ディーエムソリュ Research Memo(6):ダイレクトメール事業が増益をけん引
[23/06/20]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*12:46JST ディーエムソリュ Research Memo(6):ダイレクトメール事業が増益をけん引
■業績動向
1. 2023年3月期の業績動向
ディーエムソリューションズ<6549>の2023年3月期の業績は、売上高17,861百万円(前期比7.1%増)、営業利益462百万円(同367.9%増)、経常利益477百万円(同370.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益315百万円(同5,633.4%増)となった。日本経済は、コロナ禍の影響が弱まりつつある一方で、ウクライナ情勢の長期化や世界的な原材料及びエネルギー価格の高騰などにより、先行き不透明な状況であった。このような環境下、同社は積極的な人材採用による営業力と提供サービスの強化に取り組み、顧客に最適なマーケティングソリューションを提供した。このほか、経営効率改善と働き方改革を推進する新宿オフィスの本社統合、「MOBY」から派生したカーケアブランド「RHET.」の立ち上げ、女性活躍推進法に基づく優良企業認定「えるぼし」最高位の取得など様々な経営も積極的に実施した。2024年3月期に入った足元でも、4月にダイレクトメールとデジタルツールを組み合わせた新しいコミュニケーションサービスの提供に向けて(株)アクリートと業務提携、5月には西日本エリアでの発送代行サービスの受注増に対応して大阪メールセンターを大幅増床している。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の伸びが極端に大きくなっているのは、2022年3月期に税効果が得られず実効税率が高まった反動である。
この結果、営業利益は4.6倍と大きく伸びた。売上の伸びが利益の伸びをけん引したが、加えて、好採算のフルフィルメントサービスの売上構成比が上昇したことによるミックス改善や、仕入先の見直しと価格転嫁のダブル効果により、原材料費の高騰などを吸収して売上総利益率が改善、販管費はM&A費用や貸倒引当金が平常化したため増収のなかで引き下げることができた。期初予想との比較では、売上高で111百万円未達、営業利益で242百万円過達となったが、売上高の未達はインターネット事業やアパレル事業の苦戦、営業利益の過達はダイレクトメール事業の好調、なかでもフルフィルメントサービスの売上構成比上昇やDX化による営業効率の改善などが奏功したようだ。
セグメント別に見るとダイレクトメール事業は、売上高15,476百万円(前期比10.8%増)、セグメント利益841百万円(同50.4%増)と好調だった。これは、DM発送代行サービスで、市場が緩やかに縮小する一方、同社のような大手への集約が進んでいるなか、充実した営業体制やWeb集客体制を基盤に、企画制作からデザイン、印刷、封入・封緘作業を一括して手掛けるワンストップサービスの提供、郵便やメール便のスケールメリットを生かした価格競争力のある提案型営業を積極的に展開したことで、新規顧客の開拓や既存顧客からの受注が想定を超えて堅調に推移したためである。この結果、2023年3月期の取引社数は4,941社(前期比6.6%増)、取引案件数は45,892件(同9.8%増)となった。また、フルフィルメントサービスでも、EC市場の拡大を背景に小口貨物が増加したことでDM発送代行サービス以上に好調を続けており、特に大手ECモールのセール実施に伴う出荷関連業務の増加や、立体型ソーターの増強などインフラやサービス体制の強化、認知度向上によるECモールからの流入などが収益を想定以上にけん引したもようである。
インターネット事業は、売上高1,326百万円(前期比17.8%減)、セグメント利益186百万円(同12.6%減)と苦戦した。デジタルマーケティングサービスでは、コンサルティング型マーケティングサービスの提供を強化したことで一定の成果を上げることができたが、運用広告や得意のSEOコンサルなどデジタルマーケティング自体がレッドオーシャン化しつつあり、同社サービスを特徴付けることが難しくなってきたようだ。また、バーティカルメディアサービスでは検索エンジンのアルゴリズム変更による構造的な影響があり、同社が運営するメディアサイトへの流入が低調に推移することになったが、これがきっかけとなって、これまで培ってきたデジタルマーケティングサービスとバーティカルメディアサービスのノウハウを生かし、ダイレクトメール事業とのシナジーをより発揮できるEC関連サポートサービスに本腰を入れることになった。
アパレル事業は、売上高1,058百万円(前期比4.1%減)、セグメント利益24百万円(同5.9%減)となった。2022年3月期にビアトランスポーツを子会社化したばかりのため、足元で販売体制の整備充実や経営体制の強化を進めているところだが、円安と仕入元の米国の物価高という二重の原価高が影響した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<AS>
■業績動向
1. 2023年3月期の業績動向
ディーエムソリューションズ<6549>の2023年3月期の業績は、売上高17,861百万円(前期比7.1%増)、営業利益462百万円(同367.9%増)、経常利益477百万円(同370.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益315百万円(同5,633.4%増)となった。日本経済は、コロナ禍の影響が弱まりつつある一方で、ウクライナ情勢の長期化や世界的な原材料及びエネルギー価格の高騰などにより、先行き不透明な状況であった。このような環境下、同社は積極的な人材採用による営業力と提供サービスの強化に取り組み、顧客に最適なマーケティングソリューションを提供した。このほか、経営効率改善と働き方改革を推進する新宿オフィスの本社統合、「MOBY」から派生したカーケアブランド「RHET.」の立ち上げ、女性活躍推進法に基づく優良企業認定「えるぼし」最高位の取得など様々な経営も積極的に実施した。2024年3月期に入った足元でも、4月にダイレクトメールとデジタルツールを組み合わせた新しいコミュニケーションサービスの提供に向けて(株)アクリートと業務提携、5月には西日本エリアでの発送代行サービスの受注増に対応して大阪メールセンターを大幅増床している。なお、親会社株主に帰属する当期純利益の伸びが極端に大きくなっているのは、2022年3月期に税効果が得られず実効税率が高まった反動である。
この結果、営業利益は4.6倍と大きく伸びた。売上の伸びが利益の伸びをけん引したが、加えて、好採算のフルフィルメントサービスの売上構成比が上昇したことによるミックス改善や、仕入先の見直しと価格転嫁のダブル効果により、原材料費の高騰などを吸収して売上総利益率が改善、販管費はM&A費用や貸倒引当金が平常化したため増収のなかで引き下げることができた。期初予想との比較では、売上高で111百万円未達、営業利益で242百万円過達となったが、売上高の未達はインターネット事業やアパレル事業の苦戦、営業利益の過達はダイレクトメール事業の好調、なかでもフルフィルメントサービスの売上構成比上昇やDX化による営業効率の改善などが奏功したようだ。
セグメント別に見るとダイレクトメール事業は、売上高15,476百万円(前期比10.8%増)、セグメント利益841百万円(同50.4%増)と好調だった。これは、DM発送代行サービスで、市場が緩やかに縮小する一方、同社のような大手への集約が進んでいるなか、充実した営業体制やWeb集客体制を基盤に、企画制作からデザイン、印刷、封入・封緘作業を一括して手掛けるワンストップサービスの提供、郵便やメール便のスケールメリットを生かした価格競争力のある提案型営業を積極的に展開したことで、新規顧客の開拓や既存顧客からの受注が想定を超えて堅調に推移したためである。この結果、2023年3月期の取引社数は4,941社(前期比6.6%増)、取引案件数は45,892件(同9.8%増)となった。また、フルフィルメントサービスでも、EC市場の拡大を背景に小口貨物が増加したことでDM発送代行サービス以上に好調を続けており、特に大手ECモールのセール実施に伴う出荷関連業務の増加や、立体型ソーターの増強などインフラやサービス体制の強化、認知度向上によるECモールからの流入などが収益を想定以上にけん引したもようである。
インターネット事業は、売上高1,326百万円(前期比17.8%減)、セグメント利益186百万円(同12.6%減)と苦戦した。デジタルマーケティングサービスでは、コンサルティング型マーケティングサービスの提供を強化したことで一定の成果を上げることができたが、運用広告や得意のSEOコンサルなどデジタルマーケティング自体がレッドオーシャン化しつつあり、同社サービスを特徴付けることが難しくなってきたようだ。また、バーティカルメディアサービスでは検索エンジンのアルゴリズム変更による構造的な影響があり、同社が運営するメディアサイトへの流入が低調に推移することになったが、これがきっかけとなって、これまで培ってきたデジタルマーケティングサービスとバーティカルメディアサービスのノウハウを生かし、ダイレクトメール事業とのシナジーをより発揮できるEC関連サポートサービスに本腰を入れることになった。
アパレル事業は、売上高1,058百万円(前期比4.1%減)、セグメント利益24百万円(同5.9%減)となった。2022年3月期にビアトランスポーツを子会社化したばかりのため、足元で販売体制の整備充実や経営体制の強化を進めているところだが、円安と仕入元の米国の物価高という二重の原価高が影響した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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