サイオス Research Memo(1):SaaS事業強化と事業構造改革により、収益構造の転換に取り組む
[23/03/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*15:21JST サイオス Research Memo(1):SaaS事業強化と事業構造改革により、収益構造の転換に取り組む
■要約
サイオス<3744>は、Linuxに代表されるオープンソースソフトウェア(以下、OSS)※1の開発と利用を軸に、OS、サーバー、アプリケーション、クラウドコンピューティングに関わるソフトウェア製品とサービスの提供を行うIT企業である。主力製品はシステム障害時のシステムダウンを回避するソフトウェア「LifeKeeper」※2や、MFP(複合機)向けソフトウェア※3製品、「Gluegentシリーズ」※4などがある。
※1 ソフトウェアの設計図にあたるソースコードを無償で公開し、使用・改良・再配布ができるソフトウェア。
※2 稼働中のサーバーとは別に同じ環境の予備サーバーを待機させ、万が一障害が発生した際には自動的に予備サーバーに業務を引き継がせる役割を担うソフトウェア。
※3 「Quickスキャン」「Speedoc」等のMFP上で利用できる文書管理ソフトウェア。なお、MFPとはプリンタ、スキャナー、コピー、ファックス等複数の機能を搭載した機器(複合機)を指す。
※4 IDの管理をクラウドで行うサービス「Gluegent Gate」をはじめ、クラウド型ワークフローの「Gluegent Flow」、Google Calendarにチームメンバーの予定管理機能等を付加した「Gluegent Appsグループスケジューラ」等、企業の業務効率化等を支援するサービス。
1. 2022年12月期の業績概要
2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比8.3%減の14,420百万円、営業損失で572百万円(前期は358百万円の利益)となった。売上高については、半導体不足に起因したサーバー等の供給遅れを主因として、Red Hat, Inc.関連商品※1や金融機関向け経営支援システム販売等のオンプレミス向け製品・サービスが大きく落ち込み減収要因となった。利益面では、減収に伴う利益減に加えて、SaaS事業や新規事業への投資も減益要因となった。新製品としては、Med Tech領域で精神科病院向け電子カルテサービス「INDIGO NOTE(インディゴノート)」をリリースしたほか、HR Tech領域で従業員エンゲージメント※2を定量化できる「OurEngage(アワエンゲージ)」の提供を開始している。
※1 オープンソースソフトウェア&サービス・プロバイダーの大手であるRed Hat, Inc.が開発するオープンソースの製品。
※2 個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献しあえる関係。
2. 2023年12月期の重点施策
2023年12月期の連結業績見通しについては、事業構造改革を実施する予定であることから現時点で合理的に算定することが困難と判断し、非開示とした。重点施策としては、SaaS事業への投資継続、「LifeKeeper」のクラウド及びサブスクリプションモデルでの販売強化、事業構造改革の実施の3つを挙げている。SaaS事業については、「Gluegentシリーズ」に加えて「INDIGO NOTE」等の開発を継続するとともに、販売パートナーの拡充やデジタルマーケティング施策等を販売戦略として顧客獲得を進める方針だ。「Gluegentシリーズ」のARR※は2022年12月時点で650百万円であり、今後も年率2ケタ成長を目指す。また、企業の基幹システムや行政機関の情報システムのクラウド化が進むなかで、「LifeKeeper」はクラウド利用の需要を取り込んでいく。事業構造改革については、安定的な収益体質に転換すべく、外部要因によって業績が変動しやすいオンプレミス向け製品・サービスの見直しを進める考えだ。
※ARR(Annual Recurring Revenue)=月末におけるMRR(サブスクリプション契約等に基づき毎月繰り返し得られる収益の月間合計)×12ヶ月
3. 今後の成長戦略
同社は成長戦略として、ストック型ビジネスモデルで持続的な成長が期待できるSaaS事業の強化と販管費の最適化による、EBITDA(償却前営業利益)とROIC(投下資本利益率)の向上を掲げている。創出したキャッシュ・フローについては、株主やステークホルダーに還元するとともに、将来の成長に向けた投資に充当する。SaaS事業の新サービスの動向が中期的な成長のカギを握ると見られ、今後の動向に注目したい。
■Key Points
・オンプレミス向けの販売減少とSaaS事業への先行投資により2022年12月期は減収、営業損失を計上
・2023年12月期業績見通しは事業構造改革の内容が固まり次第、開示する方針
・クラウド関連事業の拡大に向け、開発・マーケティング強化を継続
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■要約
サイオス<3744>は、Linuxに代表されるオープンソースソフトウェア(以下、OSS)※1の開発と利用を軸に、OS、サーバー、アプリケーション、クラウドコンピューティングに関わるソフトウェア製品とサービスの提供を行うIT企業である。主力製品はシステム障害時のシステムダウンを回避するソフトウェア「LifeKeeper」※2や、MFP(複合機)向けソフトウェア※3製品、「Gluegentシリーズ」※4などがある。
※1 ソフトウェアの設計図にあたるソースコードを無償で公開し、使用・改良・再配布ができるソフトウェア。
※2 稼働中のサーバーとは別に同じ環境の予備サーバーを待機させ、万が一障害が発生した際には自動的に予備サーバーに業務を引き継がせる役割を担うソフトウェア。
※3 「Quickスキャン」「Speedoc」等のMFP上で利用できる文書管理ソフトウェア。なお、MFPとはプリンタ、スキャナー、コピー、ファックス等複数の機能を搭載した機器(複合機)を指す。
※4 IDの管理をクラウドで行うサービス「Gluegent Gate」をはじめ、クラウド型ワークフローの「Gluegent Flow」、Google Calendarにチームメンバーの予定管理機能等を付加した「Gluegent Appsグループスケジューラ」等、企業の業務効率化等を支援するサービス。
1. 2022年12月期の業績概要
2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比8.3%減の14,420百万円、営業損失で572百万円(前期は358百万円の利益)となった。売上高については、半導体不足に起因したサーバー等の供給遅れを主因として、Red Hat, Inc.関連商品※1や金融機関向け経営支援システム販売等のオンプレミス向け製品・サービスが大きく落ち込み減収要因となった。利益面では、減収に伴う利益減に加えて、SaaS事業や新規事業への投資も減益要因となった。新製品としては、Med Tech領域で精神科病院向け電子カルテサービス「INDIGO NOTE(インディゴノート)」をリリースしたほか、HR Tech領域で従業員エンゲージメント※2を定量化できる「OurEngage(アワエンゲージ)」の提供を開始している。
※1 オープンソースソフトウェア&サービス・プロバイダーの大手であるRed Hat, Inc.が開発するオープンソースの製品。
※2 個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献しあえる関係。
2. 2023年12月期の重点施策
2023年12月期の連結業績見通しについては、事業構造改革を実施する予定であることから現時点で合理的に算定することが困難と判断し、非開示とした。重点施策としては、SaaS事業への投資継続、「LifeKeeper」のクラウド及びサブスクリプションモデルでの販売強化、事業構造改革の実施の3つを挙げている。SaaS事業については、「Gluegentシリーズ」に加えて「INDIGO NOTE」等の開発を継続するとともに、販売パートナーの拡充やデジタルマーケティング施策等を販売戦略として顧客獲得を進める方針だ。「Gluegentシリーズ」のARR※は2022年12月時点で650百万円であり、今後も年率2ケタ成長を目指す。また、企業の基幹システムや行政機関の情報システムのクラウド化が進むなかで、「LifeKeeper」はクラウド利用の需要を取り込んでいく。事業構造改革については、安定的な収益体質に転換すべく、外部要因によって業績が変動しやすいオンプレミス向け製品・サービスの見直しを進める考えだ。
※ARR(Annual Recurring Revenue)=月末におけるMRR(サブスクリプション契約等に基づき毎月繰り返し得られる収益の月間合計)×12ヶ月
3. 今後の成長戦略
同社は成長戦略として、ストック型ビジネスモデルで持続的な成長が期待できるSaaS事業の強化と販管費の最適化による、EBITDA(償却前営業利益)とROIC(投下資本利益率)の向上を掲げている。創出したキャッシュ・フローについては、株主やステークホルダーに還元するとともに、将来の成長に向けた投資に充当する。SaaS事業の新サービスの動向が中期的な成長のカギを握ると見られ、今後の動向に注目したい。
■Key Points
・オンプレミス向けの販売減少とSaaS事業への先行投資により2022年12月期は減収、営業損失を計上
・2023年12月期業績見通しは事業構造改革の内容が固まり次第、開示する方針
・クラウド関連事業の拡大に向け、開発・マーケティング強化を継続
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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