿命延伸ソリューションを提供していく方針だ。
弊社では、レコードブック事業は新規出店数・利用者数ともに足元は堅調に推移していること、既存加盟店にさらなる出店を促す戦略により効率的かつスピーディーな出店が可能になること、メディカルソリューションの足元の業績は好調であることなどを考慮すると、中期経営計画達成の可能性は高いと見ている。特に、利益率の高いフランチャイズ店舗やWebソリューション事業の拡大、新規サービスの市場投入などによって利益率がさらに高まることに期待したい。
■Key Points
・リアルとWebの両輪で新たなヘルスケアサービスを展開するヘルスケアソリューション企業
・2023年3月期第2四半期はレコードブック事業が堅調に推移したものの、アフターコロナを見据えた成長投資により減益
・2023年3月期は期初予想を据え置き、増収増益予想。下期のM&Aによる売上高・利益の増加見通し等を考慮
・健康寿命延伸に向けた取り組みを加速することで、2026年3月期に売上高5,900百万円、営業利益750百万円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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インターネットインフィニティー<6545>は、リアルとWebの両輪で新たなヘルスケアサービスを展開するヘルスケアソリューション企業である。ヘルスケアソリューション事業では、高齢者の健康寿命※1を延ばすための短時間リハビリ型通所介護サービス(デイサービス)「レコードブック」の運営を行うレコードブック事業、ケアマネジャー※2専用ポータルサイト「ケアマネジメント・オンライン」を通じて構築したケアマネジャーネットワークを利用したシルバーマーケティング支援や仕事と介護の両立支援等を行うWebソリューション事業、福祉用具のレンタル・販売を行うケアサプライ事業を展開している。一方、在宅サービス事業では、在宅高齢者の各種介護保険サービスを提供している。
※1 健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間。
※2 介護が必要な人の心身の状況や希望に応じて、適切な介護サービスを利用できるように「ケアプラン」を作成する介護支援専門員。
1. 2023年3月期第2四半期の業績概要
2023年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比0.3%減の2,083百万円、営業利益が同47.5%減の35百万円、経常利益が同67.4%減の53百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同74.7%減の27百万円となった。引き続き新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けたものの、レコードブック事業で新規出店を継続した結果、全体の売上高は微減に留まった。一方、コロナ禍収束後(以下、アフターコロナ)を見据え、通常の事業活動の再開やそれに伴う賞与水準の見直し、DX推進に向けたIT投資、各事業における将来投資等に伴い全体的に費用が増加し、営業減益となった。
トピックとしては、アフターコロナを見据え、M&Aやスタートアップへの投資を含めた構造改革を進行した。M&Aについては、2022年10月に広島県で住宅リフォーム事業を専業とする(株)正光技建を子会社化した。正光技建は主に介護保険外の住宅リフォームを展開していることから、同社グループの事業ポートフォリオを介護保険外の領域へ分散し、長期的な収益力拡大を目指している。同年12月には連結子会社である(株)カンケイ舎が、(株)合の家より住宅型有料老人ホーム2施設とそれに付随する事業を譲受した。将来的に、あらゆる介護ステージの利用者に対する健康寿命延伸に寄与することを目指していく。スタートアップへの投資については、2022年8月にSeniorLife Technologies, Inc.に出資し、レコードブック事業において歩行解析を行う等、既存サービスの向上を目指していく。
2. 2023年3月期の業績見通し
2023年3月期の連結業績について同社は、売上高で前期比6.1%増の4,421百万円、営業利益で同102.4%増の315百万円、経常利益で同8.2%増の313百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同9.4%増の203百万円を見込んでいる。直近の業績推移に加え、下期のM&Aによる売上高・利益の増加見通し等を考慮し、期初予想を据え置いた。通期予想に対する進捗率は、売上高で47.1%、営業利益で11.2%、経常利益で16.9%、親会社株主に帰属する当期純利益で13.3%となっている。売上高は順調に推移しているものの、新型コロナウイルス感染症第7波や先行投資など費用増加等の影響により、各利益の進捗は落ち込んでいる。これに対し同社は、下期にかけて実施する2件のM&A(2022年10月に子会社化した正光技建及び同年12月に子会社が事業譲受予定の住宅型有料老人ホーム)が寄与すると見込んでいる。また、レコードブック事業は下期偏重型で、期末にかけて店舗数が増加する傾向にあることを考慮すれば、通期予想達成の可能性は高いと弊社では見ている。
3. 中期的な経営方針
中期的な経営方針として同社は、2022年6月に「事業計画及び成長可能性に関する事項」を更新した。この中で、持続的な成長と中期的な企業価値向上に向けたグループ中期ビジョン「中期ビジョン2025〜健康寿命延伸社会の実現に向けて〜」を定め、「身体の健康」「脳と心の健康」「社会参加」に取り組むことで健康寿命延伸の実現を目指している。また、重点戦略としては、既存事業を拡大するとともに新たなソリューションを開発・提供していくことで、健康寿命延伸に向けた取り組みを加速させていく。これらを推進することで、最終年度である2026年3月期に売上高5,900百万円、営業利益750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益492百万円、ROE20.0%、売上高営業利益率12.9%の達成を目指す。このうちROE及び売上高営業利益率を主要経営指標に掲げているが、高付加価値サービスの提供による利益率向上を目標とし、それによりROEを高めていく方針だ。加えて、アフターコロナを見据え、M&Aなどを含めた構造改革を推進している。2023年3月期には2件のM&Aを実行した。将来的には介護の予防から中重度利用者向けサービスまで、すべてのステージで健康寿命延伸ソリューションを提供していく方針だ。
弊社では、レコードブック事業は新規出店数・利用者数ともに足元は堅調に推移していること、既存加盟店にさらなる出店を促す戦略により効率的かつスピーディーな出店が可能になること、メディカルソリューションの足元の業績は好調であることなどを考慮すると、中期経営計画達成の可能性は高いと見ている。特に、利益率の高いフランチャイズ店舗やWebソリューション事業の拡大、新規サービスの市場投入などによって利益率がさらに高まることに期待したい。
■Key Points
・リアルとWebの両輪で新たなヘルスケアサービスを展開するヘルスケアソリューション企業
・2023年3月期第2四半期はレコードブック事業が堅調に推移したものの、アフターコロナを見据えた成長投資により減益
・2023年3月期は期初予想を据え置き、増収増益予想。下期のM&Aによる売上高・利益の増加見通し等を考慮
・健康寿命延伸に向けた取り組みを加速することで、2026年3月期に売上高5,900百万円、営業利益750百万円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<NS>