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ココナラ Research Memo(5):2023年8月期第2四半期の営業収益は2ケタ増を維持(1)

注目トピックス 日本株
*13:05JST ココナラ Research Memo(5):2023年8月期第2四半期の営業収益は2ケタ増を維持(1)
■業績動向

1. 2023年8月期第2四半期業績の概要
ココナラ<4176>の2023年8月期第2四半期の連結業績は、営業収益で前年同期比22.8%増の2,195百万円、営業損失で148百万円(前年同期は448百万円の損失)、経常損失で192百万円(同447百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失で107百万円(同447百万円の損失)となった。

「ココナラ」の流通高が同19.3%増の7,116百万円と期初に想定していた20%台前半の伸び率を下回ったものの、テイクレートの上昇や「ココナラ法律相談」の好調もあって営業収益の成長率は20%を超えた。一方、営業費用は事業規模の拡大により人件費やシステム費、業務委託費などが増加したが、第2四半期にテレビCMを見送ったことで広告宣伝費が減少し、全体では前年同期比4.8%の増加にとどまった。この結果、営業損失は増収効果により前年同期比で299百万円縮小したが、Non-GAAPベースで見ると同356百万円の縮小となった。差額分の大半は株式報酬費用46百万円を計上したことによるものとなっている。また、営業外収支はココナラスキルパートナーズの出資先企業に関する投資有価証券評価損49百万円を計上したことにより、前年同期比で43百万円悪化した。なお、テレビCM関連費用を除いたNon-GAAP営業利益については第1四半期で110百万円、第2四半期で111百万円と黒字基調が続いている。

(1) 「ココナラ」の動向
2023年8月期第2四半期の営業収益は前年同期比20.6%増の1,947百万円となり、営業損失は158百万円(前年同期は432百万円の損失)となった。流通高は同19.3%増となったが、手数料率の高い電話占いサービスが好調だったほかサービスPR広告収入を計上したこともありテイクレートが同0.3ポイント上昇の27.4%となり、営業収益の成長率は20%を上回った。ただ、リオープニングの影響もあって流通高の成長率は鈍化傾向となっており、四半期ベースでは第2四半期の成長率は前年同期比で17.7%増と第1四半期の同21.2%増から減速した。また、実額ベースでは第1四半期の3,559百万円から第2四半期は3,545百万円と若干ながら減少に転じている。

第2四半期は季節要因(12月、1月を含む)で制作・ビジネス系の需要が弱くなる傾向にあり、また、今回はテレビCMを見送ったことも影響している可能性がある。サービスカテゴリー別で見ると、第2四半期は2つの分野で落ち込みが目立った。具体的には、結婚式関連の動画制作がリオープニングの影響もあって第1四半期に急増した反動で減少した。YouTubeの動画制作関連も、最近は競争激化でYouTuberの収益化が難しくなっており、需要が落ち込んだ。結婚式関連は季節要因による一時的な落ち込みであるが、YouTube関連については市場環境の変化が影響しており、今後も伸び悩む可能性がある。ただ、制作・ビジネス系全体では第2四半期も前年同期比19.0%増の2,166百万円と2ケタ成長を維持していることに変わりない。一方、相談・プライベート系の第2四半期流通高は同15.7%増の1,379百万円となり、8四半期連続で過去最高を更新した。

KPIである購入UU数と1人当たり購入額については、第2四半期の購入UU数は前年同期比8.5%増の156,117人、1人当たり購入額は同8.4%増の22,713円といずれも増加基調が続いた。ただ、購入UU数については流通高と同様、前四半期比で3.5%減とマイナスに転じている。季節要因で制作・ビジネス系の需要が落ち込んだことが影響した。

同社は流通高の拡大施策として「ココナラ」の機能拡充を継続的に取り組んでおり、新たに「予約管理機能」を2022年12月に、「クーポン配布機能」を2023年1月にそれぞれリリースした。「予約管理機能」は電話・ビデオチャットサービスにおいて、出品者が設定した予約可能枠(スケジュール)を可視化し、サイト上で閲覧できるだけでなく購入者が空いているスケジュールを指定し、予約申込みできる機能となる。同機能を用いることで出品者、購入者ともにスムーズな売買が可能となり、マッチング機会の増大につながるものと期待される。また、「クーポン配布機能」は出品者自身がクーポンを配布する対象者や割引額を設定できる機能で、既存顧客へのリピート販売や新規顧客獲得施策として活用でき、流通高の拡大につながる施策として期待される(いずれの機能も無料)。

また、第2四半期から新たに日本語解析システム「Sudachi」※を導入したことで、マッチング精度も向上している。購入者が希望するサービスを探す場合には、条件など複数のキーワードを入力して検索することが多いが、「Sudachi」を導入したことでキーワード検索時のヒット数が適切に増加し、マッチング精度の向上につながっている。

※「Sudachi」はワークス徳島人工知能NLP研究所が開発提供しているOSS(オープンソースソフトウェア)で、国内最大規模の日本語言語資源として、多くの企業・研究機関で活用されている。


2022年8月期下期から導入したサービスPR機能についても、新規出品者が顧客を獲得するための機能として効果が出ているようだ。同機能は出品者が自身のサービスを「ココナラ」サイト上に広告宣伝できるサービスとなる。購入希望者が対象サービスを購入する場合、検索絞り込み機能を使って出品者を選択するが、検索結果は評価の高い出品者が上位に表示される。このため、スキルの高い出品者であっても取引実績がない場合や少ない場合は検索上位画面に表示されにくいという課題があった。こうした課題を解消するため、検索結果画面に広告枠を設けて、出品者が自身のサービスを掲載し購入者に宣伝できる機能となる。出品者は広告枠がクリックされた件数によって広告費用が発生することになるが、負担額は小さく費用対効果も可視化できるため利用しやすくなっている。同機能をリリース以降、利用者数は着実に増加していることから、広告宣伝効果が得られているものと評価される。なお、同社はサービスPR機能(広告収入)で収益を稼ぐという考えはなく、あくまで流通額や出品者拡大のための施策として位置づけている。このため、広告収入については非開示としているが、全体の収益に与える影響も軽微と考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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