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JBR Research Memo(7):主力3事業の成長により収益拡大が続き、営業利益は4期ぶりに最高益更新へ

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2023年9月期の業績見通し
ジャパンベストレスキューシステム<2453>の2023年9月期の連結業績は、売上高で前期比2.8%増の18,300百万円、営業利益で同13.0%増の1,650百万円、経常利益で同27.9%増の1,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同116.9%増の950百万円となる見通し。駆けつけ事業の譲渡により増収率は低くなるものの、主力3事業の成長により営業利益は4期ぶりに過去最高を更新するほか、営業外収支や特別損益の改善により、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益でも大幅な増益を見込む。なお、上期の売上高は前年同期比3.0%増、営業利益は同16.0%減と増収減益計画となっているが、保険事業における契約準備金の増加によるもので、同影響を除けば増益計画となる。

(1) 売上高の増減要因
駆けつけ事業の譲渡により810百万円の減収となる一方、主力3事業での顧客積み上げにより929百万円、新規事業として開始する中古携帯電話回収事業で370百万円の増収を見込んでいる。

主力3事業のうち保証事業については、ジャパンワランティサポートの業績予想が売上高で前期比18.3%増の1,711百万円であることから、会員事業と保険事業の合計で同4.5%増の15,384百万円を見込んでいることになる。伸び率としては控えめな印象を受けるが、既述のとおりACTGで価格改定交渉を進めており、一定数の解約が発生するリスクを織り込んでいると見られる。会員事業及び保証事業の期末会員数は、前期末比336千件増の3,943千件を見込んでいる。保証事業は引き続き20万件超のペースで拡大が続く見通しだ。また、会員事業は主力の「安心入居サポート」の増加に加え、2022年4月から販売を開始した(一社)日本自動車連盟(以下、JAF)の「ホームライフサポート」で3.7千件の増加を見込んでいる(前期末実績は1.3千件)。

JAFはロードサービスを主に提供している一般社団法人で会員数は2,000万人以上となる。JAFの年会費に2,200円を追加することで、カギ/水回り/ガラス/電気/建具等の生活トラブルを解決するサービスを無料(出動費、作業費が無料、部品代等は別途有料)で受けることが可能となる。また、出動先を2ヶ所設定できるため、契約者の自宅以外に離れて暮らす家族の住まいへの出動も可能となる。会員獲得施策としては、JAFが会員向けに配信しているメールマガジンやダイレクトメールで告知を行ってはいるが、まだJAFとのシステム連携が行われていないこともあり、加入件数は限定的だ。同社は、自動車販売のタッチポイントでのサービス提供など、会員開拓ルートを新たに設けることで獲得件数を増やす方針であるものの、これらの効果は2023年9月期の計画には織り込んでいない。

会員事業の新たな取り組みとしては、2022年9月にリペアサービス付帯型の生活トラブル解決サービス「CENTURY21 24時間ライフサポート」の販売を開始した。センチュリー21・ジャパンが販売する戸建て住宅やマンションの購入者を対象とし、カギ/水回り/ガラス/電気のトラブルに、各種年2回まで無料で利用可能(出張料・作業料無料、部品代別途有料)となるほか、リペアサービスやハウスクリーニングなどを優待価格で利用できる。契約期間は10年、料金は約10万円(うち同社の売上は6〜7割)だが、住宅購入時に販売提案をするため、心理的なハードルはさほど高くないと思われる。センチュリー21・ジャパンでは年間2.5〜2.8万戸の新築・中古物件を販売しているほか、22万戸の管理物件を保有しており、新たな会員獲得ルートとして期待される。初年度として数千件の会員獲得を目標としている。このほかにも、住宅メーカーや不動産会社などと同様のスキームでの提案を進めている。持ち家市場は賃貸住宅の1.5倍の規模があるだけに、需要を開拓できれば会員事業のさらなる成長につながるものと期待される。

また、生活トラブル解決サービスの新たな販売ルートとして2022年11月に東北電力<9506>と提携し、「カギ・窓ガラス・建具トラブルサポート」の提供を開始した。「東北電力のくらしサービスストア」の会員向けに賃貸、持ち家問わず月額440円(税込)で提供する。対象市場は約400万世帯となるが、プロモーション活動が十分に実施できない環境を考慮し、初年度は2〜3千件の会員獲得を目標としている。

一方、保険事業の契約件数は前期末比28千件増加の711千件を見込んでいる。このうち12千件は撤退を決定した同業他社商品からの乗り換え案件であること、家財保険は年間20千件を上回るペースであることから、保守的な計画と言える。2023年9月期は新商品の投入予定はないものの、「スマホ保険」やその他の少額短期保険で着実な増加が期待できる。

新規事業の中古携帯電話回収事業は、資本業務提携先の伊藤忠商事との協業案件で、2022年9月に開始した。伊藤忠商事は中古携帯電話の回収ビジネスを年間数百万台規模で展開しているが、事業規模の拡大を目指し、同社が持つラストマイルのネットワークを活用することにした。伊藤忠商事では、使用していない中古携帯電話は自宅に約2.65億台あると試算しており、これらの端末の回収を通じて資源を有効活用し、持続可能な社会の発展に貢献していく方針だ。同社の施工・販売パートナー網を通じて回収した端末機を、伊藤忠グループの(株)Belongに販売し、Belongでデータ消去や検品業務を行い、海外市場で再販する。2023年9月期に回収台数57千台、売上高370百万円を計画しているが、コンビニエンスストアでのトライアルで十分な手応えを掴んでおり、達成可能な水準と見ている。

(2) 利益の増減要因
営業利益の増益要因としては主力3事業で210百万円、中古携帯電話回収事業で55百万円、減益要因としては感染拡大防止事業の終了で35百万円(上期の減益要因)、駆けつけ事業譲渡で40百万円を見込んでいる。

主力3事業のうち、保証事業を展開するジャパンワランティサポートの営業利益は前期比8.5%増の603百万円としているものの、原価率の上昇が続くことから利益率は若干低下する見通しだ。また、会員事業と保険事業を合計した営業利益は同12.3%増の1,480百万円となる。このうち会員事業は、経営統合の効果が期待される。統合については、重複する間接部門は2023年9月期中、営業部門や商品は2〜3年先を目途に、新ERPシステムは段階的に統合していく予定としている。2023年9月期の業績予想には経営統合の効果は若干の織り込みに留まることから、統合が早期に完了すれば想定以上の効果が出てくる可能性がある。

中古携帯電話回収事業は既存のネットワークを活用し、追加費用は発生しないことから、初年度から利益貢献する見通しだ。

営業外収支は前期比190百万円増を見込んでいる。自社株価予約取引によるデリバティブ評価損など、前期に発生した一過性の費用490百万円がなくなることからさらに改善する可能性はあるが、有価証券売却益等の不確定要素を織り込まず保守的な計画とした。また、特別損益では前期に計上したACTG合併に関連した減損損失等の特別損失170百万円がなくなる一方、駆けつけ事業の株式譲渡に伴う特別損失28百万円を計上する予定だ。責任準備金については前期並みの水準を見込んでいることから、2023年9月期は増収に見合った増益が期待できそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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