アイナボHD Research Memo(4):2022年9月期は0.2%営業減益。売上総利益率は14.2%
[22/12/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2022年9月期の業績概要
(1) 損益状況
アイナボホールディングス<7539>の2022年9月期の連結業績は、売上高79,143百万円(前期比19.7%増)、営業利益1,899百万円(同0.2%減)、経常利益2,167百万円(同2.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,647百万円(同25.8%増)となった。
新規連結子会社となったマニックスの売上高8,348百万円、営業利益94百万円が業績に寄与している。これを除いた数値では、前期比7.1%増収、同5.1%の営業減益である。またマニックスの負ののれん発生益328百万円を特別利益として計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益は大幅増益となった。セグメント別では、戸建住宅事業はリフォーム需要が回復したことや部材供給が追い付いてきたことなどから増収増益となったが、大型物件事業は前期まで好調であった温調技研が競争激化で減益となったことから、セグメント利益は減益となった。
売上総利益率は14.2%(前期14.4%)と前期比0.2ポイント減少したが、主に製品構成の変化によるものである。ただし、増収により売上総利益は前期比17.9%増の11,261百万円となった。一方で販管費は、マニックス分の増加に加え、物流費の上昇や従業員の労苦に報いるためのインフレ手当の支給、賞与増などから前期比22.5%増となった。この結果、営業利益は前期比で微減益となった。
営業利益の増減を分析すると、増益要因としては増収による増益が717百万円、新規連結による増益が94百万円となり、減益要因としては販管費の増加による減益が475百万円、売上総利益率の低下(前期比0.2ポイント減)による減益340百万円となった。その結果、営業利益は前期比で3百万円減となった。
(2) セグメント別状況
セグメント別及びサブセグメント別状況は以下のとおり。
a) 戸建住宅事業
戸建住宅事業の売上高は67,734百万円(前期比19.9%増)、セグメント利益は2,843百万円(同22.3%増)となった。サブセグメント別の売上高は、外壁工事が15,723百万円(同9.4%増)、住設工事が20,026百万円(同17.1%増)、建材販売が14,538百万円(同10.6%増)、住設販売が17,446百万円(同47.1%増)となった。住設工事と住設販売の伸び率が高いのはマニックスの影響による。
住宅市場そのものは必ずしも回復基調とは言えないが、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)からの回復によりリフォーム需要が増加したこと、一時期に品薄状態であった住設機器等の供給が追い付いてきたことなどから増収を確保した。足元の受注残高は、堅調で新規顧客開拓も着実に進んでおり、今後に期待が持てる内容となった。
b) 大型物件事業
大型物件事業の売上高は11,409百万円(前期比18.3%増)、セグメント利益は392百万円(同52.6%減)となった。サブセグメント別売上高では、タイル販売・工事が3,346百万円(同2.4%減)、住設販売・工事が8,062百万円(同29.8%増)となった。住設販売・工事の増収にはマンション買取り事業が含まれている。増収は確保したものの、主要子会社である(株)アベルコの大型物件が不調であったことに加え、それまで利益をけん引してきた温調技研が競争激化により減益となったことからセグメント利益は大幅減となった。なお2021年9月期から注力している不動産買取再販事業の売上高(2期累計)は1,450百万円(51戸)となり、初年度の400百万円(10戸)から大きく伸びた。
(3) 事業会社別業績
各事業会社の業績では、アベルコの売上高は54,713百万円(前期比8.2%増)、営業利益は1,713百万円(同7.1%増)、(株)インテルグローの売上高は11,494百万円(同9.0%増)、営業利益は207百万円(同14.4%増)、温調技研の売上高は1,923百万円(同8.3%減)、営業利益は186百万円(同40.0%減)、(株)今村の売上高は3,139百万円(同0.4%増)、営業利益は17百万円(同51.4%減)となった。今村はタイル関連の売上比率が比較的高いため、タイル不振の影響を大きく受けた。(株)アルティスの売上高は、383百万円(同42.9%増)、営業損失87百万円(前期は93百万円の損失)、新規子会社となったマニックスの売上高は8,348百万円(前期比較なし)、営業利益94百万円となった。
(4) 重点課題の達成状況
同社が「重点課題」とした各課題の達成状況は次のとおりである。サイディングの売上高は3,421百万円(前期比17.2%増)、サイディングプレカットの件数は836件(同5.3%増)と堅調に推移した。前期は、コロナ禍の影響で施工の外注先を思うように確保できなかったことで伸び悩んだが、現在はこの問題も解決しつつある。非住宅の売上高は2,330百万円(同43.5%増)と順調に拡大している。注力しているサッシ関連では、マンション+戸建向けの売上高は2,855百万円(同1.9%増)、戸建て向けのみの売上高は1,929百万円(同17.9%増)となり堅調であった。サッシ事業では、組立て及び図面の内製化を進めており、利益率は改善しつつある。
ブランド事業では、子会社化したアルティスの売上高は383百万円(同42.4%増)となり、まずまずであった。アベルコで取り扱う「マリスト(タイル)」も売上高は1,229百万円(同22.5%増)と堅調であった。マリストは、金額は少ないが利益率が高いことから、全体の利益率に与える影響も大きいようだ。なお、「マリスト」は(株)Maristoを分割準備会社として、2023年9月期から子会社化する予定だ。また同社が最も重視している指標の1つである新規顧客開拓については、件数は691件(同6.5%減)となったが、売上高は1,627百万円(同10.0%増)と計画どおり順調な伸びとなった。特に中部圏を地盤とするインテルグローで新規顧客が順調に積み上がっており、今後の業績に期待が持てそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 2022年9月期の業績概要
(1) 損益状況
アイナボホールディングス<7539>の2022年9月期の連結業績は、売上高79,143百万円(前期比19.7%増)、営業利益1,899百万円(同0.2%減)、経常利益2,167百万円(同2.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,647百万円(同25.8%増)となった。
新規連結子会社となったマニックスの売上高8,348百万円、営業利益94百万円が業績に寄与している。これを除いた数値では、前期比7.1%増収、同5.1%の営業減益である。またマニックスの負ののれん発生益328百万円を特別利益として計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益は大幅増益となった。セグメント別では、戸建住宅事業はリフォーム需要が回復したことや部材供給が追い付いてきたことなどから増収増益となったが、大型物件事業は前期まで好調であった温調技研が競争激化で減益となったことから、セグメント利益は減益となった。
売上総利益率は14.2%(前期14.4%)と前期比0.2ポイント減少したが、主に製品構成の変化によるものである。ただし、増収により売上総利益は前期比17.9%増の11,261百万円となった。一方で販管費は、マニックス分の増加に加え、物流費の上昇や従業員の労苦に報いるためのインフレ手当の支給、賞与増などから前期比22.5%増となった。この結果、営業利益は前期比で微減益となった。
営業利益の増減を分析すると、増益要因としては増収による増益が717百万円、新規連結による増益が94百万円となり、減益要因としては販管費の増加による減益が475百万円、売上総利益率の低下(前期比0.2ポイント減)による減益340百万円となった。その結果、営業利益は前期比で3百万円減となった。
(2) セグメント別状況
セグメント別及びサブセグメント別状況は以下のとおり。
a) 戸建住宅事業
戸建住宅事業の売上高は67,734百万円(前期比19.9%増)、セグメント利益は2,843百万円(同22.3%増)となった。サブセグメント別の売上高は、外壁工事が15,723百万円(同9.4%増)、住設工事が20,026百万円(同17.1%増)、建材販売が14,538百万円(同10.6%増)、住設販売が17,446百万円(同47.1%増)となった。住設工事と住設販売の伸び率が高いのはマニックスの影響による。
住宅市場そのものは必ずしも回復基調とは言えないが、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)からの回復によりリフォーム需要が増加したこと、一時期に品薄状態であった住設機器等の供給が追い付いてきたことなどから増収を確保した。足元の受注残高は、堅調で新規顧客開拓も着実に進んでおり、今後に期待が持てる内容となった。
b) 大型物件事業
大型物件事業の売上高は11,409百万円(前期比18.3%増)、セグメント利益は392百万円(同52.6%減)となった。サブセグメント別売上高では、タイル販売・工事が3,346百万円(同2.4%減)、住設販売・工事が8,062百万円(同29.8%増)となった。住設販売・工事の増収にはマンション買取り事業が含まれている。増収は確保したものの、主要子会社である(株)アベルコの大型物件が不調であったことに加え、それまで利益をけん引してきた温調技研が競争激化により減益となったことからセグメント利益は大幅減となった。なお2021年9月期から注力している不動産買取再販事業の売上高(2期累計)は1,450百万円(51戸)となり、初年度の400百万円(10戸)から大きく伸びた。
(3) 事業会社別業績
各事業会社の業績では、アベルコの売上高は54,713百万円(前期比8.2%増)、営業利益は1,713百万円(同7.1%増)、(株)インテルグローの売上高は11,494百万円(同9.0%増)、営業利益は207百万円(同14.4%増)、温調技研の売上高は1,923百万円(同8.3%減)、営業利益は186百万円(同40.0%減)、(株)今村の売上高は3,139百万円(同0.4%増)、営業利益は17百万円(同51.4%減)となった。今村はタイル関連の売上比率が比較的高いため、タイル不振の影響を大きく受けた。(株)アルティスの売上高は、383百万円(同42.9%増)、営業損失87百万円(前期は93百万円の損失)、新規子会社となったマニックスの売上高は8,348百万円(前期比較なし)、営業利益94百万円となった。
(4) 重点課題の達成状況
同社が「重点課題」とした各課題の達成状況は次のとおりである。サイディングの売上高は3,421百万円(前期比17.2%増)、サイディングプレカットの件数は836件(同5.3%増)と堅調に推移した。前期は、コロナ禍の影響で施工の外注先を思うように確保できなかったことで伸び悩んだが、現在はこの問題も解決しつつある。非住宅の売上高は2,330百万円(同43.5%増)と順調に拡大している。注力しているサッシ関連では、マンション+戸建向けの売上高は2,855百万円(同1.9%増)、戸建て向けのみの売上高は1,929百万円(同17.9%増)となり堅調であった。サッシ事業では、組立て及び図面の内製化を進めており、利益率は改善しつつある。
ブランド事業では、子会社化したアルティスの売上高は383百万円(同42.4%増)となり、まずまずであった。アベルコで取り扱う「マリスト(タイル)」も売上高は1,229百万円(同22.5%増)と堅調であった。マリストは、金額は少ないが利益率が高いことから、全体の利益率に与える影響も大きいようだ。なお、「マリスト」は(株)Maristoを分割準備会社として、2023年9月期から子会社化する予定だ。また同社が最も重視している指標の1つである新規顧客開拓については、件数は691件(同6.5%減)となったが、売上高は1,627百万円(同10.0%増)と計画どおり順調な伸びとなった。特に中部圏を地盤とするインテルグローで新規顧客が順調に積み上がっており、今後の業績に期待が持てそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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