窪田製薬HD Research Memo(4):「Kubota Glass」を2022年に販売開始、今後も育成方針(2)
[23/03/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*14:54JST 窪田製薬HD Research Memo(4):「Kubota Glass」を2022年に販売開始、今後も育成方針(2)
■窪田製薬ホールディングス<4596>の主要開発パイプラインの概要と進捗状況
(4) 事業計画
「Kubota Glass」の販売については、2022年までに台湾と米国で医療機器としての登録を完了し、2022年6月に米国でソフトローンチによる販売を開始した※1。また、日本でも同年8月より野外活動を再現するAR機器として販売を開始した。台湾については販売代理店※2側で臨床試験を実施したい意向のようで、今のところ販売開示時期は未定となっている。販売価格は日本で77万円(税込)となっており、2022年12月期の事業収益が8百万円だったことから十数台程度の販売実績だったと見られる。
※1 眼科研究所及び眼科病院を運営するManhattan Vision Associates(MVA)で販売を開始したが(価格5,200米ドル)、現在は日本での供給を優先するため、米国での新規購入受付は一旦停止している。
※2 2022年7月に大手眼科機器販売会社のEverLight Instrument Companyと販売代理店契約を締結した。
購入者のタイプは今のところ3つのタイプがある。勉強に励んでいる子ども向けに保護者が購入するケース、オフィスワークがメインの働き盛りのビジネスマン、海外から来日して購入する外国人といった具合だ。購入者の1/5は海外客で、2021年にテレビで「Kubota Glass」が紹介され話題となったときから、販売開始を待っていた顧客もいる。中国やシンガポール、マレーシア、韓国、フランス、UAEなど幅広い地域の人々から関心を寄せられており、特に英語圏では論文などで臨床試験の結果を知り、問合せが入ってくると言う。
このように注目度の高い製品ではあるものの、課題も残っている。1つ目は、リードタイムの問題だ。まだごく少量の生産となるため、現在は顧客の注文が入ってから製造委託先に発注している。レンズや光源など精密部品は欧州で作り、それを東南アジアで組み立て、調整してから日本に出荷するため、注文から納品までに2〜3ヶ月かかっている。今後、サプライチェーンの見直しや、大量生産の体制を整えることでリードタイムの短縮を図る考えだ。同社では度数の入っていないメガネであれば、パーツを在庫として店舗で備蓄しておき、組み立てと最終調整を行うことで即日渡しも可能になると見ている。また、コスト低減も重要な課題と言える。大量生産が可能になれば部品コストも自ずと低下するが、それ以外にも光源となるマイクロLEDとレンズの配置調整の工程もサイズ等によって微調整が必要なため、コスト高の一因となっている。同工程をある程度自動化することでコスト低減も進むものと思われる。
2023年以降の販売計画として、日本では引き続きAR機器として販売を拡大していくため、取扱い店舗の拡大や販売効率化に向けたスタッフの教育、商品をわかりやすく説明した動画コンテンツの作成などに取り組む方針だ。また、実際の利用者の声など顧客にとって有意義な情報も発信していくことにしている。
取扱店舗については、一部の眼科や眼鏡店(兵庫県2店舗、神奈川県1店舗)で注文を受け付けているほか、2022年12月に直営店(東京都新宿区)を1店舗オープンした。直近では「メガネストアー」を関東中心に169店舗展開している(株)アイ・トピアと2023年2月に販売代理店契約を締結し、一部の店舗で同年春以降に「Kubota Glass」の取り扱いを開始する予定となっている。また、そのほかにも眼鏡小売店や眼科医院など販売ネットワークを拡大する考えだ。さらに、「Kubota Glass」を販売していない国からの需要にはECショップで対応していく。
一方、医療機器での販売が可能となっている米国や台湾については、状況が整い次第販売を拡大する。そのほかの国については当該国の規制なども考慮しつつ、早期販売が可能と考えられる日本での販売モデル(AR機器として販売)で展開することも検討している。地域的には、潜在市場の大きいアジア地域を優先するようだ。
開発面では、長期試験など臨床試験を継続しエビデンスを積み重ねていくと同時に、製品改良も継続して取り組む方針だ。臨床試験のエビデンスとしては、米国で小児を対象とした長期臨床試験の結果を2022年9月に発表した。10〜17歳の被験者に対して、週5日間、約1.5時間/日の投影条件でクボタメガネを着用した結果、ヒストリカルコントロール群との比較で、近視の進行及び眼軸長の伸展を抑制することが確認され、同データをもとに12ヶ月間実施した場合の結果を推測すると、近視の進行を0.42D(131%抑制)、眼軸長の伸びを0.21mm(96%抑制)減少させることができたとしている。
一方、日本では鹿児島園田眼科・形成外科にて2023年2月より「Kubota Glass」の前向き介入研究を開始したことを発表した。7歳以上の小児を対象に、「Kubota Glass」の使用感を評価する試験である。米国で実施された小児の評価試験を日本でも行うことで、日本人でも継続的に使用可能なものであるかを検証する。同社では日本でもいずれ医療機器としての販売を目指しており、そのためのエビデンスを積み上げていく。
製品改良としては、ユーザー評価も聞きながら現在数種類にしぼっているサイズの拡充やサイズの調節機能を付加するなど、より消費者に受け入れられる製品に仕上げるべく、社内で検討している。設計や部材の見直し等によるコスト低減余地もあり、低コスト化が進めば潜在需要は大きいだけに売上も一気に拡大する可能性がある。なお、将来的にはコンタクトレンズでの商品化も視野に入れており、知財戦略として関連特許を取得している※。
※2022年8月に米国で、「近視抑制のための電子コンタクトレンズの光学設計」「ソフトコンタクトレンズ内にフレキシブルプリント配線板を封入するための支持ピラー」の2件に関する特許を取得したことを発表した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■窪田製薬ホールディングス<4596>の主要開発パイプラインの概要と進捗状況
(4) 事業計画
「Kubota Glass」の販売については、2022年までに台湾と米国で医療機器としての登録を完了し、2022年6月に米国でソフトローンチによる販売を開始した※1。また、日本でも同年8月より野外活動を再現するAR機器として販売を開始した。台湾については販売代理店※2側で臨床試験を実施したい意向のようで、今のところ販売開示時期は未定となっている。販売価格は日本で77万円(税込)となっており、2022年12月期の事業収益が8百万円だったことから十数台程度の販売実績だったと見られる。
※1 眼科研究所及び眼科病院を運営するManhattan Vision Associates(MVA)で販売を開始したが(価格5,200米ドル)、現在は日本での供給を優先するため、米国での新規購入受付は一旦停止している。
※2 2022年7月に大手眼科機器販売会社のEverLight Instrument Companyと販売代理店契約を締結した。
購入者のタイプは今のところ3つのタイプがある。勉強に励んでいる子ども向けに保護者が購入するケース、オフィスワークがメインの働き盛りのビジネスマン、海外から来日して購入する外国人といった具合だ。購入者の1/5は海外客で、2021年にテレビで「Kubota Glass」が紹介され話題となったときから、販売開始を待っていた顧客もいる。中国やシンガポール、マレーシア、韓国、フランス、UAEなど幅広い地域の人々から関心を寄せられており、特に英語圏では論文などで臨床試験の結果を知り、問合せが入ってくると言う。
このように注目度の高い製品ではあるものの、課題も残っている。1つ目は、リードタイムの問題だ。まだごく少量の生産となるため、現在は顧客の注文が入ってから製造委託先に発注している。レンズや光源など精密部品は欧州で作り、それを東南アジアで組み立て、調整してから日本に出荷するため、注文から納品までに2〜3ヶ月かかっている。今後、サプライチェーンの見直しや、大量生産の体制を整えることでリードタイムの短縮を図る考えだ。同社では度数の入っていないメガネであれば、パーツを在庫として店舗で備蓄しておき、組み立てと最終調整を行うことで即日渡しも可能になると見ている。また、コスト低減も重要な課題と言える。大量生産が可能になれば部品コストも自ずと低下するが、それ以外にも光源となるマイクロLEDとレンズの配置調整の工程もサイズ等によって微調整が必要なため、コスト高の一因となっている。同工程をある程度自動化することでコスト低減も進むものと思われる。
2023年以降の販売計画として、日本では引き続きAR機器として販売を拡大していくため、取扱い店舗の拡大や販売効率化に向けたスタッフの教育、商品をわかりやすく説明した動画コンテンツの作成などに取り組む方針だ。また、実際の利用者の声など顧客にとって有意義な情報も発信していくことにしている。
取扱店舗については、一部の眼科や眼鏡店(兵庫県2店舗、神奈川県1店舗)で注文を受け付けているほか、2022年12月に直営店(東京都新宿区)を1店舗オープンした。直近では「メガネストアー」を関東中心に169店舗展開している(株)アイ・トピアと2023年2月に販売代理店契約を締結し、一部の店舗で同年春以降に「Kubota Glass」の取り扱いを開始する予定となっている。また、そのほかにも眼鏡小売店や眼科医院など販売ネットワークを拡大する考えだ。さらに、「Kubota Glass」を販売していない国からの需要にはECショップで対応していく。
一方、医療機器での販売が可能となっている米国や台湾については、状況が整い次第販売を拡大する。そのほかの国については当該国の規制なども考慮しつつ、早期販売が可能と考えられる日本での販売モデル(AR機器として販売)で展開することも検討している。地域的には、潜在市場の大きいアジア地域を優先するようだ。
開発面では、長期試験など臨床試験を継続しエビデンスを積み重ねていくと同時に、製品改良も継続して取り組む方針だ。臨床試験のエビデンスとしては、米国で小児を対象とした長期臨床試験の結果を2022年9月に発表した。10〜17歳の被験者に対して、週5日間、約1.5時間/日の投影条件でクボタメガネを着用した結果、ヒストリカルコントロール群との比較で、近視の進行及び眼軸長の伸展を抑制することが確認され、同データをもとに12ヶ月間実施した場合の結果を推測すると、近視の進行を0.42D(131%抑制)、眼軸長の伸びを0.21mm(96%抑制)減少させることができたとしている。
一方、日本では鹿児島園田眼科・形成外科にて2023年2月より「Kubota Glass」の前向き介入研究を開始したことを発表した。7歳以上の小児を対象に、「Kubota Glass」の使用感を評価する試験である。米国で実施された小児の評価試験を日本でも行うことで、日本人でも継続的に使用可能なものであるかを検証する。同社では日本でもいずれ医療機器としての販売を目指しており、そのためのエビデンスを積み上げていく。
製品改良としては、ユーザー評価も聞きながら現在数種類にしぼっているサイズの拡充やサイズの調節機能を付加するなど、より消費者に受け入れられる製品に仕上げるべく、社内で検討している。設計や部材の見直し等によるコスト低減余地もあり、低コスト化が進めば潜在需要は大きいだけに売上も一気に拡大する可能性がある。なお、将来的にはコンタクトレンズでの商品化も視野に入れており、知財戦略として関連特許を取得している※。
※2022年8月に米国で、「近視抑制のための電子コンタクトレンズの光学設計」「ソフトコンタクトレンズ内にフレキシブルプリント配線板を封入するための支持ピラー」の2件に関する特許を取得したことを発表した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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