SFP Research Memo(2):「磯丸水産」や「鳥良商店」など人気ブランドを展開
[23/04/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*14:02JST SFP Research Memo(2):「磯丸水産」や「鳥良商店」など人気ブランドを展開
■会社概要
1. 事業内容
SFPホールディングス<3198>は、駅前・繁華街(路面店)での24時間営業※1により人気業態となっている「磯丸水産」(海鮮居酒屋)や「鳥良商店」(鶏料理専門店)等の運営を主力とするほか、低投資で安定的に稼げる「ネオ大衆酒場」業態※2を第2の柱に育てるべく注力している。2020年以降、コロナ禍による影響が業界全体に影を落としてきたが、収益体質の強化に専念し、早期回復と環境変化への対応に取り組んでいる。
※1 市場特性等によっては、24時間営業でない店舗もある。
※2 ブランド別では、「ホームベース」「五の五」「浜焼ドラゴン」「鳥平ちゃん」で展開。
事業セグメントは飲食事業の単一セグメントであるが、業態別に創業業態の「鳥良事業部門」、主力業態の「磯丸事業部門」、新業態を含む「その他部門」のほか、2020年2月期からはアライアンスメンバー(連結子会社)※による寄与分が追加され、4つに区分されている。「磯丸事業部門」が売上高の60.8%(2023年2月期実績)を占める。出店エリアは東京及び首都圏を中心に展開してきたが、今後は地方都市への出店にも取り組む方針である。
※(株)ジョー・スマイル(熊本)、(株)クルークダイニング(長野)の2社で構成される。M&Aの活用による地方都市への出店拡大(社内FC形式でのブランド提供)に狙いがある。
2. 企業特長
同社の優位性は、通常の居酒屋業態の収益モデルに加えて、新たに独自の収益モデルを確立したところにある。主力業態の「磯丸水産」は、あえて賃料の高い駅前・繁華街の路面店に出店する一方、個性的で視認性の高いファサードや、入りやすいオープンな雰囲気、24時間営業による幅広い需要の取り込みなど、一等立地による集客力を最大限に生かし、高い稼働率で回していく独自の収益モデルに特長がある。単純化して言えば、通常の居酒屋業態の収益モデルでは採算の取れない高い賃料を払ったとしても、売上高を多く確保することでレバレッジを効かせる構造と言える。もちろん、そこには立地分析のスキームや路面店の開発スキルのほか、24時間営業におけるオペレーション、時間帯により最適なメニューに入れ替えるノウハウ等があってこそ成立するものであり、簡単に模倣できるものではない。特に、出店コストの高さや24時間営業の難しさは他社にとっては高いハードルとなっていると考えられる。同社には、他社に先駆けてノウハウを蓄積してきたことや首都圏への集中出店によりブランド力を高めてきたことが、さらに出店リスクを引き下げるといった好循環が生まれている。コロナ禍に伴う人流抑制や時短営業、人数制限、酒類提供制限等は、「磯丸水産」の特長の一部(駅前一等立地、高回転、24時間営業による幅広いニーズの取り込み等)を打ち消す影響をもたらしたが、あくまでもコロナ禍での政策的な不可抗力によるものであり、収益モデル自体の優位性に大きな変化はないと考えられる。
また、「磯丸水産」で確立した収益モデル(以下、「磯丸水産」モデル)は他の業態で生かすことが可能であり、さらなる進化を遂げる余地も大きい。「鳥良商店」は、創業業態である「鳥良」に「磯丸水産」モデルを移植したことで着実に軌道に乗ってきた。「磯丸水産」との重複出店(同時出店や出店済エリアへの出店)や市場特性(立地・業態)に合わせた選択出店ができるところがポイントである。もっとも、アフターコロナの環境変化(消費者行動の変化等)を見極めたうえで、必要なチューニング(微調整)にも柔軟に対応していく考えであり、そのような仮説検証型の進化を追求していく姿勢は同社の真骨頂と言えるだろう。食事性をさらに強化しつつ「磯丸水産」の既存立地に出店可能な「とろたく」業態をスタートさせたほか、駅前・路面立地による「磯丸水産」の強みを生かしながら、小型・高回転により、低投資で安定的に稼ぐことができる「ネオ大衆酒場」業態に注力する方向性を明示したのも、その動きと言える。
3. 沿革
同社の創業は1984年4月、創業者である寒川良作(さむかわりょうさく)氏(元同社代表取締役会長、2015年12月に退任)が東京都武蔵野市に手羽先唐揚専門店である「鳥良」(現在の「鳥良商店」吉祥寺南口店)を開業したことに遡る。名古屋名物の手羽先唐揚を独自のレシピでアレンジしたものを看板メニューとし、着実に店舗数を増やした。2001年には「豊かな食を創造する総合フードサービス業を目指す」ことをビジョンに掲げ、業態の多角化にも取り組みながら2008年には全社50店舗体制へと事業を拡大した。
その後、リーマン・ショックなどによる景気後退の影響や業界環境の変化等を受けて、「日本を豊かにする『食』の専門店集団を目指す」ことにビジョンを改め、「専門店」化の追求へと舵を切ると、2009年には独自の収益モデルによる「磯丸水産」を開業し、成長に向けた基礎を築いた。
「磯丸水産」が順調に立ち上がり、成長への道筋が見えてきたことから、「永続する会社組織を作っていく」ためには上場を目指すのが1番の近道であると判断。そのうえで、2010年12月にPEファンドであるポラリス第二号投資事業有限責任組合(ポラリス・キャピタル・グループ(株))の資本参加を受け、客観的な視点や合理的な手法の導入によって、経営管理や組織運営の精度を高めることを決断した。
2013年4月には郊外のショッピングセンターにおけるレストラン及びフードコートの運営を主力とするクリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>と資本提携し連結子会社となったが、2014年12月に東証2部へ株式上場を果たすと、2019年2月28日には東証1部へと市場変更した(2022年4月4日からは新市場区分の「東証プライム市場」へ移行)。また、その間、2016年9月に持株会社体制に移行し、それに伴い2017年6月にSFPホールディングス株式会社に商号を変更して現在の形となっている。
株式上場を契機に、人気業態としてブランド力を確立してきた「磯丸水産」による出店ペースに拍車がかかり、2015年5月には「磯丸水産」100店舗体制に到達した。また、愛知県名古屋市で「磯丸水産」のFC展開もスタート※し、「鳥良商店」の出店も開始した。
※2017年6月には九州(福岡県)、2022年12月には北海道でも「磯丸水産」のFC展開がスタートした。
2020年2月期には、独自の「アライアンス構想」により、M&Aを通じた地方都市への出店拡大(社内FC形式でのブランド提供)にも取り組んだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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■会社概要
1. 事業内容
SFPホールディングス<3198>は、駅前・繁華街(路面店)での24時間営業※1により人気業態となっている「磯丸水産」(海鮮居酒屋)や「鳥良商店」(鶏料理専門店)等の運営を主力とするほか、低投資で安定的に稼げる「ネオ大衆酒場」業態※2を第2の柱に育てるべく注力している。2020年以降、コロナ禍による影響が業界全体に影を落としてきたが、収益体質の強化に専念し、早期回復と環境変化への対応に取り組んでいる。
※1 市場特性等によっては、24時間営業でない店舗もある。
※2 ブランド別では、「ホームベース」「五の五」「浜焼ドラゴン」「鳥平ちゃん」で展開。
事業セグメントは飲食事業の単一セグメントであるが、業態別に創業業態の「鳥良事業部門」、主力業態の「磯丸事業部門」、新業態を含む「その他部門」のほか、2020年2月期からはアライアンスメンバー(連結子会社)※による寄与分が追加され、4つに区分されている。「磯丸事業部門」が売上高の60.8%(2023年2月期実績)を占める。出店エリアは東京及び首都圏を中心に展開してきたが、今後は地方都市への出店にも取り組む方針である。
※(株)ジョー・スマイル(熊本)、(株)クルークダイニング(長野)の2社で構成される。M&Aの活用による地方都市への出店拡大(社内FC形式でのブランド提供)に狙いがある。
2. 企業特長
同社の優位性は、通常の居酒屋業態の収益モデルに加えて、新たに独自の収益モデルを確立したところにある。主力業態の「磯丸水産」は、あえて賃料の高い駅前・繁華街の路面店に出店する一方、個性的で視認性の高いファサードや、入りやすいオープンな雰囲気、24時間営業による幅広い需要の取り込みなど、一等立地による集客力を最大限に生かし、高い稼働率で回していく独自の収益モデルに特長がある。単純化して言えば、通常の居酒屋業態の収益モデルでは採算の取れない高い賃料を払ったとしても、売上高を多く確保することでレバレッジを効かせる構造と言える。もちろん、そこには立地分析のスキームや路面店の開発スキルのほか、24時間営業におけるオペレーション、時間帯により最適なメニューに入れ替えるノウハウ等があってこそ成立するものであり、簡単に模倣できるものではない。特に、出店コストの高さや24時間営業の難しさは他社にとっては高いハードルとなっていると考えられる。同社には、他社に先駆けてノウハウを蓄積してきたことや首都圏への集中出店によりブランド力を高めてきたことが、さらに出店リスクを引き下げるといった好循環が生まれている。コロナ禍に伴う人流抑制や時短営業、人数制限、酒類提供制限等は、「磯丸水産」の特長の一部(駅前一等立地、高回転、24時間営業による幅広いニーズの取り込み等)を打ち消す影響をもたらしたが、あくまでもコロナ禍での政策的な不可抗力によるものであり、収益モデル自体の優位性に大きな変化はないと考えられる。
また、「磯丸水産」で確立した収益モデル(以下、「磯丸水産」モデル)は他の業態で生かすことが可能であり、さらなる進化を遂げる余地も大きい。「鳥良商店」は、創業業態である「鳥良」に「磯丸水産」モデルを移植したことで着実に軌道に乗ってきた。「磯丸水産」との重複出店(同時出店や出店済エリアへの出店)や市場特性(立地・業態)に合わせた選択出店ができるところがポイントである。もっとも、アフターコロナの環境変化(消費者行動の変化等)を見極めたうえで、必要なチューニング(微調整)にも柔軟に対応していく考えであり、そのような仮説検証型の進化を追求していく姿勢は同社の真骨頂と言えるだろう。食事性をさらに強化しつつ「磯丸水産」の既存立地に出店可能な「とろたく」業態をスタートさせたほか、駅前・路面立地による「磯丸水産」の強みを生かしながら、小型・高回転により、低投資で安定的に稼ぐことができる「ネオ大衆酒場」業態に注力する方向性を明示したのも、その動きと言える。
3. 沿革
同社の創業は1984年4月、創業者である寒川良作(さむかわりょうさく)氏(元同社代表取締役会長、2015年12月に退任)が東京都武蔵野市に手羽先唐揚専門店である「鳥良」(現在の「鳥良商店」吉祥寺南口店)を開業したことに遡る。名古屋名物の手羽先唐揚を独自のレシピでアレンジしたものを看板メニューとし、着実に店舗数を増やした。2001年には「豊かな食を創造する総合フードサービス業を目指す」ことをビジョンに掲げ、業態の多角化にも取り組みながら2008年には全社50店舗体制へと事業を拡大した。
その後、リーマン・ショックなどによる景気後退の影響や業界環境の変化等を受けて、「日本を豊かにする『食』の専門店集団を目指す」ことにビジョンを改め、「専門店」化の追求へと舵を切ると、2009年には独自の収益モデルによる「磯丸水産」を開業し、成長に向けた基礎を築いた。
「磯丸水産」が順調に立ち上がり、成長への道筋が見えてきたことから、「永続する会社組織を作っていく」ためには上場を目指すのが1番の近道であると判断。そのうえで、2010年12月にPEファンドであるポラリス第二号投資事業有限責任組合(ポラリス・キャピタル・グループ(株))の資本参加を受け、客観的な視点や合理的な手法の導入によって、経営管理や組織運営の精度を高めることを決断した。
2013年4月には郊外のショッピングセンターにおけるレストラン及びフードコートの運営を主力とするクリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>と資本提携し連結子会社となったが、2014年12月に東証2部へ株式上場を果たすと、2019年2月28日には東証1部へと市場変更した(2022年4月4日からは新市場区分の「東証プライム市場」へ移行)。また、その間、2016年9月に持株会社体制に移行し、それに伴い2017年6月にSFPホールディングス株式会社に商号を変更して現在の形となっている。
株式上場を契機に、人気業態としてブランド力を確立してきた「磯丸水産」による出店ペースに拍車がかかり、2015年5月には「磯丸水産」100店舗体制に到達した。また、愛知県名古屋市で「磯丸水産」のFC展開もスタート※し、「鳥良商店」の出店も開始した。
※2017年6月には九州(福岡県)、2022年12月には北海道でも「磯丸水産」のFC展開がスタートした。
2020年2月期には、独自の「アライアンス構想」により、M&Aを通じた地方都市への出店拡大(社内FC形式でのブランド提供)にも取り組んだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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