SI Research Memo(9):2024年2月期はERP事業が2ケタ増収増益に転じ、AI事業で初の黒字化を目指す
[23/05/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*13:49JST SI Research Memo(9):2024年2月期はERP事業が2ケタ増収増益に転じ、AI事業で初の黒字化を目指す
■システムインテグレータ<3826>の今後の見通し
2. 事業セグメント別見通し
(1) Object Browser事業
Object Browser事業は売上高で前期比6.7%増の742百万円、事業利益※で同5.6%減の270百万円となる見通し。売上高は「Object Browser」シリーズ、「OBPM Neo」ともに契約件数の増加により増収を見込んでいる。「OBPM Neo」に関しては前期に上昇した解約率(2022年2月期6.5%→2023年2月期13.4%)の低減施策を打つことも増収に寄与すると見ている。従来の営業組織では新規顧客開拓を行うチームと、契約した顧客の導入支援・サポートを行うチームに分けていたが、2023年3月より組織を一体化し、顧客を獲得した営業スタッフが、その後の導入支援やサポートまでをフォローアップできるようにした。こうした取り組みにより、顧客満足度の向上を図り解約率の低減を図っていく。
※2024年2月期より事業セグメント別利益は事業利益ベースで開示することにした。従来は共通費用を各事業セグメントの売上高に応じて配分し営業利益として開示していたが、各事業の収益状況をより正確に把握できるようにした。
一方、事業利益が減益見通しとなっているのは開発体制強化のための人件費増に加えて、2024年2月期中にサービスを終了する「OBDZ」の撤退コスト10〜20百万円を見込んでいるためだ。「OBDZ」を利用しているユーザーが若干残っており、サービス終了までのインフラ維持コストとなる。
同社では、IT業界において「OBPM Neo」を導入する可能性のある企業は2,200〜2,300社あり、開拓余地は大きいとみている。さらに、2023年2月期にスタートした「リモートPMOサービス」も、PM人材の慢性的な不足が続くため契約件数を伸ばしていくチャンスは十分にある。同社は「OBPM Neo」の当面の導入目標数として400社を掲げており、中期的に事業規模の一段の拡大を目指している。利益率についても買取モデルから月額課金モデルへのシフトが一巡する2025年2月期以降はさらに上昇するものと期待される。
(2) E-Commerce事業
E-Commerce事業の売上高は前期比8.0%増の989百万円、事業利益は同8.4%減の294百万円となる見通し。「Adobe Commerce」の拡販に加えて、内製化支援サービス「EC&リテールDXサポート」の引き合いが増加してきており、増収を見込んでいる。ただ、「Adobe Commerce」など利益率の低い他社製品の販売にシフトすることで、利益ベースでは減益を見込んでいる。
(3) ERP事業
ERP事業の売上高は前期比12.7%増の3,106百万円、事業利益は同22.6%増の612百万円と2ケタ増収増益となる見通し。足元の受注状況がインボイス制度対応案件を中心に好調に推移していることに加え、前期に福岡支社の開設やベトナム子会社の設立など開発体制を強化した効果もあって、売上高は4期ぶりに過去最高を更新する見込み。増収効果に加えてエンジニアの稼働率向上もあって、事業利益率も18.1%から19.7%に上昇する。
(4) AI事業
AI事業の売上高は前期比44.0%増の97百万円、事業利益は2百万円(前期は13百万円の損失)と初の黒字化を目指す。「AISIA-AD」において製造ラインでの実運用に進む案件が数件見込まれるほか、PoC案件も10件程度の受注を目指す。「ChatGPT」の普及によりAIソリューションに対する関心が再び高まっているようで、こうした需要を取り込んでいく。
なお、AIの有用性や導入への課題をユーザー自身で簡単に検証できる無料のAI外観検査セルフチェックツール「ImageCheck AI」を2023年4月にリリースした。従来はPoCを行う前段階として、顧客の製造ラインの画像からAIモデルの検証を行う簡易検証サービスを有償(40万円、検証期間2週間)で行っていたが、機密保持契約や画像授受データ、データの評価などを行う手間が発生するため生産性が上がらなかった。簡易検証を顧客自身で行うことができればPoCまでスムーズに進むと考え、同ツールを開発し無償で提供することにした。リリース後の反響は良かったものの、逆にツールの操作方法等に対する問い合わせ件数が増加するなど課題も出てきており、今後利便性向上を図るための機能改善を進める予定である。
(5) その他
その他事業の売上高は前期比28.6%増の66百万円、事業損失は73百万円(前期は75百万円の損失)を見込んでいる。「TOPSIC」に関しては需要の旺盛な「TOPSIC-SQL」の拡販に向けて作問数を充実させていくほか、新機能としてスキルチェックの評価・判定をより客観的に行うためのアセスメント機能をリリース(無償)する予定で、サービスの拡充を図ることで導入社数を増やす方針だ。損益分岐点は1億円弱程度と見られ、3〜4年後の黒字化を目指す。
「IDEA GARDEN」については、セミナー開催等により認知度の向上と見込み顧客の獲得を行う先行投資段階との位置づけだ。2023年4月にはOpen AI社が開発した最新の自然言語処理モデル「GPT-4」を活用した「AIアドバイザー機能(B)」を実装したほか、新機能としてアイデア創出への各社員の貢献度を可視化する「アイデア貢献ポイント」も実装した。AI機能の実装によってプラットフォーム上でのアイデア創出活動の効率化が進むと見られる。リリース後の反響も大きいようで、今後は認知度の向上に加えて無料トライアルのユーザーをいかに有料契約にシフトできるかが収益化の鍵を握ると見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■システムインテグレータ<3826>の今後の見通し
2. 事業セグメント別見通し
(1) Object Browser事業
Object Browser事業は売上高で前期比6.7%増の742百万円、事業利益※で同5.6%減の270百万円となる見通し。売上高は「Object Browser」シリーズ、「OBPM Neo」ともに契約件数の増加により増収を見込んでいる。「OBPM Neo」に関しては前期に上昇した解約率(2022年2月期6.5%→2023年2月期13.4%)の低減施策を打つことも増収に寄与すると見ている。従来の営業組織では新規顧客開拓を行うチームと、契約した顧客の導入支援・サポートを行うチームに分けていたが、2023年3月より組織を一体化し、顧客を獲得した営業スタッフが、その後の導入支援やサポートまでをフォローアップできるようにした。こうした取り組みにより、顧客満足度の向上を図り解約率の低減を図っていく。
※2024年2月期より事業セグメント別利益は事業利益ベースで開示することにした。従来は共通費用を各事業セグメントの売上高に応じて配分し営業利益として開示していたが、各事業の収益状況をより正確に把握できるようにした。
一方、事業利益が減益見通しとなっているのは開発体制強化のための人件費増に加えて、2024年2月期中にサービスを終了する「OBDZ」の撤退コスト10〜20百万円を見込んでいるためだ。「OBDZ」を利用しているユーザーが若干残っており、サービス終了までのインフラ維持コストとなる。
同社では、IT業界において「OBPM Neo」を導入する可能性のある企業は2,200〜2,300社あり、開拓余地は大きいとみている。さらに、2023年2月期にスタートした「リモートPMOサービス」も、PM人材の慢性的な不足が続くため契約件数を伸ばしていくチャンスは十分にある。同社は「OBPM Neo」の当面の導入目標数として400社を掲げており、中期的に事業規模の一段の拡大を目指している。利益率についても買取モデルから月額課金モデルへのシフトが一巡する2025年2月期以降はさらに上昇するものと期待される。
(2) E-Commerce事業
E-Commerce事業の売上高は前期比8.0%増の989百万円、事業利益は同8.4%減の294百万円となる見通し。「Adobe Commerce」の拡販に加えて、内製化支援サービス「EC&リテールDXサポート」の引き合いが増加してきており、増収を見込んでいる。ただ、「Adobe Commerce」など利益率の低い他社製品の販売にシフトすることで、利益ベースでは減益を見込んでいる。
(3) ERP事業
ERP事業の売上高は前期比12.7%増の3,106百万円、事業利益は同22.6%増の612百万円と2ケタ増収増益となる見通し。足元の受注状況がインボイス制度対応案件を中心に好調に推移していることに加え、前期に福岡支社の開設やベトナム子会社の設立など開発体制を強化した効果もあって、売上高は4期ぶりに過去最高を更新する見込み。増収効果に加えてエンジニアの稼働率向上もあって、事業利益率も18.1%から19.7%に上昇する。
(4) AI事業
AI事業の売上高は前期比44.0%増の97百万円、事業利益は2百万円(前期は13百万円の損失)と初の黒字化を目指す。「AISIA-AD」において製造ラインでの実運用に進む案件が数件見込まれるほか、PoC案件も10件程度の受注を目指す。「ChatGPT」の普及によりAIソリューションに対する関心が再び高まっているようで、こうした需要を取り込んでいく。
なお、AIの有用性や導入への課題をユーザー自身で簡単に検証できる無料のAI外観検査セルフチェックツール「ImageCheck AI」を2023年4月にリリースした。従来はPoCを行う前段階として、顧客の製造ラインの画像からAIモデルの検証を行う簡易検証サービスを有償(40万円、検証期間2週間)で行っていたが、機密保持契約や画像授受データ、データの評価などを行う手間が発生するため生産性が上がらなかった。簡易検証を顧客自身で行うことができればPoCまでスムーズに進むと考え、同ツールを開発し無償で提供することにした。リリース後の反響は良かったものの、逆にツールの操作方法等に対する問い合わせ件数が増加するなど課題も出てきており、今後利便性向上を図るための機能改善を進める予定である。
(5) その他
その他事業の売上高は前期比28.6%増の66百万円、事業損失は73百万円(前期は75百万円の損失)を見込んでいる。「TOPSIC」に関しては需要の旺盛な「TOPSIC-SQL」の拡販に向けて作問数を充実させていくほか、新機能としてスキルチェックの評価・判定をより客観的に行うためのアセスメント機能をリリース(無償)する予定で、サービスの拡充を図ることで導入社数を増やす方針だ。損益分岐点は1億円弱程度と見られ、3〜4年後の黒字化を目指す。
「IDEA GARDEN」については、セミナー開催等により認知度の向上と見込み顧客の獲得を行う先行投資段階との位置づけだ。2023年4月にはOpen AI社が開発した最新の自然言語処理モデル「GPT-4」を活用した「AIアドバイザー機能(B)」を実装したほか、新機能としてアイデア創出への各社員の貢献度を可視化する「アイデア貢献ポイント」も実装した。AI機能の実装によってプラットフォーム上でのアイデア創出活動の効率化が進むと見られる。リリース後の反響も大きいようで、今後は認知度の向上に加えて無料トライアルのユーザーをいかに有料契約にシフトできるかが収益化の鍵を握ると見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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