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キャリアリンク Research Memo(7):中期経営計画の各利益目標は2年前倒しで達成する見込み

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 中期経営計画
キャリアリンク<6070>は毎年3ヶ年の中期経営計画を策定しており、2022年5月に発表した中期業績計画では、2025年3月期に売上高61,476百万円、営業利益6,053百万円、経常利益6,051百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,139百万円を目標に掲げた。このうち各利益については、既述のとおり地方自治体向けBPO案件の拡大等が寄与し、2023年3月期に目標を2年前倒しで達成する見通しだ。ただ、収益増に貢献するBPOスポット案件が2024年3月期以降どの程度継続するか現段階では未定である。同社は、BPO案件のさらなる拡大に向け、東北圏で事務所を開設するなど営業基盤の体制強化に取り組んでいる。中核人材の採用や取引先地方自治体数は順調に増加しており、今後もBPO需要は拡大が見込まれていることから、最終年度での売上高の目標達成も可能と弊社では見ている。

(1) 投資計画
年率10%台の売上成長を実現していくため、投資も継続していく。第1に、地方自治体などでの需要拡大が見込まれる、IT要素を取り入れたBPO案件の受注獲得に向けて必要となる中核人材の採用、並びに将来の経営幹部候補となる次世代中核人材の育成に注力する。採用した人材は研修も兼ねてBPO業務の現場を経験させ、その後に責任者として各部門に配属されることになる。このため、中核人材を増員することでBPO案件を数多く受注することが可能となる。

第2に、生産性向上のためのシステム投資を行う。具体的には、人材育成のためのナレッジマネジメントツールの拡充を図るほか、スタッフマイページやスタッフ管理機能の強化に取り組んでいる。また、RPAツールなどを社内外問わず活用し、業務効率の向上を図る。

第3に、事業規模拡大に向けたインフラ投資を進めていく。具体的には、需要に応じて営業拠点やBPOセンターを拡充するほか、製造系人材サービス事業でも新規エリアへの拠点設置を推進し、さらなる業容拡大を図る。また、従業員、顧客、スタッフの安全性確保や新しい働き方に対応するインフラ整備も進めていく予定だ。

(2) 成長戦略
a) 事務系人材サービス事業
事務系人材サービス事業の売上高は年率12.0%成長を目指す。成長戦略としては、公共分野のDX化に伴い発生するBPO需要を取り込んでいくことを最重点施策として掲げている。デジタル庁が2021年12月に発表した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」によると、2025年度までに国と地方自治体で業務システムの統一化を図り、共通のクラウド基盤上ですべての地方自治体が利用できるガバメントクラウドシステムを構築する計画となっている。このため、各地方自治体は従来のシステムから新たな標準システムへの移行を進める必要があり、こうした移行作業においてもBPO関連業務の需要が見込まれている。

地方自治体のBPO案件については、過去の運用実績が発注先を決定する際の大きな判断材料となるため、マイナンバー・マイナポイント関連業務を多く手掛けてきた同社によっては強みとなる。実績を足がかりとして、2025年3月期までに取引先地方自治体数(人材派遣業務取引のみの地方自治体も含む)を2022年3月期までの3年間の実績(79自治体)の約2倍となる161自治体に拡大することを目標としている。2倍増というのはアグレッシブな目標に見えるが、2022年9月末時点で102自治体と順調に拡大していること、東北圏で分室を開設するなど営業基盤の体制強化に取り組んでおり、BPO案件を獲得していくための中核人材の採用・育成も進んでいることから、実現可能と弊社では見ている。

マイナンバー・マイナポイント関連業務については、マイナンバーカードと健康保険証や運転免許証との一体化を目指す政府方針もあり、マイナンバーカードを利用した各種行政サービスのデジタル化が進むと見込まれる。同社はBPOサービスのプラットフォーマーとして、顧客からの直接受注やアライアンスパートナーとの共同受注、BPO事業者経由での受注など多様なルートで受注を獲得し、BPO関連事業部門を中心に事務系人材サービス事業を拡大していく方針だ。

b) 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業の売上高は年率15.6%成長を目指す。「コンプライアンスを重視した外国人労働者に対しての遵法経営」が顧客からも高く評価されており、そのナレッジの積み重ねと習熟を図りながら営業エリアを拡大する。製造系派遣市場の中で同社のシェアはまだ低いこともあり、既存大手顧客の他拠点に横展開し、進出したエリアで新規顧客の開拓も進めることで年率2ケタ成長を目指す。派遣スタッフに占める外国人労働者の比率は5割強となっており、今後も外国人居住者の多いエリアを優先して拠点開設を展開する。なお、同社は、外国人労働者の採用については独自のノウハウを持っており、効率的に採用を進めている。2022年10月より外国人の入国制限が緩和されたほか、円安進行により製造業の国内回帰の動きが出ていることも追い風となっている。

c) 営業系人材サービス事業
営業系人材サービス事業の売上高は年率23.2%成長を目指す。事業を開始して4年が経過し、広域にわたる新規商材獲得といった営業活動に関するナレッジマネジメントを蓄積してきた。コロナ禍で直近2期間は苦戦を強いられたが、既存の主要顧客からの継続受注だけでなく、「新規商材×広域」など様々な形態の業務展開により新規顧客開拓を進め成長を目指していく考えだ。

d) 中長期的な成長イメージ
中長期的な成長イメージとしては、主力のBPO関連事業部門で公共分野への展開を推進することで収益拡大を目指す。マイナンバー・マイナポイント関連や臨時給付金関連等での実績を足がかりとして、窓口業務など周辺のBPO関連業務の受注獲得を強化し、さらにDX周辺業務などの公共分野へ横展開することで業容を拡大していく方針だ。地方自治体ではコスト削減のためBPOを活用するケースが今後も増加すると見られ、同社の成長機会は大きいと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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