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シナネンHD Research Memo(10):新規事業では環境や特性に応じた成長戦略を展開

注目トピックス 日本株
■シナネンホールディングス<8132>の中期経営計画

3. 第二次中期経営計画のセグメント別施策
現在進めている第二次中期経営計画のセグメント別の施策は、BtoC事業では、M&Aによるシェア拡大や新規商材による顧客深耕によって経営基盤を強化することである。石油・ガス事業で、販売店の営業権の買収やガス事業者のM&Aなどにより顧客基盤を拡大・強化、自社営業により直販顧客の獲得も進める。また、物流アライアンスやLPWAなどを活用して業務の効率化も行う。電力事業では、ガス・灯油とのセット販売や登録店・取次店方式・パートナーなどを活用して「ミライフでんき」の拡販を図る。住まいと暮らしその他の新規事業では、水回りリフォーム専門店やアフターFIT商品※の拡充による顧客層の拡大、顧客管理システムを利用した効果的な営業の仕組みづくり、石油からガス、電気、住まいと暮らしまでのワンストップサービスの確立、空き家管理サービスなど不動産関連サービスの拡充などを進める方針である。

※アフターFIT商品:FIT (Feed-in Tariff)とは、太陽光など再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取る固定価格買取制度のこと。アフターFITとは買取期間終了後の課題を指し、現在は買い取りの新制度化や自家消費としての有効利用などが課題解消の候補となっている。いずれにしろ、同社にとっては蓄電池やメンテナンスなど新たな需要が期待される。


BtoB事業では、既存事業の安定的な成長に加え、新規事業の開発により高い収益を目指している。石油事業で、物流機能の強化、グループ会社と連携した拠点の開発・整備に加え、軽油販売や灯油宅配など好採算の川下分野でホームセンターなどと協働して収益力の向上を図る。電力事業では、取次店開拓のほか、法人向け低CO2電力など環境配慮型料金メニューの拡充や、太陽光発電関連のメンテナンス事業で製販一体となった新商材・新販路の開発を進める。新規事業では、新型マイクロ風車関連事業の開発を推進する計画である。

非エネルギー事業では、各事業の環境や特性に応じた成長戦略を展開する考えである。自転車事業では、プライベートブランド開発による顧客開拓と収益力強化に加え、「ダイシャリン」店舗の構造改革を図る。シェアサイクル事業では、利用データを活かした運営の効率化や自治体・コンビニ・不動産会社などとの連携を推進する。環境・リサイクル事業では、木質チップ工場の安定稼働と効率化による収益の安定化、新商材・新規事業やバイオマス燃料事業の開発を図る。抗菌事業では、抗菌・消臭の総合ソリューション事業への進化を目指す一方、「吸着剤」などの製品開発も進める。システム事業では、機能強化やサービス拡大による顧客獲得とIoTを活用した新規事業開発を推進する。建物維持管理事業では、2024年3月期の各社統合を機に、M&Aを駆使して事業エリアの全国展開を図り、集合住宅メンテナンスのワンストップサービス化を進めて「総合建物メンテナンス会社」へと進化させる考である。そのほか、旧本社ビルをシェアオフィスとして活用している「seesaw」を2022年11月にリニューアルさせ、スタートアップ企業の一層の支援にもつなげたい意向である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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