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クリアル Research Memo(8):2023年3月期は「CREAL」の高成長を軸として高成長が続く見通し(1)

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2023年3月期の業績見通し
クリアル<2998>の2023年3月期は、売上高16,000百万円(前期比51.2%増)、売上総利益1,880百万円(同21.0%増)、営業利益330百万円(同5.2%増)、経常利益310百万円(同20.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益200百万円(同16.0%増)と期初計画を据え置いている。前述のとおり、第2四半期時点で各利益は通期計画を大幅に超過したが、同社は下期の先行投資の増加を主因に期初計画を据え置いている。業績計画を据え置いた主な理由として、下期は上期と比較してCREAL事業の償還案件が少ないことが想定されること、成長のための先行投資の継続や人員拡大に伴うオフィス増床等が控えていることを挙げている。今後の業績動向を踏まえ、業績予想数値の修正が必要となった場合には速やかに開示する予定としている。

2. サービス別の見通し
(1) 「CREAL」
「CREAL」は、ファンド償還の順調な推移を背景に業績は倍増となる増収ペースで好調に推移している。将来をにらみ、従来にも増してAIやDXなどのIT投資、マーケティング、ESG投資等の新規プロダクトの開発を積極的に推進している。加えて、新規許認可(不動産特定共同事業法第3号、第4号)取得の準備を進めている。

a) ファンドの運用状況
ファンド償還は物件の外部売却が主なトリガーとなるため、この数値は「CREAL」のサービスの売上額に直結する。「CREAL」の売上高はこの外部売却金額に加え、ファンドに関する組成手数料や管理手数料などから構成される。

「CREAL」の2022年3月期第2四半期の売上高は6,541百万円となった。レジデンス9件、ホテル2件、商業施設(EGA武蔵小山)ファンドの償還を実施した。これらのファンドの外部売却金額に、ファンド組成手数料や管理手数料も加わった。

2023年3月期は既にレジデンスファンド4件、計1,889百万円の売買契約を締結済みであり、元本償還準備中の状況にある。レジデンス1件(623百万円)が募集完了したほか、オフィス1件、物流施設1件、保育園2件、レジデンス9件の計7,238百万円の売買締結前ファンドを運用中である。募集完了ファンドと売買締結前ファンドの合計金額7,861百万円となり、これは2023年3月期中に売却可能性のある売却予備軍のパイプラインという位置付けとなっている。これにより現状の推移を勘案すると、「CREAL」の2023年3月期の売上高は、2023年3月期の通期予想8,900百万円は余裕を持って達成する予想である。

b) IT投資
・ネイティブアプリ(iOSアプリ)の開発
現状において約70%のユーザーがスマートフォン経由で「CREAL」にアクセスしている状況を踏まえ、アクティブ率や顧客ロイヤリティのさらなる向上をねらい、2022年12月16日にネイティブアプリ(iOSアプリ)をリリースした。

・会員プログラム制度の導入(2022年7月)
ロイヤリティマーケティング戦略として、会員ランク機能システムの開発を進めている。これにより、投資金額・投資回数などに応じてランクを設定し、ランクに応じたインセンティブ・特典を付与できるようになる。これにより投資家の投資金額の拡大とリピート率の向上を図り、GMVのさらなる成長を目指す。

・内部オペレーションシステム「CREAL workspace」の開発
「CREAL workspace」は、不動産投資プロセスにおける非効率性の解消を目指したDXツールであり、内部オペレーションの大幅な効率化を実現するシステムである。この開発が実現することにより、同社が展開している3つのサービス「CREAL」「CREAL Partners」「CREAL Pro」におけるサービスの融合・連携をスムーズにし、部署間のデータ共有の効率化が叶う。

c) ESG投資の積極展開
同社は、個人投資家に直接にアプローチできるクラウドファンディング型不動産投資の特徴を最大限に活用することで、従来の投資ファンドでは投資規模やトラックレコードが少ないという理由で投資が進んでいなかったESG不動産投資の促進を図り、経済的リターンと社会的課題の解決の両立を目指している。2023年第2四半期も、2022年3月期の4件のESG投資に続いて、2023年第2四半期は学校法人「正和学園」とのアライアンスによる東京外国語大学内保育園プロジェクト(1.7億円)、(株)MIRATZとのアライアンスによる認可保育園プロジェクト(2.7億円)のESGプロジェクト2件を組成しており、それぞれ20秒、30秒程度で満額申し込みを達成した。

d) 新規許認可の取得
同社は不動産特定共同事業法に基づく第3号及び第4号事業者としての許可を国土交通省及び金融庁へ申請している。これらの取得により、外部のSPCを利用したクラウドファンディングでの案件組成が可能となる。外部のSPCにおいてクラウドファンディングを活用することで、「物件のオフバランス化」が可能となり、「金融機関・機関投資家のファンドへの参画の促進」が期待できる。従来よりも大型の案件組成も可能となり、同社の第2の成長ステージに向けた極めて大きな経営資源、業績拡大の原動力となることから、早期の許可取得を目指し体制整備を行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中村昌雄)



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