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鎌倉新書 Research Memo(9):2023年1月期業績は期初計画を上回って2桁の増収増益(2)

注目トピックス 日本株
*14:39JST 鎌倉新書 Research Memo(9):2023年1月期業績は期初計画を上回って2桁の増収増益(2)
■業績動向

(2) 相続事業
相続市場では、信託銀行の顧客は数億円の資産保有者に限定され、鎌倉新書<6184>の競合他社は実質的に存在しない状況だ。同社は提携士業数を1,200以上展開し、自社窓口にも専門性の高い人材を配置している。また、従前の遺産分割や相続申告に加えて、2022年11月に「相続費用見積ガイド」をリリースするなど投資を進めた結果、「いい相続」とその周辺サイト(「e行政書士」「e税理士」)の専門スタッフへの相談実績が年間5万件以上となった。それに伴い行政書士や税理士など専門家への紹介数も増加し、2023年1月期の売上高は544百万円(前期比41.1%)と順調に成長した。

(3) 介護事業
同事業は子会社(株)エイジプラス(同社100%出資)で展開している。2021年10月に関西地区で事業基盤のあった同社名のエイジプラス(関西でブランドが浸透しているため、新設子会社名も同社名としている)から事業を譲り受けた。その結果、提携施設数が約7,000と従前の2倍以上となるとともに、事業とともに専門性の高い人材を確保できたことにより相談能力が向上した。さらに、セッションや100を超える施設の動画紹介などユニークかつ良質な情報発信による集客力向上がシナジー効果を生み、2023年1月期は売上高430百万円(前期比354.9%増)と大きく成長した。

(4) 官民協働事業
2021年3月より、地域住民の終活や遺族支援に課題を持つ自治体をサポートする官民協働事業をスタートさせた。同社が供養に関する書籍事業やポータルサイト事業で蓄積したノウハウを生かし、「おくやみハンドブック」「エンディングノート」などの協働刊行から始まり、「おくやみコーナー」の開設支援、自治体職員が故人や遺族の状況に応じて必要な手続きを抽出する検索システム「おくやみコーナー設置自治体支援ナビ」(内閣官房が開発)を自治体ごとにカスタマイズする導入支援、同社と(株)ObotAIが共同開発した「おくやみ・終活チャットボット」の導入・運用支援などサービスメニューを拡充。2022年6月には千葉県八千代市と同社初となる「終活に係る包括連携に関する協定」を締結した。同社による自治体職員や地域住民への研修、セミナーなどによる情報発信、地域住民から同社への終活専用相談ダイヤルの設置など、そのサービス内容をさらに拡充し、2023年1月末には既に12自治体と提携協定を締結している。こうした取り組みにより、自治体との提携数は2023年4月期末で44都道府県300自治体にまで広がり、売上は前期比202.6%増となった。

3. トピックス
(1) 子会社(株)ハウスボートクラブへの「Story」事業の譲渡
同社は、2019年2月に海洋散骨事業を行っていた(株)ハウスボートクラブを連結子会社化した(同社の出資比率50.2%)。同社はニュートラルな第三者の立場で事業者とユーザーのマッチングを行っているため、事業者として行っていた「Story(ストーリー)」サービス(お別れ会・偲ぶ会)を2022年2月にハウスボートクラブに譲渡した。団体・企業などの大きなお別れ会や偲ぶ会を施行する同事業は、コロナ禍の影響がやや薄れてきたなかで2023年1月期の施行数は前期比48%増と伸長し、黒字転換した。海洋散骨事業も同様に売り上げ規模は2倍以上に回復している。

(2) 「窓口de終活」の開設
2022年8月に同社初のリアル店舗となる「窓口de終活」を丸井錦糸町店に開設した。毎日終活に関わるセミナーを開催し、現在は月に200〜300人の来店がある。売上規模はまだ小さいが、毎日のようにノウハウを蓄積しており、情報ステーションとして同社の集客力強化に貢献している。

(3) 民間企業との連携
2023年1月期は地銀4行(長野銀行、横浜銀行、大東銀行、群馬銀行)及び証券会社1社(アイザワ証券)と業務提携を開始した。2018年に日本郵便と提携して以来、現在まで多数の顧客を有する11社と提携し、集客チャネルを拡大している。

(4) 雑誌『月刊「終活」』のリニューアル創刊
2001年4月に創刊した供養業界唯一のビジネス業界紙であった雑誌『月刊「仏事」』を、これまでの供養業界に限らず、介護、相続、保険、不動産など、より領域を広げ、終活に関わる広範囲な情報を発信し業界を発展させていくため、2022年10月『月刊「終活」』に改名、リニューアルした。

4. 財務内容
2023年1月期末の資産合計は4,317百万円となり、前期末に比べ243百万円増加した。これは主に流動資産が275百万円増加したことが要因だ。現預金が190百万円減少したが、売上増加に伴い売掛金が268百万円増加し、加えて自己株式取得のための預託金が265百万円増加したことによる。

負債合計は930百万円となり、同516百万円増加した。これは主に未払金が104百万円、未払法人税が236百万円、未払消費税等が88百万円、前受金が85百万円増加したことによる。

純資産合計は3,387百万円となり、同272百万円減少した。これは当期純利益が453百万円に増加したが、配当を77百万円、自己株式取得を671百万円行ったことによる。その結果、自己資本は78.2%と同11.4ポイント減少したものの、引き続き高水準を保っている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)



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