シナネンHD Research Memo(9):創業100周年へ向け、持続的成長と企業価値向上を目指す
[22/12/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中期経営計画
1. 長期経営構想
エネルギー産業、とりわけシナネンホールディングス<8132>が主力とする石油・ガス産業は、ここまで指摘してきたように厳しい環境にある。そして同社もまた、世界的な脱炭素やSDGsへの意識の高まり、気候変動への対応などから、エネルギーサービス企業として責任ある対応が求められている。当然ながら同社もこうした状況を十分理解しており、2027年の創業100周年に向けた長期経営構想のなかで、「人財」と既存事業という経営基盤を強化しつつ新規事業を開発することで、持続的成長と企業価値向上を目指すとしている。なお、長期経営構想は第一次〜第三次の中期経営計画として実行計画に落とし込まれており、第一次中期経営計画(2018年3月期〜2020年3月期)で事業の選択と集中、資本の効率化に着手、第二次中期経営計画(2021年3月期〜2023年3月期)では、選択と集中及び資本の効率化によって収益力を強化して事業基盤を整備、第三次中期経営計画(2024年3月期〜2028年3月期)でさらなる飛躍・躍進を遂げ、2027年の創業100周年を迎えるというシナリオになっている。
第二次中期経営計画は3つの定性目標で基盤固め
2. 第二次中期経営計画
2023年3月期を最終年度とする第二次中期経営計画では、スローガンとして「Challenging New Worlds with Big Sky-thinking〜大胆な発想で新しい世界への挑戦〜」を掲げ、「資本効率の改善」、「持続的成長を実現する投資の実行」、「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」という3つの定性目標の達成を目指している。
「資本効率の改善」では、既存事業の利益率向上策に加え、低効率資産の活用・売却や事業の選択と集中を強力に推進している。「持続的成長を実現する投資の実行」では、販売店などのM&Aによる既存事業の収益基盤強化、全国展開を視野に入れた建物維持管理事業のM&A、国内外での再生可能エネルギー事業の推進、シェアサイクル事業など優先実行する事業の明確化を進めている。また、既存のエネルギー事業の競争力の維持・強化のため、環境変化に対応した高度な基幹システムの構築やLPWA※などITを駆使した業務の効率化を目指してDXを推進している。また、中央電力、GMO MEDIAとコラボし、顧客向けポイントモールの本格稼働を開始した。100万人の会員の利便性向上に向け、同業他社を巻き込んで各種キャンペーンを展開中である。
※LPWA (Low Power Wide Area):省電力かつ広域対応の通信技術(IoT技術)。エネルギー業界では、LPガスのメーターに応用することでリアルタイムの自動検針が可能となる。このため、検針や配送作業などのコスト削減や新たなサービスの創出などが期待されている。
「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」では、風土改革によって意識・行動・コミュニケーション面から変革を進めて人財力を強化、働き方改革によって仕組み面から変革を推進して職場環境を整備、さらに女性活躍や自律的成長、健康経営を推進している。これらにより高めた個人の能力を活かし合うことで、選ばれ続ける人と組織となることを目指し、企業価値の向上へとつなげていく考えである。そのため、公募型教育によってキャリアの自律を促し、選抜型教育では次世代の経営者を育成する人財育成ポリシーを策定した。環境問題など社会課題に対しては、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を立ち上げ、すでにTCFD※1提言への賛同表明なども実行した。今後は、マテリアリティ※2の特定を含め取り組みを加速する方針である。
※1 TCFD (Task force on Climate-related Financial Disclosures):各企業の気候変動への取り組みを具体的に開示することを推奨するという金融安定理事会(FSB)による気候関連財務情報開示タスクフォース。
※2 マテリアリティ(Materiality):気候変動など企業にとっての重要な課題。
一方、定量目標も掲げており、持続的に「ROE6.0%以上」を生み出す事業構造の確立を目指している。営業利益などその他の定量目標はないが、その理由は、第二次中期経営計画が収益や成長の基盤を構築する先行投資期間となるためで、創業100周年を臨む第三次中期経営計画において6.0%以上のROEや成長性を達成するためのマイルストーン(中間達成目標)として位置付けられているからである。また。3つの定性目標も、同社は第三次中期経営計画においてさらに追求していくと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 長期経営構想
エネルギー産業、とりわけシナネンホールディングス<8132>が主力とする石油・ガス産業は、ここまで指摘してきたように厳しい環境にある。そして同社もまた、世界的な脱炭素やSDGsへの意識の高まり、気候変動への対応などから、エネルギーサービス企業として責任ある対応が求められている。当然ながら同社もこうした状況を十分理解しており、2027年の創業100周年に向けた長期経営構想のなかで、「人財」と既存事業という経営基盤を強化しつつ新規事業を開発することで、持続的成長と企業価値向上を目指すとしている。なお、長期経営構想は第一次〜第三次の中期経営計画として実行計画に落とし込まれており、第一次中期経営計画(2018年3月期〜2020年3月期)で事業の選択と集中、資本の効率化に着手、第二次中期経営計画(2021年3月期〜2023年3月期)では、選択と集中及び資本の効率化によって収益力を強化して事業基盤を整備、第三次中期経営計画(2024年3月期〜2028年3月期)でさらなる飛躍・躍進を遂げ、2027年の創業100周年を迎えるというシナリオになっている。
第二次中期経営計画は3つの定性目標で基盤固め
2. 第二次中期経営計画
2023年3月期を最終年度とする第二次中期経営計画では、スローガンとして「Challenging New Worlds with Big Sky-thinking〜大胆な発想で新しい世界への挑戦〜」を掲げ、「資本効率の改善」、「持続的成長を実現する投資の実行」、「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」という3つの定性目標の達成を目指している。
「資本効率の改善」では、既存事業の利益率向上策に加え、低効率資産の活用・売却や事業の選択と集中を強力に推進している。「持続的成長を実現する投資の実行」では、販売店などのM&Aによる既存事業の収益基盤強化、全国展開を視野に入れた建物維持管理事業のM&A、国内外での再生可能エネルギー事業の推進、シェアサイクル事業など優先実行する事業の明確化を進めている。また、既存のエネルギー事業の競争力の維持・強化のため、環境変化に対応した高度な基幹システムの構築やLPWA※などITを駆使した業務の効率化を目指してDXを推進している。また、中央電力、GMO MEDIAとコラボし、顧客向けポイントモールの本格稼働を開始した。100万人の会員の利便性向上に向け、同業他社を巻き込んで各種キャンペーンを展開中である。
※LPWA (Low Power Wide Area):省電力かつ広域対応の通信技術(IoT技術)。エネルギー業界では、LPガスのメーターに応用することでリアルタイムの自動検針が可能となる。このため、検針や配送作業などのコスト削減や新たなサービスの創出などが期待されている。
「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」では、風土改革によって意識・行動・コミュニケーション面から変革を進めて人財力を強化、働き方改革によって仕組み面から変革を推進して職場環境を整備、さらに女性活躍や自律的成長、健康経営を推進している。これらにより高めた個人の能力を活かし合うことで、選ばれ続ける人と組織となることを目指し、企業価値の向上へとつなげていく考えである。そのため、公募型教育によってキャリアの自律を促し、選抜型教育では次世代の経営者を育成する人財育成ポリシーを策定した。環境問題など社会課題に対しては、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を立ち上げ、すでにTCFD※1提言への賛同表明なども実行した。今後は、マテリアリティ※2の特定を含め取り組みを加速する方針である。
※1 TCFD (Task force on Climate-related Financial Disclosures):各企業の気候変動への取り組みを具体的に開示することを推奨するという金融安定理事会(FSB)による気候関連財務情報開示タスクフォース。
※2 マテリアリティ(Materiality):気候変動など企業にとっての重要な課題。
一方、定量目標も掲げており、持続的に「ROE6.0%以上」を生み出す事業構造の確立を目指している。営業利益などその他の定量目標はないが、その理由は、第二次中期経営計画が収益や成長の基盤を構築する先行投資期間となるためで、創業100周年を臨む第三次中期経営計画において6.0%以上のROEや成長性を達成するためのマイルストーン(中間達成目標)として位置付けられているからである。また。3つの定性目標も、同社は第三次中期経営計画においてさらに追求していくと考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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