アドバンクリエ Research Memo(3):保険選びサイト「保険市場」を運営する独立系保険代理店の大手(2)
[23/06/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*14:33JST アドバンクリエ Research Memo(3):保険選びサイト「保険市場」を運営する独立系保険代理店の大手(2)
■アドバンスクリエイト<8798>の事業概要
(2) ASP事業
ASP事業は、Salesforceのクラウドサービスを活用して社内用に開発・利用してきた顧客管理システム「御用聞き」(2018年11月販売開始)や申込共通プラットフォームシステム「丁稚(DECHI)」(2019年6月販売開始)、オンラインビデオ通話システム「Dynamic OMO」(2021年3月販売開始)などを保険代理店向け等に外販する事業である。
「御用聞き」の特徴は、クラウドサービスにより低コストで利用が可能なこと、保険業法や個人情報保護法等の関係法令に準拠しておりスムーズな顧客情報の管理・共有が可能なこと、各保険商品の手数料データの取り込みと比較・分析ができること、歩合外務員の歩合率を設定する機能や報酬計算機能などを備えていることなどが挙げられる。乗合代理店では多くの保険商品を取り扱っており、保険商品ごとに手数料やインセンティブが異なるなど複雑な仕組みとなっている。業務効率の面から利便性の高い顧客管理システムが求められており、同サービスの普及拡大が期待される。
「丁稚(DECHI)」は同社が構築する共通プラットフォームシステム「ACP(Advance Create Cloud Platform)」と保険会社の基幹システムを連携(2023年5月時点で15社と連携)させることで、複数社にまたがる保険商品の申込み手続きを一度の入力で完結できるシステムである。入力時間の短縮と入力間違いといったミスを防ぐだけでなく、顧客の待ち時間も短縮できるなど、乗合代理店にとって生産性並びに顧客満足度の向上につながるサービスである。「丁稚(DECHI)」は「御用聞き」を利用していない代理店でも自社のCRMシステムを「ACP」と連携することで利用可能である。
「Dynamic OMO」は、保険相談に特化したオンラインビデオ通話システムとして自社開発したもので、同社のオンライン保険相談の7割以上を占めるスマートフォン向けに最適化されたシステムである。2020年3月以降、汎用のビデオ通話システムを活用し、トライアンドエラーを繰り返しながら顧客や社員の要望を反映し、汎用システムでは対応しきれなかった使い勝手の良い機能を継続的に追加実装するなど、社内で開発部門を持つ強みが生かされている。主な特長として、ブラウザでの使用が可能なこと、互いの顔をワイプ表示できること、保険資料の画面をメインとして複数の資料をタブで簡単に切り替え表示できること、顧客が資料の随意箇所を拡大表示した際に顧客が閲覧している箇所を募集人が把握できるズームアップ機能を取り入れたことなどが挙げられる。利用料金は、月額基本料と使用データ量に応じた従量課金を組み合わせたものとなっている。オンライン保険相談では情報セキュリティ対策を施したうえで自動録画を行っているため、コンプライアンス上の問題がないか検証可能なほか、優秀な営業担当者の商談内容を研修用動画として営業担当者の育成に活用できることも導入メリットとして挙げられる。
そのほか、同社が自社開発した保険証券管理アプリ「folder」の外販を2020年秋より開始した。保険商品をスマートフォンで撮影することによりクラウド上で保険証券を管理できるほか、保障の過不足診断、年金・教育費シミュレーション、保険契約情報を家族と共有することができるなど様々な機能を実装している。同アプリのダウンロード件数は提供開始以降順調に拡大している。2023年4月末時点で16.7万件(保険証券登録数は10.4万件)となり、外販向けでは1.8万件を超える規模となった。同ツールはOMO戦略を推進するうえで顧客との長期的な関係を構築し、保険検討時の「最初の接点」として収益機会を獲得するための有力ツールとなっているため、今後もさらなる機能強化を進める予定だ。外販の料金は、登録ID数のレンジごとに月額課金するビジネスモデル(サーバー費用含む)である。
これらサービスの販売ターゲットは、提携代理店のほか複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店及び保険会社である(オンラインビデオ通話システムについては他業種でも利用可能)。募集人の数は国内で100万人規模となり、このうち乗合代理店が数十万人規模、同社の提携代理店だけでも5万人超の規模となる。「御用聞き」や「丁稚」の料金は月額課金制でIDを増やすごとに課金する格好となる。注目すべき点は、これらシステムが社内利用を目的に開発されたため開発費負担がほとんどかからず、高い収益性が期待できる点にある。ASP事業の費用は、営業スタッフ(2022年9月時点で5名(派遣社員1名含む))の人件費と開発費の一部(外販用の機能のみ)のみである。コロナ禍で営業活動が制限されたこともあり、当初の想定より契約件数の増加ペースがスローとなっているが、今後は保険代理店事業の拡大により提携代理店への送客増加も見込まれることから、提携代理店を中心に導入を推進する計画である。
(3) メディア事業
メディア事業は、保険選びサイト「保険市場」を広告媒体とする広告枠の販売を行っている。国内最大級の保険選びサイトとしてのブランドを確立しており、保険への関心が高い顧客層に直接アプローチできることから、広告主も保険会社や保険代理店が大半で広告単価も比較的安定している。広告出稿は保険会社の年度末近くの1〜3月に集中する傾向にあるため、同事業の業績も第2四半期がピークとなる。
(4) メディアレップ事業
メディアレップ事業は、自社で蓄積してきた広告運用業務のノウハウを用いて、保険会社向けにSEO対策を中心とした広告運用サービスを行う広告代理店ビジネスである。2017年9月期より事業を開始して以降、年々売上規模が拡大したため、2020年9月期よりメディア事業から独立して開示した。保険会社からは費用対効果の面で高い評価を受けており、2020年4月にヤフー(株)が運営する「Yahoo!マーケティングソリューション パートナープログラム」※において、「保険市場」は保険広告代理店として初の「Yahoo!マーケティングソリューション 2つ星セールスパートナー」に選定され、3年連続で認定されている。また2021年9月期より、ヤフーの定める領域において、特に運用能力が高いと認められたセールスパートナーに進呈される「広告運用認定パートナー」にも認定されている(2023年5月時点で星の認定を受けたセールスパートナー208社のうち、「広告運用認定パートナー」は33社)。
※「Yahoo!マーケティングソリューション パートナープログラム」とは、「Yahoo!マーケティングソリューション パートナー」のなかで、Yahoo! JAPANの広告商品・サービスを総合的に活用し、優れた実績のあるパートナーに対して、星ごとにパートナー認定し、実績に応じて★7段階で認定しているもの。
(5) 再保険事業
再保険事業は、同社が保険代理店として獲得した保険契約の一部について、元受保険会社とAdvance Create Reinsurance inc.との間で再保険契約を結び、再保険料を得るビジネスとなる。生命保険や介護保険、疾病保険の再保険が中心で、2023年3月末時点の契約先企業は11社(生命保険8社、損害保険2社、少額短期保険1社)となっている。ストック型のビジネスモデルであるため期初段階でほぼ年間の収入見通しが把握可能で、大規模自然災害や環境の変化によって保険会社の保険金支払い額が想定を超えて大きく増えない限りは、営業利益率で15%前後の高収益性と安定性が期待できる事業である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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■アドバンスクリエイト<8798>の事業概要
(2) ASP事業
ASP事業は、Salesforce
「御用聞き」の特徴は、クラウドサービスにより低コストで利用が可能なこと、保険業法や個人情報保護法等の関係法令に準拠しておりスムーズな顧客情報の管理・共有が可能なこと、各保険商品の手数料データの取り込みと比較・分析ができること、歩合外務員の歩合率を設定する機能や報酬計算機能などを備えていることなどが挙げられる。乗合代理店では多くの保険商品を取り扱っており、保険商品ごとに手数料やインセンティブが異なるなど複雑な仕組みとなっている。業務効率の面から利便性の高い顧客管理システムが求められており、同サービスの普及拡大が期待される。
「丁稚(DECHI)」は同社が構築する共通プラットフォームシステム「ACP(Advance Create Cloud Platform)」と保険会社の基幹システムを連携(2023年5月時点で15社と連携)させることで、複数社にまたがる保険商品の申込み手続きを一度の入力で完結できるシステムである。入力時間の短縮と入力間違いといったミスを防ぐだけでなく、顧客の待ち時間も短縮できるなど、乗合代理店にとって生産性並びに顧客満足度の向上につながるサービスである。「丁稚(DECHI)」は「御用聞き」を利用していない代理店でも自社のCRMシステムを「ACP」と連携することで利用可能である。
「Dynamic OMO」は、保険相談に特化したオンラインビデオ通話システムとして自社開発したもので、同社のオンライン保険相談の7割以上を占めるスマートフォン向けに最適化されたシステムである。2020年3月以降、汎用のビデオ通話システムを活用し、トライアンドエラーを繰り返しながら顧客や社員の要望を反映し、汎用システムでは対応しきれなかった使い勝手の良い機能を継続的に追加実装するなど、社内で開発部門を持つ強みが生かされている。主な特長として、ブラウザでの使用が可能なこと、互いの顔をワイプ表示できること、保険資料の画面をメインとして複数の資料をタブで簡単に切り替え表示できること、顧客が資料の随意箇所を拡大表示した際に顧客が閲覧している箇所を募集人が把握できるズームアップ機能を取り入れたことなどが挙げられる。利用料金は、月額基本料と使用データ量に応じた従量課金を組み合わせたものとなっている。オンライン保険相談では情報セキュリティ対策を施したうえで自動録画を行っているため、コンプライアンス上の問題がないか検証可能なほか、優秀な営業担当者の商談内容を研修用動画として営業担当者の育成に活用できることも導入メリットとして挙げられる。
そのほか、同社が自社開発した保険証券管理アプリ「folder」の外販を2020年秋より開始した。保険商品をスマートフォンで撮影することによりクラウド上で保険証券を管理できるほか、保障の過不足診断、年金・教育費シミュレーション、保険契約情報を家族と共有することができるなど様々な機能を実装している。同アプリのダウンロード件数は提供開始以降順調に拡大している。2023年4月末時点で16.7万件(保険証券登録数は10.4万件)となり、外販向けでは1.8万件を超える規模となった。同ツールはOMO戦略を推進するうえで顧客との長期的な関係を構築し、保険検討時の「最初の接点」として収益機会を獲得するための有力ツールとなっているため、今後もさらなる機能強化を進める予定だ。外販の料金は、登録ID数のレンジごとに月額課金するビジネスモデル(サーバー費用含む)である。
これらサービスの販売ターゲットは、提携代理店のほか複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店及び保険会社である(オンラインビデオ通話システムについては他業種でも利用可能)。募集人の数は国内で100万人規模となり、このうち乗合代理店が数十万人規模、同社の提携代理店だけでも5万人超の規模となる。「御用聞き」や「丁稚」の料金は月額課金制でIDを増やすごとに課金する格好となる。注目すべき点は、これらシステムが社内利用を目的に開発されたため開発費負担がほとんどかからず、高い収益性が期待できる点にある。ASP事業の費用は、営業スタッフ(2022年9月時点で5名(派遣社員1名含む))の人件費と開発費の一部(外販用の機能のみ)のみである。コロナ禍で営業活動が制限されたこともあり、当初の想定より契約件数の増加ペースがスローとなっているが、今後は保険代理店事業の拡大により提携代理店への送客増加も見込まれることから、提携代理店を中心に導入を推進する計画である。
(3) メディア事業
メディア事業は、保険選びサイト「保険市場」を広告媒体とする広告枠の販売を行っている。国内最大級の保険選びサイトとしてのブランドを確立しており、保険への関心が高い顧客層に直接アプローチできることから、広告主も保険会社や保険代理店が大半で広告単価も比較的安定している。広告出稿は保険会社の年度末近くの1〜3月に集中する傾向にあるため、同事業の業績も第2四半期がピークとなる。
(4) メディアレップ事業
メディアレップ事業は、自社で蓄積してきた広告運用業務のノウハウを用いて、保険会社向けにSEO対策を中心とした広告運用サービスを行う広告代理店ビジネスである。2017年9月期より事業を開始して以降、年々売上規模が拡大したため、2020年9月期よりメディア事業から独立して開示した。保険会社からは費用対効果の面で高い評価を受けており、2020年4月にヤフー(株)が運営する「Yahoo!マーケティングソリューション パートナープログラム」※において、「保険市場」は保険広告代理店として初の「Yahoo!マーケティングソリューション 2つ星セールスパートナー」に選定され、3年連続で認定されている。また2021年9月期より、ヤフーの定める領域において、特に運用能力が高いと認められたセールスパートナーに進呈される「広告運用認定パートナー」にも認定されている(2023年5月時点で星の認定を受けたセールスパートナー208社のうち、「広告運用認定パートナー」は33社)。
※「Yahoo!マーケティングソリューション パートナープログラム」とは、「Yahoo!マーケティングソリューション パートナー」のなかで、Yahoo! JAPANの広告商品・サービスを総合的に活用し、優れた実績のあるパートナーに対して、星ごとにパートナー認定し、実績に応じて★7段階で認定しているもの。
(5) 再保険事業
再保険事業は、同社が保険代理店として獲得した保険契約の一部について、元受保険会社とAdvance Create Reinsurance inc.との間で再保険契約を結び、再保険料を得るビジネスとなる。生命保険や介護保険、疾病保険の再保険が中心で、2023年3月末時点の契約先企業は11社(生命保険8社、損害保険2社、少額短期保険1社)となっている。ストック型のビジネスモデルであるため期初段階でほぼ年間の収入見通しが把握可能で、大規模自然災害や環境の変化によって保険会社の保険金支払い額が想定を超えて大きく増えない限りは、営業利益率で15%前後の高収益性と安定性が期待できる事業である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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