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ベルシス24 Research Memo(4):2023年2月期決算は、コロナ関連業務が大きく貢献し増収増益(1)

注目トピックス 日本株
*13:04JST ベルシス24 Research Memo(4):2023年2月期決算は、コロナ関連業務が大きく貢献し増収増益(1)
■ベルシステム24ホールディングス<6183>の業績動向

1. 2023年2月期連結業績
2023年2月期における日本経済は、ウィズコロナ(コロナ禍との共存)の新たな段階への移行が進められるなか、各種政策の効果もあって、景気に持ち直しの動きが見られた。一方で、世界的な金融引締め等による海外景気の下振れが景気を下押しするリスクになるとともに、物価上昇、供給面での制約等、依然として先行きが不透明な状況が続いた。また、雇用環境においては、コロナ禍から正常な経済活動に戻りつつあるなか、急激な採用活動の活発化により、人手不足が顕著になるとともに、人件費の水準は上昇傾向となった。

同社グループの主力事業であるCRM事業においては、アウトソーシング需要の高まりを受け、堅調に推移した。また、コミュニケーション手段の多様化に加え、急速な技術革新に伴い、消費者との対話においてもAI(人工知能)等の導入による自動化や、分散される顧客対応データの資産化・活用が求められるなど、カスタマーサービス分野において、なお一層のサービスの高度化が求められている。

こうした経営環境の中で、同社グループでは2021年2月期からスタートした中期経営計画の最終年度として、「社員3万人の戦力最大化」「音声データ活用によるDX推進」「信頼と共創のパートナー成長」の実現に取り組み、着実に成果をあげた。その結果、同社の2023年2月期の連結業績は、売上収益156,054百万円(前期比6.5%増)、営業利益14,917百万円(同12.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益9,330百万円(同4.3%増)の増収増益決算となった。売上高、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、いずれも期初の業績予想を上回り、2016年3月期の上場以降の最高値を達成する順調な決算であった。

売上収益は、基礎業務が堅調なうえ、特にコロナ関連業務の増加に伴い増収となった。営業利益段階では、会計システムの更改を含めたITシステム費用の増加やブランド戦略強化に伴う広告宣伝費の増加等により販管費が増加したものの、増収効果に伴う売上総利益の増加が上回り、また前期に計上したポッケの減損損失がなくなったことで、大幅な増益となった。親会社の所有者に帰属する当期利益は、持分法による投資損失を計上したことに伴い、営業利益に比べて小幅の増益率に留まった。持分法による投資損失は、主にTBネクストコミュニケーションズのコロナ関連業務が縮小したことと、タイのTrue Touchにおいてコロナ禍により事業拡大ペースが遅れ、持分法投資に係る減損損失を計上したことによるものであった。

ただ、期初予想を上回り過去最高値となった好決算は、コロナ禍という非常事態でも、同社が社会インフラとしての役割を十分に果たしている証左と言えよう。この結果、売上収益営業利益率は9.6%に改善した。また、同社のROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は15.1%、ROA(資産合計税引前利益率)も8.0%と高水準を維持した。これらの指標は、2022年3月期の東証1部上場会社サービス業平均の売上高営業利益率5.4%、ROE 7.1%、ROA0.7%を、大きく上回っている。同社が属するサービス業には様々なビジネスモデルの会社を含むため、同社と業界平均の単純比較は難しい面があるものの、同社の収益性は極めて高いと評価できよう。

(1) セグメント別の状況
2023年2月期の主力のCRM事業の売上収益は155,158百万円(前期比6.7%増)、税引前利益は13,900百万円(同2.0%増)となった。売上収益は、依然として先行き不透明な経済状況が続いているなかでも、社会インフラとしてのスポット需要や前期から業務開始した既存継続案件の売上が拡大したほか、伊藤忠商事及び凸版印刷との協業強化によるシナジー案件も堅調に推移したこと等により、増収となった。また、税引前利益は、増収による利益の伸長に加え、収益改善活動による効果等もあり、増益となった。

この結果、コア事業であるCRM事業の同社全体に占めるシェアは、売上収益の99.4%、税引前利益の98.2%を占め、税引前利益率は9.0%で、同社全体の好業績を支えている。

CRM事業のうち、基礎業務の売上収益1,330.5億円(同4.0%増)は、新規案件の獲得で回復して想定通り着実に増加した。人材・教育関連業務の売上収益が、コロナ禍が落ち着くなかでの採用活動が下期に一段と活発化し、中途斡旋関連の業務が増加した。非対面関連業務の売上収益も、Eコマース関連業務において、前期に比べて一部で対面販売に戻る動きもあり伸び悩みが見られるものの、今期はデリバリー関連業務や保険金の問い合わせ業務が牽引し、着実な増加を示した。さらに、キャッシュレス決済関連業務の売上収益も、当上期まで減少していたQRコード決済関連業務が下期に増加に転じたことに加え、クレジットカード関連業務も着実に増加している。また、コロナ関連業務の売上収益は221.1億円(同26.0%増)と、ワクチン・給付金対応業務を中心に、想定以上に大幅に増加した。

一方、その他では、ポッケの吸収合併に伴いコンテンツ販売収入が減少したため、売上収益は896百万円(前期比12.1%減)になった。ただ、前期に計上したポッケに帰属する減損損失496百万円がなくなったことで、税引前利益は257百万円(前期は163百万円の損失)となった。以上から、同社全体に占めるシェアは売上収益が0.6%、税引前利益も1.8%に留まった。

売上収益における伊藤忠シナジーについては、同社の筆頭株主である伊藤忠商事のネットワークを活用して、伊藤忠グループ関連の案件をはじめとする新規案件獲得の継続・拡大を図った。同社が定義する伊藤忠シナジーには伊藤忠商事の子会社や関連会社だけでなく、その取引先も含むため、対象とする開拓先は広大である。これら伊藤忠グループ案件による売上収益は、2018年2月期の97.6億円から、2023年2月期通期には169.9億円へと、キャッシュレス決済関連業務、非対面関連業務を中心に増加を継続している。今後も新技術活用における連携(出資、提携など)、海外事業展開における連携などによって、伊藤忠シナジーはさらに拡大し続ける見通しだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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