SBSHD Research Memo(4):収益拡大により財務内容は着実に改善
[23/03/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*15:34JST SBSHD Research Memo(4):収益拡大により財務内容は着実に改善
■SBSホールディングス<2384>の業績動向
3. 財務状況と経営指標
2022年12月期末の財務状況について、総資産は前期末比19,701百万円増加の296,898百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が8,873百万円増加したほか、受取手形、売掛金及び契約資産が4,520百万円、棚卸資産が8,782百万円それぞれ増加した。固定資産は有形固定資産が3,843百万円減少したほか、のれんの償却が進んだことなどにより無形固定資産が1,296百万円減少した。
負債合計は前期末比8,236百万円増加の204,726百万円となった。未払法人税等が1,315百万円減少した一方で、有利子負債が5,438百万円、支払手形及び買掛金が1,630百万円、未払金及び未払費用が612百万円、退職給付に係る負債が737百万円それぞれ増加した。純資産合計は同11,464百万円増加の92,172百万円となった。利益剰余金が9,665百万円増加したほか、非支配株主持分が1,755百万円増加した。
経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は前期末の21.9%から23.7%に上昇、ネットD/Eレシオは1.23倍から1.01倍に低下するなど、収益拡大により財務体質が着実に改善していることがうかがえる。効率性指標ではROA、ROEともに前期比で若干低下した。事業規模の拡大に伴って総資産や自己資本が増加したのに対して、売上構成比の変化もあって収益性がやや低下したことが要因だ。ただ、2020年12月期以前の水準と比較すると上回っている。同社は自己資本比率について2025年12月期に30%まで引き上げることを目標として掲げている。現在の水準とはまだ乖離があるものの、M&Aによるシナジー創出や「LT×IT」による生産性向上により収益を拡大し、達成を目指していく。
SBS東芝ロジスティクスとのシナジー効果が顕在化し、2023年12月期も増収増益が続く見込み
4. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は、売上高で前期比0.3%増の457,000百万円、営業利益で同4.4%増の22,800百万円、経常利益で同4.2%増の22,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.3%増の12,000百万円と増収増益が続く見通し。物流事業は海上・航空運賃の下落による海外事業の減収分を国内3PLやEC物流事業の拡大による国内事業の増収でカバーし、若干ながらも増収増益を見込む。また、不動産事業は不動産流動化の実施により増収増益を見込んでおり、2023年12月期の増益の主因となる。売却時期が上期に集中することから2023年12月期の営業利益は上期(前年同期比63.0%増の13,600百万円)偏重型となる見込みだ。なお、宅配事業については、競合大手がコスト増を理由に相次いで値上げを発表しており、同社も値上げ要請を進めている。ただ、値上げ幅については競合よりも小幅に留めることが可能なようで、シェア拡大の好機となりそうだ。
営業利益は前期比で約10億円の増益となる。主な増益要因としては国内物流事業の増収効果、不動産事業の増益、一過性の費用剥落、のれん償却費減少を見込んでいる。減益要因としては、海外物流事業の減収、本社費用の増加(運営費、賃借料、LT関連の投資費用等)、PMI※費用、物流事業のうち新型コロナウイルス感染症関連の特別案件終了見込んでいる。なお、為替前提レートは133円/米ドル(前期実績131.4円/米ドル)としている。
※M&A後の統合効果を最大化するための統合プロセスのこと。基幹システムの入れ替えなども含む。
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比微増の433,500百万円、営業利益は同0.5%増の15,500百万円を見込む。海上・航空運賃の下落によって海外物流事業で200億円程度の減収を想定しており、国内3PL及びEC物流事業の拡大等でカバーする計画だ。海上・航空運賃については前期のピーク時にはコロナ前の10倍程度にまで上昇していたが、直近は7〜8割戻ってきているという。いずれはコロナ禍前の水準(30万円程度)に戻ると見ている。
EC物流については、ECビジネスの上流工程(ECサイト構築、集客支援)から下流工程(配送・アフターサポート)まで一気通貫で提供するプラットフォーム「EC物流お任せくん」を2022年12月に立ち上げ、スタートアップや中小EC事業者の顧客開拓を進めている。従来はグループ各社がそれぞれ顧客開拓を進めていたが、同プラットフォームで一元管理することにより効率的な顧客開拓とリソースの最適配分が可能となり、同事業の成長加速につながる取り組みとして注目される。認知度向上のためテレビCMをはじめとするプロモーションを強化し、コストメリットを訴求することで顧客獲得を進めていく方針だ。既に引き合いは増え始めており今後の動向が注目される。
また、SBS東芝ロジスティクスのPMIも順調に進んでいるようで、2023年2月にITインフラ系PMIが完了した。同年3月には新規顧客開拓のための営業開発部門(40人弱)を立ち上げる。こうした効果が2023年12月期下期以降に顕在化し、増収に貢献する見込み。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比6.5%増の14,300百万円、営業利益は同19.4%増の7,500百万円を見込む。賃貸収入は前期比横ばい水準が続く見込みだが、不動産流動化の実施が増収増益要因となる。既に2023年2月に「横浜金沢物流センター」の残り40%分の信託受益権を譲渡したほか、同年3月に「東扇島倉庫」を譲渡しており、2023年12月期第1四半期に譲渡益約69億円を計上する見込みだ。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比5.0%増の9,200百万円、営業利益は同25.5%減の300百万円を見込む。太陽光発電事業は横ばいとなるが、マーケティング事業や人材派遣事業、環境他事業で増収を見込む。利益面では人材投資等を継続することもあり、減益を見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■SBSホールディングス<2384>の業績動向
3. 財務状況と経営指標
2022年12月期末の財務状況について、総資産は前期末比19,701百万円増加の296,898百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が8,873百万円増加したほか、受取手形、売掛金及び契約資産が4,520百万円、棚卸資産が8,782百万円それぞれ増加した。固定資産は有形固定資産が3,843百万円減少したほか、のれんの償却が進んだことなどにより無形固定資産が1,296百万円減少した。
負債合計は前期末比8,236百万円増加の204,726百万円となった。未払法人税等が1,315百万円減少した一方で、有利子負債が5,438百万円、支払手形及び買掛金が1,630百万円、未払金及び未払費用が612百万円、退職給付に係る負債が737百万円それぞれ増加した。純資産合計は同11,464百万円増加の92,172百万円となった。利益剰余金が9,665百万円増加したほか、非支配株主持分が1,755百万円増加した。
経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は前期末の21.9%から23.7%に上昇、ネットD/Eレシオは1.23倍から1.01倍に低下するなど、収益拡大により財務体質が着実に改善していることがうかがえる。効率性指標ではROA、ROEともに前期比で若干低下した。事業規模の拡大に伴って総資産や自己資本が増加したのに対して、売上構成比の変化もあって収益性がやや低下したことが要因だ。ただ、2020年12月期以前の水準と比較すると上回っている。同社は自己資本比率について2025年12月期に30%まで引き上げることを目標として掲げている。現在の水準とはまだ乖離があるものの、M&Aによるシナジー創出や「LT×IT」による生産性向上により収益を拡大し、達成を目指していく。
SBS東芝ロジスティクスとのシナジー効果が顕在化し、2023年12月期も増収増益が続く見込み
4. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は、売上高で前期比0.3%増の457,000百万円、営業利益で同4.4%増の22,800百万円、経常利益で同4.2%増の22,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.3%増の12,000百万円と増収増益が続く見通し。物流事業は海上・航空運賃の下落による海外事業の減収分を国内3PLやEC物流事業の拡大による国内事業の増収でカバーし、若干ながらも増収増益を見込む。また、不動産事業は不動産流動化の実施により増収増益を見込んでおり、2023年12月期の増益の主因となる。売却時期が上期に集中することから2023年12月期の営業利益は上期(前年同期比63.0%増の13,600百万円)偏重型となる見込みだ。なお、宅配事業については、競合大手がコスト増を理由に相次いで値上げを発表しており、同社も値上げ要請を進めている。ただ、値上げ幅については競合よりも小幅に留めることが可能なようで、シェア拡大の好機となりそうだ。
営業利益は前期比で約10億円の増益となる。主な増益要因としては国内物流事業の増収効果、不動産事業の増益、一過性の費用剥落、のれん償却費減少を見込んでいる。減益要因としては、海外物流事業の減収、本社費用の増加(運営費、賃借料、LT関連の投資費用等)、PMI※費用、物流事業のうち新型コロナウイルス感染症関連の特別案件終了見込んでいる。なお、為替前提レートは133円/米ドル(前期実績131.4円/米ドル)としている。
※M&A後の統合効果を最大化するための統合プロセスのこと。基幹システムの入れ替えなども含む。
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比微増の433,500百万円、営業利益は同0.5%増の15,500百万円を見込む。海上・航空運賃の下落によって海外物流事業で200億円程度の減収を想定しており、国内3PL及びEC物流事業の拡大等でカバーする計画だ。海上・航空運賃については前期のピーク時にはコロナ前の10倍程度にまで上昇していたが、直近は7〜8割戻ってきているという。いずれはコロナ禍前の水準(30万円程度)に戻ると見ている。
EC物流については、ECビジネスの上流工程(ECサイト構築、集客支援)から下流工程(配送・アフターサポート)まで一気通貫で提供するプラットフォーム「EC物流お任せくん」を2022年12月に立ち上げ、スタートアップや中小EC事業者の顧客開拓を進めている。従来はグループ各社がそれぞれ顧客開拓を進めていたが、同プラットフォームで一元管理することにより効率的な顧客開拓とリソースの最適配分が可能となり、同事業の成長加速につながる取り組みとして注目される。認知度向上のためテレビCMをはじめとするプロモーションを強化し、コストメリットを訴求することで顧客獲得を進めていく方針だ。既に引き合いは増え始めており今後の動向が注目される。
また、SBS東芝ロジスティクスのPMIも順調に進んでいるようで、2023年2月にITインフラ系PMIが完了した。同年3月には新規顧客開拓のための営業開発部門(40人弱)を立ち上げる。こうした効果が2023年12月期下期以降に顕在化し、増収に貢献する見込み。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比6.5%増の14,300百万円、営業利益は同19.4%増の7,500百万円を見込む。賃貸収入は前期比横ばい水準が続く見込みだが、不動産流動化の実施が増収増益要因となる。既に2023年2月に「横浜金沢物流センター」の残り40%分の信託受益権を譲渡したほか、同年3月に「東扇島倉庫」を譲渡しており、2023年12月期第1四半期に譲渡益約69億円を計上する見込みだ。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比5.0%増の9,200百万円、営業利益は同25.5%減の300百万円を見込む。太陽光発電事業は横ばいとなるが、マーケティング事業や人材派遣事業、環境他事業で増収を見込む。利益面では人材投資等を継続することもあり、減益を見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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