シンバイオ製薬 Research Memo(10):「トレアキシン(R)」の拡大により増収増益が続く見通し
[22/12/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2022年12月期業績見通し
シンバイオ製薬<4582>の2022年12月期の業績は、売上高で前期比21.1%増の10,003百万円、営業利益で同96.9%増の2,000百万円、経常利益で同129.7%増の2,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同18.8%減の1,650百万円と2022年8月に発表した計画に対して各利益を上方修正した。営業利益は販管費の効率化が想定以上に進んでいること、経常利益については為替差益の発生が増額要因となっている。
売上高については第4四半期も「トレアキシン(R)」の販売が堅調に推移していることから、3期連続増収、過去最高を更新する見通しだ。主に再発・難治性DLBCL向けの販売拡大が増収要因となる。適用領域ごとの売上高を把握するのは難しいが、再発・難治性DLBCL向けについては2021年12月期の第3四半期から本格的に販売が始まったことから、2022年12月期は前期比2倍弱の増加となる40億円程度になると同社では試算しており、その他の適用領域においても堅調に推移する見込みだ。後発医薬品の影響については限定的だったと見られる。
売上総利益率は期初からRTD製剤/RI投与に100%置き替わっていることから、前期の70.2%から76%程度に上昇する見込み(販売マイルストーンの影響を除けば82%程度)。なお、為替レートが140円/ドル前後と計画策定時の110円/ドルから円安に進んでいるが、Eagle社からの当期仕入分については手持ちのドル建て金融資産や為替予約(120円弱/円程度)でヘッジ済みであり、利益への大きな影響はない。2023年12月期においても130円弱/ドル程度で想定仕入額分の為替予約を行っている。為替変動の影響を受けるのは、「トレアキシン(R)」の仕入費用とBCVの海外での開発費用となるが、同社では1円/ドルの変動による営業利益への影響額について年間約20百万円と試算している。
販管費のうち、研究開発費については前期比764百万円増加の2,500百万円を計画している。主な増加要因は、BCVの臨床試験費用に加えて開発統括拠点となる米子会社のオペレーション費用の計上、BCVに関するアカデミアとの共同研究費用の増加などが挙げられる。また、その他の販管費については前期比横ばい水準の3,100百万円程度となる見通しだ。営業の効率化によりCMRの人員が減少しており、その他の費用増を吸収する。なお、親会社株主に帰属する当期純利益を減益で見込んでいるのは、前期に繰延税金資産を計上した反動減となる。
2023年12月期の業績計画については現在策定中だが、営業利益は黒字確保を目指す方針だ。売上高は後発医薬品や薬価の動向がリスク要因となるが、対象患者数が増加傾向にあることや、RI投与によって医療従事者や患者の負担が大幅に軽減されるなど製品価値が高まっていることから、現在の適用対象領域で5割弱にとどまっているシェアの上昇が見込まれるなどプラス要因もあり現時点では見通し難い状況にある。
一方、費用面では販売マイルストーン550百万円がなくなる一方で、研究開発費についてはBCVの臨床試験費用増加が見込まれるほか、米開発統括子会社の人員増強を予定していることもあり、36億円程度と10億円強の増加を見込んでいる。なお、造血幹細胞移植後のAdV感染症を対象とした開発プロジェクトが2023年内に第3相臨床試験入りすることになれば、開発マイルストーン550百万円の支払いが発生することになるが、現在の進捗状況からすると2024年にずれ込む可能性が高い。その他の販管費については2023年12月期も抑制していく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SI>
1. 2022年12月期業績見通し
シンバイオ製薬<4582>の2022年12月期の業績は、売上高で前期比21.1%増の10,003百万円、営業利益で同96.9%増の2,000百万円、経常利益で同129.7%増の2,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同18.8%減の1,650百万円と2022年8月に発表した計画に対して各利益を上方修正した。営業利益は販管費の効率化が想定以上に進んでいること、経常利益については為替差益の発生が増額要因となっている。
売上高については第4四半期も「トレアキシン(R)」の販売が堅調に推移していることから、3期連続増収、過去最高を更新する見通しだ。主に再発・難治性DLBCL向けの販売拡大が増収要因となる。適用領域ごとの売上高を把握するのは難しいが、再発・難治性DLBCL向けについては2021年12月期の第3四半期から本格的に販売が始まったことから、2022年12月期は前期比2倍弱の増加となる40億円程度になると同社では試算しており、その他の適用領域においても堅調に推移する見込みだ。後発医薬品の影響については限定的だったと見られる。
売上総利益率は期初からRTD製剤/RI投与に100%置き替わっていることから、前期の70.2%から76%程度に上昇する見込み(販売マイルストーンの影響を除けば82%程度)。なお、為替レートが140円/ドル前後と計画策定時の110円/ドルから円安に進んでいるが、Eagle社からの当期仕入分については手持ちのドル建て金融資産や為替予約(120円弱/円程度)でヘッジ済みであり、利益への大きな影響はない。2023年12月期においても130円弱/ドル程度で想定仕入額分の為替予約を行っている。為替変動の影響を受けるのは、「トレアキシン(R)」の仕入費用とBCVの海外での開発費用となるが、同社では1円/ドルの変動による営業利益への影響額について年間約20百万円と試算している。
販管費のうち、研究開発費については前期比764百万円増加の2,500百万円を計画している。主な増加要因は、BCVの臨床試験費用に加えて開発統括拠点となる米子会社のオペレーション費用の計上、BCVに関するアカデミアとの共同研究費用の増加などが挙げられる。また、その他の販管費については前期比横ばい水準の3,100百万円程度となる見通しだ。営業の効率化によりCMRの人員が減少しており、その他の費用増を吸収する。なお、親会社株主に帰属する当期純利益を減益で見込んでいるのは、前期に繰延税金資産を計上した反動減となる。
2023年12月期の業績計画については現在策定中だが、営業利益は黒字確保を目指す方針だ。売上高は後発医薬品や薬価の動向がリスク要因となるが、対象患者数が増加傾向にあることや、RI投与によって医療従事者や患者の負担が大幅に軽減されるなど製品価値が高まっていることから、現在の適用対象領域で5割弱にとどまっているシェアの上昇が見込まれるなどプラス要因もあり現時点では見通し難い状況にある。
一方、費用面では販売マイルストーン550百万円がなくなる一方で、研究開発費についてはBCVの臨床試験費用増加が見込まれるほか、米開発統括子会社の人員増強を予定していることもあり、36億円程度と10億円強の増加を見込んでいる。なお、造血幹細胞移植後のAdV感染症を対象とした開発プロジェクトが2023年内に第3相臨床試験入りすることになれば、開発マイルストーン550百万円の支払いが発生することになるが、現在の進捗状況からすると2024年にずれ込む可能性が高い。その他の販管費については2023年12月期も抑制していく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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