クオールHD Research Memo(1):第一三共エスファのグループ化で2025年3月期以降、事業規模は急拡大へ
[23/06/22]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
*15:51JST クオールHD Research Memo(1):第一三共エスファのグループ化で2025年3月期以降、事業規模は急拡大へ
■要約
クオールホールディングス<3034>は大手調剤薬局チェーンの1社で、調剤薬局店舗数で第2位、売上高で第3位(上場企業ベース)の位置にある。マンツーマン薬局と異業種連携によるヘルスケア薬局での店舗展開に特徴がある。調剤以外の分野では、CSO※事業に加えて薬剤師等の医療系人材紹介派遣事業、医薬品製造販売事業等を展開している。
※CSOとはContract Sales Organization(医薬品販売業務受託機関)の略で、CMR(契約MR(Medical Representative、医薬情報担当者))の派遣業務となる。
1. 2023年3月期は過去最高売上を更新
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.3%増の170,036百万円、営業利益で同3.7%減の9,495百万円となった。売上高は、主力の保険薬局事業が店舗数の増加等による処方箋応需枚数の増加により増収となったほか、医療関連事業も新型コロナウイルス感染症向け抗原検査キットの発売や医療系人材派遣の需要回復もあって増収となり、連続で過去最高を更新した。一方、営業利益は医療関連事業が増益となったものの、薬価改定や調剤報酬改定による技術料単価の下落、並びにコロナ感染対応やエネルギー価格高騰による店舗運営コストの増加で保険薬局事業が減益となり、全体では2期ぶりの減益に転じた。なお、期末の店舗数は前期末比58店舗増の892店舗となった。
2. 2024年3月期は増収増益見通し
2024年3月期の業績は売上高で前期比5.9%増の180,000百万円、営業利益で同5.3%増の10,000百万円と増収増益を見込む。保険薬局事業は薬価の下落が続くものの、店舗数増加による処方箋応需枚数の増加、並びに前期に新型コロナウイルス感染症対応で膨らんだ人件費の効率化が進むことから増収増益を見込む。一方、医療関連事業は抗原検査キットの反動減をCSO事業や医療系人材紹介派遣事業の拡大でカバーし、増収増益となる見通しだ。調剤薬局数については、自力出店で20店舗、M&Aで30〜50店舗の取得を想定している。自力出店については6月2日時点で既に10店舗を開店するなど順調な滑り出しとなっている。なお、同社はオーソライズジェネリック製品(以下、AG製品※)を主に展開する第一三共エスファ(株)の株式を段階的に取得しグループ化することを発表した。2023年10月1日に30%を取得して持分法適用関連会社とし、2024年4月に21%を追加取得して連結対象子会社とする計画だ。株式取得費用は250億円で、金融機関からの買い入れと手元資金で充当していく。2024年3月期の業績予想には持分法による投資利益で700百万円の計上を見込んでいる。
※AG製品:新薬メーカーから許諾を得て、原薬、添加物および製法等が新薬と同一のジェネリック製品。
3. 第一三共エスファのグループ化で中期売上目標3,000億円が射程圏内に
中長期成長戦略は、従来から一貫しており変更はない。保険薬局事業では「戦略的出店による規模の拡大」と「薬局の価値創出」に取り組むことで安定成長を目指す。出店はM&Aも含めて年間40〜90店舗ペースを継続し、1,000店舗の早期達成を目指す。また、ITも活用しながらサービス向上を図り、地域のかかりつけ薬局としての付加価値を高めることでシェア拡大を図る。医療関連事業ではCSO事業における「専門性の深化」に取り組み、高付加価値人材の育成やM&Aも視野に入れながらCMRを現在の約610名から中期的に1,000名体制を目指す。また、医薬品製造販売事業は、「グループシナジーの最大化」に取り組むと同時に、M&A戦略によって事業拡大を目指すとしており、今回の第一三共エスファのグループ化によって大きく進展することになる。第一三共エスファの2023年3月期業績は78,769百万円、営業利益は12,865百万円となっており、2024年3月期の連結業績に単純に上乗せすると売上は2,600億円、営業利益は230億円規模となる。同社が中期目標として掲げてきた売上高3,000億円、営業利益250億円も射程圏に入り、シナジー創出も含めて今後の展開が注目される。
■Key Points
・2023年3月期は売上高過去最高を更新
・2024年3月期は新店・M&A効果、新型コロナウイルス感染症からの回復等により過去最高業績更新を目指す
・第一三共エスファのグループ化により中期業績目標の売上高3,000億円、営業利益250億円が射程圏に入る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<AS>
■要約
クオールホールディングス<3034>は大手調剤薬局チェーンの1社で、調剤薬局店舗数で第2位、売上高で第3位(上場企業ベース)の位置にある。マンツーマン薬局と異業種連携によるヘルスケア薬局での店舗展開に特徴がある。調剤以外の分野では、CSO※事業に加えて薬剤師等の医療系人材紹介派遣事業、医薬品製造販売事業等を展開している。
※CSOとはContract Sales Organization(医薬品販売業務受託機関)の略で、CMR(契約MR(Medical Representative、医薬情報担当者))の派遣業務となる。
1. 2023年3月期は過去最高売上を更新
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.3%増の170,036百万円、営業利益で同3.7%減の9,495百万円となった。売上高は、主力の保険薬局事業が店舗数の増加等による処方箋応需枚数の増加により増収となったほか、医療関連事業も新型コロナウイルス感染症向け抗原検査キットの発売や医療系人材派遣の需要回復もあって増収となり、連続で過去最高を更新した。一方、営業利益は医療関連事業が増益となったものの、薬価改定や調剤報酬改定による技術料単価の下落、並びにコロナ感染対応やエネルギー価格高騰による店舗運営コストの増加で保険薬局事業が減益となり、全体では2期ぶりの減益に転じた。なお、期末の店舗数は前期末比58店舗増の892店舗となった。
2. 2024年3月期は増収増益見通し
2024年3月期の業績は売上高で前期比5.9%増の180,000百万円、営業利益で同5.3%増の10,000百万円と増収増益を見込む。保険薬局事業は薬価の下落が続くものの、店舗数増加による処方箋応需枚数の増加、並びに前期に新型コロナウイルス感染症対応で膨らんだ人件費の効率化が進むことから増収増益を見込む。一方、医療関連事業は抗原検査キットの反動減をCSO事業や医療系人材紹介派遣事業の拡大でカバーし、増収増益となる見通しだ。調剤薬局数については、自力出店で20店舗、M&Aで30〜50店舗の取得を想定している。自力出店については6月2日時点で既に10店舗を開店するなど順調な滑り出しとなっている。なお、同社はオーソライズジェネリック製品(以下、AG製品※)を主に展開する第一三共エスファ(株)の株式を段階的に取得しグループ化することを発表した。2023年10月1日に30%を取得して持分法適用関連会社とし、2024年4月に21%を追加取得して連結対象子会社とする計画だ。株式取得費用は250億円で、金融機関からの買い入れと手元資金で充当していく。2024年3月期の業績予想には持分法による投資利益で700百万円の計上を見込んでいる。
※AG製品:新薬メーカーから許諾を得て、原薬、添加物および製法等が新薬と同一のジェネリック製品。
3. 第一三共エスファのグループ化で中期売上目標3,000億円が射程圏内に
中長期成長戦略は、従来から一貫しており変更はない。保険薬局事業では「戦略的出店による規模の拡大」と「薬局の価値創出」に取り組むことで安定成長を目指す。出店はM&Aも含めて年間40〜90店舗ペースを継続し、1,000店舗の早期達成を目指す。また、ITも活用しながらサービス向上を図り、地域のかかりつけ薬局としての付加価値を高めることでシェア拡大を図る。医療関連事業ではCSO事業における「専門性の深化」に取り組み、高付加価値人材の育成やM&Aも視野に入れながらCMRを現在の約610名から中期的に1,000名体制を目指す。また、医薬品製造販売事業は、「グループシナジーの最大化」に取り組むと同時に、M&A戦略によって事業拡大を目指すとしており、今回の第一三共エスファのグループ化によって大きく進展することになる。第一三共エスファの2023年3月期業績は78,769百万円、営業利益は12,865百万円となっており、2024年3月期の連結業績に単純に上乗せすると売上は2,600億円、営業利益は230億円規模となる。同社が中期目標として掲げてきた売上高3,000億円、営業利益250億円も射程圏に入り、シナジー創出も含めて今後の展開が注目される。
■Key Points
・2023年3月期は売上高過去最高を更新
・2024年3月期は新店・M&A効果、新型コロナウイルス感染症からの回復等により過去最高業績更新を目指す
・第一三共エスファのグループ化により中期業績目標の売上高3,000億円、営業利益250億円が射程圏に入る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<AS>