SBSHD Research Memo(3):2022年12月期の営業利益は、5期連続で過去最高を更新
[23/03/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*15:33JST SBSHD Research Memo(3):2022年12月期の営業利益は、5期連続で過去最高を更新
■業績動向
1. 2022年12月期の業績概要
SBSホールディングス<2384>の2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比12.9%増の455,481百万円、営業利益で同5.5%増の21,844百万円、経常利益で同4.5%増の21,404百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.7%増の11,732百万円と増収増益となり、売上高、営業利益及び経常利益は5期連続、親会社株主に帰属する当期純利益は4期連続で過去最高を更新した。2022年6月末に稼働間もない「阿見第二物流センター」(茨城県阿見町)を火災で焼失するという不測の事態が発生したものの物流事業の拡大でカバーし、期初計画に対して売上高、各利益とも上回って着地した。
売上高は不動産事業が流動化案件の減少により前期比3,619百万円の減収となったものの、物流事業が海上・航空運賃の高騰や円安効果、新規連結子会社の寄与、既存顧客における物流量増加及び新規顧客の開拓等により同54,959百万円の増収となったことで2ケタ増収を達成した。営業利益は、各事業セグメントで微減益となったものの、前期に計上した本社移転費用や広告宣伝費用など共通費用が1,344百万円減少したことが増益要因となった。
また、特別損失として「阿見第二物流センター」火災損失4,578百万円、関係会社株式評価損744百万円、減損損失902百万円など合計6,606百万円を計上したが、特別利益として火災関連の受取保険金4,579百万円、固定資産売却益2,286百万円など合計6,940百万円を計上した。なお、2022年12月期のM&A実績は2件となった。いずれも日本物流未来投資(株)※の出資を経て、同社グループが子会社化した案件となる。業績への影響は軽微としている。
※同社と(株)日本政策投資銀行の合弁で2020年3月に設立した日本政策投資銀行が運営する投資ファンド。後継者問題などの経営課題を抱えている中堅・中小の物流事業者に投資を行い、バリューアップ施策(財務の改善、コンプライアンス体制の整備等含む)を実行したのちに、同社がグループ化するスキームとなっている。
物流事業は海外事業の拡大やM&A効果により前期比2ケタ増収に
2. 事業セグメント別の動向
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比14.5%増の433,295百万円、営業利益は同0.8%減の15,423百万円となった。売上高の増減要因を見ると、海上・航空運賃の高騰や為替の円安進展によって海外事業が25,845百万円の増収となったほか、SBS古河物流など2021年に実施したM&Aによる新規連結子会社の寄与で24,001百万円、既存顧客の物流量増加及び新規顧客の開拓効果等で12,705百万円の増収となった。一方で、「阿見第二物流センター」の火災事故の影響で709百万円の減収(阿見第一物流センターも一部被災)となったほか、「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い6,883百万円の減収となった。なお、海外事業については、SBSリコーロジスティクスによる新規顧客(現地日系メーカー)開拓効果が寄与したようだ。国内事業については電子機器やEC物流が引き続き堅調に推移した。
営業利益の増減要因を見ると、増益要因として海外事業の増収で1,232百万円、新規連結子会社の寄与で775百万円、既存顧客の物流量増加及び新規顧客の開拓等で592百万円となった。減益要因としては、燃料費・光熱費の増加で1,159百万円※、本社移転及び制服刷新費用で659百万円、「阿見第二物流センター」の火災対応費用の計上で285百万円、M&A関連償却費用の増加で162百万円、その他費用の増加で457百万円となった。一時的費用である本社移転・制服刷新費用や火災対応費用を除けば営業利益も5%程度の増益だったことになる。また、営業利益率は前期の4.1%から3.6%に低下したが、2020年12月期以前は3%未満の水準であったことや、一時費用が発生したことなども考慮すれば堅調だったと言える。
※軽油の平均価格は2021年12月期の103円/Lに対して2022年12月期は114円/Lに上昇。1円/Lの上昇で約30百万円の減益要因。
主要グループ会社別の動向について、SBS東芝ロジスティクスの売上高は海外事業の伸張を主因として前期比16%増の1,292億円となり、利益も増加した。グループ化以降、社長自ら全国の事業拠点を訪問、基幹社員とのコミュニケーションを通じで問題点を共有・意見交換し職場環境の改善に取り組んだ。2022年3月には本社機能の大半を川崎から西新宿に移転し、残っている部門についても2023年10月に移転を完了する計画となっている。また、情報システム関連のPMIは同年2月までに完了しており、シナジー効果の顕在化が期待できる。
SBSリコーロジスティクスの売上高は前期比約20%増の1,100億円となり、利益も増加した。海外事業が伸長したことに加えて、2021年10月に稼働を開始した「横浜金沢物流センター」(神奈川県横浜市、延床面積:16,200坪)の貢献もあり増収となった。同社では旧親会社のリコーグループ以外の新規顧客獲得が順調で、グループ連結以降5年間の年平均成長率は11.2%となっている。
SBSロジコムは、既存現場の効率化・作業高度化を推進しつつ、EC物流及び3PLに関連するサービスの先行投資を加速している。食品物流のSBSフレックとSBSゼンツウは、コスト上昇の吸収に苦慮し、いずれも減益であった。SBS即配については引き続き大手EC事業者の宅配需要が伸びたことで増収増益となった。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比21.2%減の13,423百万円、営業利益は同0.8%減の6,282百万円となった。このうち、開発事業は2022年11月に「横浜金沢物流センター」の60%分の信託受益権を譲渡し、売却益約52億円を営業利益として計上した。前期と比べて売上高は減少したものの、営業利益は若干増益となった。一方、賃貸事業は2023年1〜2月にかけ、居住用不動産2棟を売却し売上高、営業利益ともに若干の減収減益になったと見られる。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比8.1%増の8,762百万円、営業利益は同7.5%減の402百万円となった。マーケティング事業や環境事業の伸長により増収となったが、人材派遣事業におけるコスト増加が減益要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■業績動向
1. 2022年12月期の業績概要
SBSホールディングス<2384>の2022年12月期の連結業績は、売上高で前期比12.9%増の455,481百万円、営業利益で同5.5%増の21,844百万円、経常利益で同4.5%増の21,404百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.7%増の11,732百万円と増収増益となり、売上高、営業利益及び経常利益は5期連続、親会社株主に帰属する当期純利益は4期連続で過去最高を更新した。2022年6月末に稼働間もない「阿見第二物流センター」(茨城県阿見町)を火災で焼失するという不測の事態が発生したものの物流事業の拡大でカバーし、期初計画に対して売上高、各利益とも上回って着地した。
売上高は不動産事業が流動化案件の減少により前期比3,619百万円の減収となったものの、物流事業が海上・航空運賃の高騰や円安効果、新規連結子会社の寄与、既存顧客における物流量増加及び新規顧客の開拓等により同54,959百万円の増収となったことで2ケタ増収を達成した。営業利益は、各事業セグメントで微減益となったものの、前期に計上した本社移転費用や広告宣伝費用など共通費用が1,344百万円減少したことが増益要因となった。
また、特別損失として「阿見第二物流センター」火災損失4,578百万円、関係会社株式評価損744百万円、減損損失902百万円など合計6,606百万円を計上したが、特別利益として火災関連の受取保険金4,579百万円、固定資産売却益2,286百万円など合計6,940百万円を計上した。なお、2022年12月期のM&A実績は2件となった。いずれも日本物流未来投資(株)※の出資を経て、同社グループが子会社化した案件となる。業績への影響は軽微としている。
※同社と(株)日本政策投資銀行の合弁で2020年3月に設立した日本政策投資銀行が運営する投資ファンド。後継者問題などの経営課題を抱えている中堅・中小の物流事業者に投資を行い、バリューアップ施策(財務の改善、コンプライアンス体制の整備等含む)を実行したのちに、同社がグループ化するスキームとなっている。
物流事業は海外事業の拡大やM&A効果により前期比2ケタ増収に
2. 事業セグメント別の動向
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比14.5%増の433,295百万円、営業利益は同0.8%減の15,423百万円となった。売上高の増減要因を見ると、海上・航空運賃の高騰や為替の円安進展によって海外事業が25,845百万円の増収となったほか、SBS古河物流など2021年に実施したM&Aによる新規連結子会社の寄与で24,001百万円、既存顧客の物流量増加及び新規顧客の開拓効果等で12,705百万円の増収となった。一方で、「阿見第二物流センター」の火災事故の影響で709百万円の減収(阿見第一物流センターも一部被災)となったほか、「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い6,883百万円の減収となった。なお、海外事業については、SBSリコーロジスティクスによる新規顧客(現地日系メーカー)開拓効果が寄与したようだ。国内事業については電子機器やEC物流が引き続き堅調に推移した。
営業利益の増減要因を見ると、増益要因として海外事業の増収で1,232百万円、新規連結子会社の寄与で775百万円、既存顧客の物流量増加及び新規顧客の開拓等で592百万円となった。減益要因としては、燃料費・光熱費の増加で1,159百万円※、本社移転及び制服刷新費用で659百万円、「阿見第二物流センター」の火災対応費用の計上で285百万円、M&A関連償却費用の増加で162百万円、その他費用の増加で457百万円となった。一時的費用である本社移転・制服刷新費用や火災対応費用を除けば営業利益も5%程度の増益だったことになる。また、営業利益率は前期の4.1%から3.6%に低下したが、2020年12月期以前は3%未満の水準であったことや、一時費用が発生したことなども考慮すれば堅調だったと言える。
※軽油の平均価格は2021年12月期の103円/Lに対して2022年12月期は114円/Lに上昇。1円/Lの上昇で約30百万円の減益要因。
主要グループ会社別の動向について、SBS東芝ロジスティクスの売上高は海外事業の伸張を主因として前期比16%増の1,292億円となり、利益も増加した。グループ化以降、社長自ら全国の事業拠点を訪問、基幹社員とのコミュニケーションを通じで問題点を共有・意見交換し職場環境の改善に取り組んだ。2022年3月には本社機能の大半を川崎から西新宿に移転し、残っている部門についても2023年10月に移転を完了する計画となっている。また、情報システム関連のPMIは同年2月までに完了しており、シナジー効果の顕在化が期待できる。
SBSリコーロジスティクスの売上高は前期比約20%増の1,100億円となり、利益も増加した。海外事業が伸長したことに加えて、2021年10月に稼働を開始した「横浜金沢物流センター」(神奈川県横浜市、延床面積:16,200坪)の貢献もあり増収となった。同社では旧親会社のリコーグループ以外の新規顧客獲得が順調で、グループ連結以降5年間の年平均成長率は11.2%となっている。
SBSロジコムは、既存現場の効率化・作業高度化を推進しつつ、EC物流及び3PLに関連するサービスの先行投資を加速している。食品物流のSBSフレックとSBSゼンツウは、コスト上昇の吸収に苦慮し、いずれも減益であった。SBS即配については引き続き大手EC事業者の宅配需要が伸びたことで増収増益となった。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比21.2%減の13,423百万円、営業利益は同0.8%減の6,282百万円となった。このうち、開発事業は2022年11月に「横浜金沢物流センター」の60%分の信託受益権を譲渡し、売却益約52億円を営業利益として計上した。前期と比べて売上高は減少したものの、営業利益は若干増益となった。一方、賃貸事業は2023年1〜2月にかけ、居住用不動産2棟を売却し売上高、営業利益ともに若干の減収減益になったと見られる。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比8.1%増の8,762百万円、営業利益は同7.5%減の402百万円となった。マーケティング事業や環境事業の伸長により増収となったが、人材派遣事業におけるコスト増加が減益要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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