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ダイコク電 Research Memo(4):「スマート遊技機」への期待感の高まりとともに、「Χ(カイ)」が大きく伸びる

注目トピックス 日本株
■決算動向

1. 2023年3月期上期決算の概要
ダイコク電機<6430>の2023年3月期上期決算の業績は、売上高が前年同期比6.3%減の11,289百万円、営業利益が同13.2%減の749百万円、経常利益が同5.2%減の871百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同15.9%減の570百万円と減収減益となったが、売上高・各利益ともに期初計画を上回って着地した。

パチンコホールにおける設備投資は、導入予定時期(2022年11月)が近づく「スマート遊技機」の動向を探る向きから、新規出店や大規模改修工事を控える厳しい状況が続いたものの、「スマート遊技機」への期待感の高まりから、しだいに導入に向けた事前の設備投資が活発化する動きとなった。そのような環境下、「情報システム事業」は、世界的な半導体不足の影響のため供給が追い付かず、販売台数の調整を余儀なくされたことで減収となったが、その点は想定内である。「スマート遊技機」のデータ管理に最適なAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」のシステムアップ件数が大幅に増えたことから計画を上回った。また、サービス売上についてもMGサービスなどが堅調に推移した。一方、「制御システム事業」については、部品販売は好調であったものの、「スマート遊技機」の動向を探る姿勢から市場全体の遊技機販売台数は低調に推移し、それに伴って表示ユニット及び制御ユニットの販売がそれぞれ減少し減収となった。ただ、こちらもコンテンツの出資分配金などにより計画を上回ったようだ。

利益面では、減収による収益の下押しに加え、貸倒引当金繰入額(約230百万円)※の計上が利益の圧迫要因となり営業減益となった。ただ、利益率の高い「Χ(カイ)」のシステムアップ件数が伸びたことや製品の原価高騰が想定よりも抑えられたことから、計画を大幅に上回る利益水準を確保した。営業利益率も6.6%(前年同期は7.2%)に低下したものの、貸倒引当金繰入額の影響を除けば、前年同期を大きく上回る水準に改善していたことになる。

※取引先遊技機メーカーの民事再生手続きによる債権に対するもの。ただし、2023年3月期第2四半期までにすべて処理済であり、本件に関する貸倒関連費用は今後発生することはないようだ。


財政状態については、「スマート遊技機」の導入に向けて製品等が増加したが、「現金及び預金」や売上債権の減少、減価償却に伴う固定資産の縮小などにより、総資産は前期末比3.8%減の39,911百万円に減少した。また、自己資本は内部留保の積み増しと配当金の支払いがほぼ均衡し同0.2%増の31,194百万円と横ばいで推移したことから、自己資本比率は78.2%(前期末は75.1%)と僅かに改善した。

事業別の業績は以下のとおりである。

(1) 情報システム事業
売上高は前年同期比7.4%減の8,505百万円、セグメント利益は同4.4%増の1,406百万円と減収ながら増益となった。「パチンコホール向け製品等」の売上は、世界的な半導体不足の影響により供給が追い付かず、販売台数の調整を余儀なくされたことで減収となった。また、サービス売上についても、MGサービスなど主要なサービスは堅調に推移したものの、コンシューマビジネスが伸び悩んだことで微減となった。ただ、「スマート遊技機」の導入予定時期(2022年11月)が近づくにつれて、データ管理に最適なAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」のシステムアップ件数が大幅に増えたことから、売上高は計画を上回った。利益面では、「Χ(カイ)」のシステムアップ件数が伸びたことやMGサービスによる収益の底上げに加え、製品の原価高騰が想定よりも抑えられたことから増益となり、計画に対しても大幅に上回った。セグメント利益率も16.5%(前年同期は14.7%)に改善した。

(2) 制御システム事業
売上高は前年同期比2.7%減の2,788百万円、セグメント利益は同81.8%減の48百万円と減収減益となった。部品販売は好調に推移し前年同期を上回ったものの、前期に実施された「新規則」機への入替需要の反動減と今後の「スマート遊技機」の動向を探る姿勢により市場全体の遊技機販売台数が減少するなか、表示ユニット及び制御ユニットの販売がそれぞれ前年同期を下回り減収となった。利益面では、取引先遊技機メーカーの民事再生手続きに伴う貸倒引当金繰入額を計上(約230百万円)したことから大幅な減益となったが、コンテンツの出資分配金により計画を上回ったようだ。セグメント利益率も1.7%(前年同期は9.3%)と大きく低下したものの、貸倒引当金繰入額による影響を除けば、10%程度の利益率を確保していたことになり、前期から取り組んでいる収益体質の改善効果は維持されているとの見方もできる。

2. 2023年3月期上期の総括
以上から、2023年3月期上期を総括すると、半導体不足の影響等により減収減益となったものの、その点はあくまでも生産調整によるものであり、需要(パチンコホールの投資意欲)そのものは「スマート遊技機」への期待感からしだいに上向いてきたことや、それに伴って「Χ(カイ)」のシステムアップ件数が増加し、計画を上回ったところは評価できるポイントと言える。加えて2022年11月21日に登場した「スマートパチスロ」が期待どおりに滑り出し、高い評価を得ているところも今後に向けて明るい材料となっている。また、将来に向けた活動面でも、次世代のクラウドサービス「ClarisLink」が順調に伸びてきたことに加え、クラウド強化に向けたM&A(詳細は後述)でも大きな成果をあげることができた。特に「ClarisLink」は、ほかでは得られないデータやレスポンスの速さなどが高く評価されており、計画の2倍以上のペースで伸びてきたようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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