バードマン Research Memo(1):広告代理業の収益を土台としながら、エンタメ市場へ2021年から本格進出
[23/04/28]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
*15:41JST バードマン Research Memo(1):広告代理業の収益を土台としながら、エンタメ市場へ2021年から本格進出
■要約
Birdman<7063>は、企業価値や商品・サービスの価値を向上させるブランディングをはじめ、マスメディアに捉われないSNSを活用したマーケティング施策やデジタル・テクノロジーを駆使した新たな体験の創出などを手掛ける「マーケティング・トランスフォーメーション事業(MX事業)」を主軸とする。広告業界では(株)電通や(株)博報堂など大手企業との競争も厳しいが、同社は「マーケティング・コミュニケーション戦略」「デジタル・テクノロジーの知見」「世界的に評価の高いクリエイティビティ」を強みと捉えており、これらを生かして広告業界における第三極を目指す方針を打ち出している。また、同社では広告業界とエンタメ業界の親和性が高いと考えており、2021年から本格的にそれまでの広告業界にとどまらず、エンタメ業界へと進出した。まずは「エンターテインメント・トランスフォーメーション事業(EX事業)」を新設し、(株)ジャニーズ事務所を卒業した7人組のプロジェクトである「7ORDER(セブンオーダー)」とグロースパートナーシップ契約を締結した。大型公演を成功させるなど、ファンも着実に増加しており、垂直立ち上げによる業績寄与がされている。また、2022年7月からは子会社(株)Entertainment Next(通称エンタメネクスト)を立ち上げ、K-POPのフェスを開催して収益を上げている。2023年2月13日には「KPOP LUXケーポップラックス」と呼ばれる大型のK-POPフェスの日本興行権を同社が取得したことが発表されており、2023年中の開催に向けて参加アーティストの選定や開催時期、規模などの選定が進んでいるとみられ注目されよう。また、これらエンタメネクストの業績貢献は2023年6月期の会社業績予想に保守的に織り込まれているとみられ、さらなる上方修正余地がある点も短期的には好材料となるだろう。
1. 2023年6月期第2四半期の業績概要
2023年6月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比30.4%増の1,862百万円、営業利益が同94.4%増の140百万円となった。売上高及び営業利益は期初時点で作成した予想(売上高1,566百万円、営業利益103百万円)を大幅に上振れて着地、上期に上振れした分だけを反映させ、通期業績予想の上方修正も発表している(売上高は3,800百万円から4,096百万円へ、営業利益は340百万円から378百万円へ上方修正。上方修正幅は上期計画の上振れ分と一致しており、実質的に下期の会社予想は据え置きとされた)。同社は事業別の業績予想を開示していないが、上期業績のマイナス要因として、MX事業において計画していた5D LIVEの開催を中止することとなったものの、この影響は軽微にとどめることができ、一方、MX事業で過去最高の売上高を計上した案件や複数の大型案件の寄与、EX事業においてメディアや音楽フェスへの出演に伴う露出機会の増加などから想定を上回るライブイベント収入やグッズ販売、ファンクラブ会員費の増加などがプラス要因として寄与したことで、全体としても期初の業績予想を大幅に上回る着地となった。
2. 2023年6月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は、売上高が前期比21.6%増の4,096百万円、営業利益が同63.3%増の378百万円を見込む。下期業績はEX事業、とりわけエンタメネクストにおける期初に想定していなかったイベント開催に伴う売上高や営業利益の寄与が期待され、同社の通期業績予想はさらなる上方修正余地が残されているとみられる。第3四半期においてはバンテリンドーム ナゴヤでの「KROSS vol. 1」、有明アリーナでの「KROSS vol. 2」の2つのイベントが開催されており、特にバンテリンドームドーム ナゴヤは収容規模が大きい(40,000人程度)うえ、チケット平均単価が約25,000円と高額になっているため(一般的にこれらのK-POPイベントは様々なアーティストを呼んできていることもあり、チケット代金が高額に設定されることが多い)、有明アリーナでのイベントも合わせるとこの2つのライブ開催に伴う収益は10億円を超える可能性もあるだろう。
3. エンタメ市場への進出
同社では従来から手掛けている広告代理店業と親和性の高いエンタメ市場へ2021年から本格的に進出している。2022年7月からはエンタメネクストを子会社として新設し、複数のK-POPフェスイベントを日本国内で開催している。海外からアーティストを招聘しているため外注費が高くなり、チケット収入からの粗利率はさほど高くないと推測されるが、日本で人気の高いK-POPアーティストや俳優などが参加したイベントを開催しており、垂直立ち上げに伴って今後の業績寄与が期待される。特に、同社では2023年2月13日付プレスリリースにて、ヨーロッパ最大規模となるK-POPコンサート「K.FLEX」の姉妹フェス「KPOP LUX」の日本国内興行権を取得した旨を発表している。日本での開催スケジュールについてはまだ発表されていないが、2022年の「K.FLEX」は5月14日〜15日にドイツ・フランクフルトで開催されており(収容人数51,500人が満員を記録。IVE、NCT DREAM、(G)I-DLE、MAMAMOO、ENHYPENら超有名K-POPアーティストが多数出演)、開催されればその期の業績に大きく寄与する要因となり得ると同時に、同社のEX事業に対する期待も高まりやすい状況にあると言えるだろう。
■ Key Points
・収益の土台はブランディングやデジタル・テックを活用したマーケティング支援を軸とするMX事業。戦略構築、世界的に評価の高いクリエイティブ、デジタル・テクノロジーへの知見に強み
・2021年9月からエンタメ市場へ参入し、EX事業を新設。元ジャニーズ事務所所属の7人組グループ「7ORDER」のライブ開催等の活動費が主な収益源である
・さらなるエンタメ市場の開拓のため、2022年7月にEX事業のなかにエンタメネクストを新設。2023年2月に「KPOP LUX」の興行権を取得した点は注目材料
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
<SI>
■要約
Birdman<7063>は、企業価値や商品・サービスの価値を向上させるブランディングをはじめ、マスメディアに捉われないSNSを活用したマーケティング施策やデジタル・テクノロジーを駆使した新たな体験の創出などを手掛ける「マーケティング・トランスフォーメーション事業(MX事業)」を主軸とする。広告業界では(株)電通や(株)博報堂など大手企業との競争も厳しいが、同社は「マーケティング・コミュニケーション戦略」「デジタル・テクノロジーの知見」「世界的に評価の高いクリエイティビティ」を強みと捉えており、これらを生かして広告業界における第三極を目指す方針を打ち出している。また、同社では広告業界とエンタメ業界の親和性が高いと考えており、2021年から本格的にそれまでの広告業界にとどまらず、エンタメ業界へと進出した。まずは「エンターテインメント・トランスフォーメーション事業(EX事業)」を新設し、(株)ジャニーズ事務所を卒業した7人組のプロジェクトである「7ORDER(セブンオーダー)」とグロースパートナーシップ契約を締結した。大型公演を成功させるなど、ファンも着実に増加しており、垂直立ち上げによる業績寄与がされている。また、2022年7月からは子会社(株)Entertainment Next(通称エンタメネクスト)を立ち上げ、K-POPのフェスを開催して収益を上げている。2023年2月13日には「KPOP LUXケーポップラックス」と呼ばれる大型のK-POPフェスの日本興行権を同社が取得したことが発表されており、2023年中の開催に向けて参加アーティストの選定や開催時期、規模などの選定が進んでいるとみられ注目されよう。また、これらエンタメネクストの業績貢献は2023年6月期の会社業績予想に保守的に織り込まれているとみられ、さらなる上方修正余地がある点も短期的には好材料となるだろう。
1. 2023年6月期第2四半期の業績概要
2023年6月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比30.4%増の1,862百万円、営業利益が同94.4%増の140百万円となった。売上高及び営業利益は期初時点で作成した予想(売上高1,566百万円、営業利益103百万円)を大幅に上振れて着地、上期に上振れした分だけを反映させ、通期業績予想の上方修正も発表している(売上高は3,800百万円から4,096百万円へ、営業利益は340百万円から378百万円へ上方修正。上方修正幅は上期計画の上振れ分と一致しており、実質的に下期の会社予想は据え置きとされた)。同社は事業別の業績予想を開示していないが、上期業績のマイナス要因として、MX事業において計画していた5D LIVEの開催を中止することとなったものの、この影響は軽微にとどめることができ、一方、MX事業で過去最高の売上高を計上した案件や複数の大型案件の寄与、EX事業においてメディアや音楽フェスへの出演に伴う露出機会の増加などから想定を上回るライブイベント収入やグッズ販売、ファンクラブ会員費の増加などがプラス要因として寄与したことで、全体としても期初の業績予想を大幅に上回る着地となった。
2. 2023年6月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は、売上高が前期比21.6%増の4,096百万円、営業利益が同63.3%増の378百万円を見込む。下期業績はEX事業、とりわけエンタメネクストにおける期初に想定していなかったイベント開催に伴う売上高や営業利益の寄与が期待され、同社の通期業績予想はさらなる上方修正余地が残されているとみられる。第3四半期においてはバンテリンドーム ナゴヤでの「KROSS vol. 1」、有明アリーナでの「KROSS vol. 2」の2つのイベントが開催されており、特にバンテリンドームドーム ナゴヤは収容規模が大きい(40,000人程度)うえ、チケット平均単価が約25,000円と高額になっているため(一般的にこれらのK-POPイベントは様々なアーティストを呼んできていることもあり、チケット代金が高額に設定されることが多い)、有明アリーナでのイベントも合わせるとこの2つのライブ開催に伴う収益は10億円を超える可能性もあるだろう。
3. エンタメ市場への進出
同社では従来から手掛けている広告代理店業と親和性の高いエンタメ市場へ2021年から本格的に進出している。2022年7月からはエンタメネクストを子会社として新設し、複数のK-POPフェスイベントを日本国内で開催している。海外からアーティストを招聘しているため外注費が高くなり、チケット収入からの粗利率はさほど高くないと推測されるが、日本で人気の高いK-POPアーティストや俳優などが参加したイベントを開催しており、垂直立ち上げに伴って今後の業績寄与が期待される。特に、同社では2023年2月13日付プレスリリースにて、ヨーロッパ最大規模となるK-POPコンサート「K.FLEX」の姉妹フェス「KPOP LUX」の日本国内興行権を取得した旨を発表している。日本での開催スケジュールについてはまだ発表されていないが、2022年の「K.FLEX」は5月14日〜15日にドイツ・フランクフルトで開催されており(収容人数51,500人が満員を記録。IVE、NCT DREAM、(G)I-DLE、MAMAMOO、ENHYPENら超有名K-POPアーティストが多数出演)、開催されればその期の業績に大きく寄与する要因となり得ると同時に、同社のEX事業に対する期待も高まりやすい状況にあると言えるだろう。
■ Key Points
・収益の土台はブランディングやデジタル・テックを活用したマーケティング支援を軸とするMX事業。戦略構築、世界的に評価の高いクリエイティブ、デジタル・テクノロジーへの知見に強み
・2021年9月からエンタメ市場へ参入し、EX事業を新設。元ジャニーズ事務所所属の7人組グループ「7ORDER」のライブ開催等の活動費が主な収益源である
・さらなるエンタメ市場の開拓のため、2022年7月にEX事業のなかにエンタメネクストを新設。2023年2月に「KPOP LUX」の興行権を取得した点は注目材料
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
<SI>