フェローテク Research Memo(7):新たな目標として2025年3月期に営業利益520億円を掲げる
[22/12/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中期経営計画と重点施策
1. 中期経営計画の進捗
(1) 数値目標
フェローテックホールディングス<6890>は、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表している。この中期経営計画の当初の定量的目標は、2023年3月期に売上高1,250億円、営業利益190億円、さらに最終年度となる2024年3月期は売上高1,500億円、営業利益250億円が目標であった。しかし既に2022年3月期に売上高1,338億円、営業利益226億円を達成したため、現時点では修正計画値として2023年3月期に売上高2,000億円、営業利益340億円、2024年3月期に売上高2,300億円、営業利益400億円、ROE15%超、自己資本比率40%超を掲げている。さらに旺盛な市場環境を受けて当初計画が1年以上前倒しで達成されたことから、新たに2025年3月期の目標値(計画値ではない)として売上高2,900億円、営業利益520億円を発表した。
(2) 設備投資
設備投資計画については、2024年3月期までの3年間で1,800億円の設備投資をすると発表していたが、現時点でこの計画に変更はないようだ。既に2022年3月期に354億円の投資を行っていることから、2023年3月期は736億円、2024年3月期は710億円の投資を行う計画となっている。
この1,800億円の投資については、短期・中期で約1,200億円を計画している。主に半導体分野、電子デバイス等を中心に市場拡大の機会を捉え、生産力増強へ積極的に投資する。その一方で、長期的な収益に貢献する「長期的な投資」に約600億円を計画している。主に1)半導体分野の製品レンジ拡充、2)EV、新エネルギー車関連、3)新たな柱となる事業への投資、4)事業連関性や潜在的成長力等に照らしたM&Aなどに投資する計画だ。M&Aの投資額は投資機会により変動するが、3年以内にROIC を5%以上とすることができるM&Aを検討する予定だ。これらの方針は変わっていない。
2. 今後の重点施策
同社では、中期経営計画の推進と合わせて、今後の重点施策として、1)生産拠点のグローバル化、2)生産現場での「デジタル化・自動化・見える化」、3)事業ポートフォリオの強化(非半導体製造装置分野の事業拡大)を掲げている。
(1) 生産拠点のグローバル化
これまでの同社は、中国を中心に事業を積極的に展開してきたが、米中経済摩擦や地政学的リスクを考慮し、生産拠点のグローバル化を図る。
1) マレーシア
2022年4月に設立したマレーシアのケダ州クリム・ハイテクパーク内(ペナン島近隣)の製造子会社 Ferrotec Manufacturing Malaysiaに新工場を建設中である。2023年7月竣工予定で、東南アジア顧客に密着した事業展開(石英製品・セラミックス・金属加工/組立等)を図る。
2) 日本(石川県)
中長期での需要拡大が見込まれる半導体製造装置関連部材「ファインセラミックス」「マシナブルセラミックス」の増産を石川エリアで対応している。2022年11月に第2工場が竣工、第3工場も用地を確保済で2023年夏頃には着工予定である。
3) 日本(熊本県)
「シリコンアイランド」九州の熊本県大津町に生産拠点を新設予定(2023年春先以降を目途に着工、2024年6月竣工を予定)している。現在、新拠点で事業展開する半導体関連製品、サービスを検討している。
(2) 「デジタル化・自動化・見える化」の水平展開
中国の生産拠点でERP、MESをはじめ、様々なシステム導入が進み、生産の見える化、効率化、品質の向上が実現(例:AI活用、ロボットの積極導入)した。今後は、日本やマレーシアの新拠点でもこれらの自動化投資(水平展開)を積極的に進める。
(3) 非半導体製造装置分野における事業拡大
電子デバイス事業では、従来から多業界で採用が拡大する温調デバイス「サーモモジュール」に加えて、世界的な省エネ化トレンドに沿った「パワー半導体用絶縁基板」が大きな事業の柱に成長しており、今後も注力する。また新たに連結子会社に加わった下記2社も中期的に事業拡大を目指し、非半導体製造装置の比率を高める。
・大泉製作所:温度センサは車載・空調、サーミスタ(素子)は光通信分野などに注力
・東洋刃物:工業用刃物は情報産業分野などを中心に、国内・中国の市場開拓を強化する
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NS>
1. 中期経営計画の進捗
(1) 数値目標
フェローテックホールディングス<6890>は、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表している。この中期経営計画の当初の定量的目標は、2023年3月期に売上高1,250億円、営業利益190億円、さらに最終年度となる2024年3月期は売上高1,500億円、営業利益250億円が目標であった。しかし既に2022年3月期に売上高1,338億円、営業利益226億円を達成したため、現時点では修正計画値として2023年3月期に売上高2,000億円、営業利益340億円、2024年3月期に売上高2,300億円、営業利益400億円、ROE15%超、自己資本比率40%超を掲げている。さらに旺盛な市場環境を受けて当初計画が1年以上前倒しで達成されたことから、新たに2025年3月期の目標値(計画値ではない)として売上高2,900億円、営業利益520億円を発表した。
(2) 設備投資
設備投資計画については、2024年3月期までの3年間で1,800億円の設備投資をすると発表していたが、現時点でこの計画に変更はないようだ。既に2022年3月期に354億円の投資を行っていることから、2023年3月期は736億円、2024年3月期は710億円の投資を行う計画となっている。
この1,800億円の投資については、短期・中期で約1,200億円を計画している。主に半導体分野、電子デバイス等を中心に市場拡大の機会を捉え、生産力増強へ積極的に投資する。その一方で、長期的な収益に貢献する「長期的な投資」に約600億円を計画している。主に1)半導体分野の製品レンジ拡充、2)EV、新エネルギー車関連、3)新たな柱となる事業への投資、4)事業連関性や潜在的成長力等に照らしたM&Aなどに投資する計画だ。M&Aの投資額は投資機会により変動するが、3年以内にROIC を5%以上とすることができるM&Aを検討する予定だ。これらの方針は変わっていない。
2. 今後の重点施策
同社では、中期経営計画の推進と合わせて、今後の重点施策として、1)生産拠点のグローバル化、2)生産現場での「デジタル化・自動化・見える化」、3)事業ポートフォリオの強化(非半導体製造装置分野の事業拡大)を掲げている。
(1) 生産拠点のグローバル化
これまでの同社は、中国を中心に事業を積極的に展開してきたが、米中経済摩擦や地政学的リスクを考慮し、生産拠点のグローバル化を図る。
1) マレーシア
2022年4月に設立したマレーシアのケダ州クリム・ハイテクパーク内(ペナン島近隣)の製造子会社 Ferrotec Manufacturing Malaysiaに新工場を建設中である。2023年7月竣工予定で、東南アジア顧客に密着した事業展開(石英製品・セラミックス・金属加工/組立等)を図る。
2) 日本(石川県)
中長期での需要拡大が見込まれる半導体製造装置関連部材「ファインセラミックス」「マシナブルセラミックス」の増産を石川エリアで対応している。2022年11月に第2工場が竣工、第3工場も用地を確保済で2023年夏頃には着工予定である。
3) 日本(熊本県)
「シリコンアイランド」九州の熊本県大津町に生産拠点を新設予定(2023年春先以降を目途に着工、2024年6月竣工を予定)している。現在、新拠点で事業展開する半導体関連製品、サービスを検討している。
(2) 「デジタル化・自動化・見える化」の水平展開
中国の生産拠点でERP、MESをはじめ、様々なシステム導入が進み、生産の見える化、効率化、品質の向上が実現(例:AI活用、ロボットの積極導入)した。今後は、日本やマレーシアの新拠点でもこれらの自動化投資(水平展開)を積極的に進める。
(3) 非半導体製造装置分野における事業拡大
電子デバイス事業では、従来から多業界で採用が拡大する温調デバイス「サーモモジュール」に加えて、世界的な省エネ化トレンドに沿った「パワー半導体用絶縁基板」が大きな事業の柱に成長しており、今後も注力する。また新たに連結子会社に加わった下記2社も中期的に事業拡大を目指し、非半導体製造装置の比率を高める。
・大泉製作所:温度センサは車載・空調、サーミスタ(素子)は光通信分野などに注力
・東洋刃物:工業用刃物は情報産業分野などを中心に、国内・中国の市場開拓を強化する
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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