ジーニー Research Memo(4):2023年3月期は売上収益・売上総利益が実質ベースで前期比30%超増(1)
[23/06/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
*12:04JST ジーニー Research Memo(4):2023年3月期は売上収益・売上総利益が実質ベースで前期比30%超増(1)
■業績動向
1. 2023年3月期の業績概要
ジーニー<6562>の2023年3月期の連結業績は、売上収益6,455百万円、売上総利益5,142百万円、営業利益2,457百万円、税引前利益2,279百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益2,114百万円となった。同社は2023年3月期第1四半期よりIFRS会計基準を任意適用したため前期との増減は記載していないが、売上収益・売上総利益は、実質ベースで前期比30%超となる高い成長率を達成した。
インターネット広告市場は、コロナ禍で影響を受けたものの、社会のデジタル化を背景に検索連動広告をはじめとする運用型広告、動画広告が増加した。CCI/D2C/電通/電通デジタル/セプテーニ・ホールディングス「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、2022年のインターネット広告媒体費は前年比15.0%増の2兆4,801億円となり、2023年には2兆7,908億円まで拡大すると見込んでいる。こうした事業環境を背景に、広告主側と広告媒体側双方の収益を最大化するインターネット広告プラットフォームを提供する同社は、市場を上回るスピードで成長している。なお、北米、インドなどをマーケットとしてインターネット広告のディスプレイ広告収益の向上サービスを提供している米国Zeltoを、2023年2月に子会社化した。これにより、持分の時価評価益16.2億円を一時的に計上したため、営業利益以下の利益が大きく膨らんだ。営業利益では、併せてソフトウェアの除却損を2.8億円計上した。一過性の利益が合計で13.4億円となる。これを控除すると営業利益は11.1億円となり、前期のソフトウェア減損2.0億円を控除した営業利益7.9億円と比較すると前期比40.5%の増益となった。
2. セグメント別業績
(1) 広告プラットフォーム事業
広告プラットフォーム事業は、売上収益3,918百万円、売上総利益3,280百万円、セグメント利益2,163百万円となった。サプライサイド(広告媒体側)に提供するプロダクト「GENIEE SSP」のアップデート、新たにリリースしたWeb広告ページの長さやユーザー行動に応じた柔軟な配信制御を可能にする「GENIEE Auto Ads」のプロダクトの開発・拡販、Google提供のDSP「ディスプレイ&ビデオ360」と連携したデジタルOOH領域での新規取引などにより、広告の配信面と流通量を拡大した。
2023年3月期第4四半期は欧米の金利上昇に伴うリセッションの影響を受けた海外に加え、国内においても広告収益単価が低下し、売上総利益は四半期ベースで第4四半期は前年同期比13%増と伸び悩んだが、通期では前期比22%増と伸長した。プロダクトの提供社数は、四半期ベースではやや横ばいで推移した。1社当たりの売上収益単価については2023年3月期第4四半期で落ち込んだものの、2022年3月期通期の平均単価を上回っている。
(2) マーケティングSaaS事業
マーケティングSaaS事業は、売上収益1,976百万円、売上総利益1,440百万円、セグメント利益85百万円となった。2021年3月期は売上総利益が全体の20%弱を占める事業であったが、約28%まで拡大した。営業管理システム及び顧客管理システム「GENIEE SFA/CRM」とクラウド型コールセンターシステム「BIZTEL」との連携や機能強化や、「GENIEE CHAT」のLINE/Facebookボット「Engagebot」の提供先拡大が事業をけん引した。また、ChatGPTを用いたメッセージ自動作成機能などもリリースした。その結果、売上総利益は前期比67.4%増と大幅に伸長した。一方でプロダクトの開発費用など初期費用が多く発生し、セグメント利益は減益となった。
マーケティングSaaS事業はマーケティングプラットフォームを顧客に提供し、利用料を課金するリカーリングビジネスである。KPIとして有料アカウント数・解約率、リカーリング比率やARR※1、ARPA※2が重要視される。有料アカウント数は順調に伸びており、解約数も1%を切る状態をキープした。2023年3月期の売上収益、ARRはそれぞれ前期比で66.7%増、同97.8%増と大きく成長した。リカーリング比率も前期比4.2ポイント上昇し高い水準をキープした。ARPAは前期比9.1%減となったが、これはエンタープライズ領域の顧客が増加したため単価が低下したことが主因である。
※1 ARR(Annual Recurring Revenue)とは、年間経常収益。
※2 ARPA(Average Revenue Per Account)とは、1アカウント当たりの平均売上収益。
(3) 海外事業
海外事業は、売上収益783百万円、売上総利益520百万円、セグメント利益338百万円となった。第4四半期に米国のリセッションの影響を受けたものの、アプリ(アプリへの広告出稿事業者・アプリ運営事業者向け「GENIEE SSプラットフォームor App」及び「GENIEE DMプラットフォームor App」)が伸長し売上総利益は前期比で約2倍と、過去最高益を更新した。2023年2月に米国Zeltoを子会社化したことで、同社の「GENIEE SSP」などとの連携・機能の拡充が実現し世界各地のインターネットメディアに価値を提供することが可能となった。今後の海外事業の成長が期待されると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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■業績動向
1. 2023年3月期の業績概要
ジーニー<6562>の2023年3月期の連結業績は、売上収益6,455百万円、売上総利益5,142百万円、営業利益2,457百万円、税引前利益2,279百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益2,114百万円となった。同社は2023年3月期第1四半期よりIFRS会計基準を任意適用したため前期との増減は記載していないが、売上収益・売上総利益は、実質ベースで前期比30%超となる高い成長率を達成した。
インターネット広告市場は、コロナ禍で影響を受けたものの、社会のデジタル化を背景に検索連動広告をはじめとする運用型広告、動画広告が増加した。CCI/D2C/電通/電通デジタル/セプテーニ・ホールディングス「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、2022年のインターネット広告媒体費は前年比15.0%増の2兆4,801億円となり、2023年には2兆7,908億円まで拡大すると見込んでいる。こうした事業環境を背景に、広告主側と広告媒体側双方の収益を最大化するインターネット広告プラットフォームを提供する同社は、市場を上回るスピードで成長している。なお、北米、インドなどをマーケットとしてインターネット広告のディスプレイ広告収益の向上サービスを提供している米国Zeltoを、2023年2月に子会社化した。これにより、持分の時価評価益16.2億円を一時的に計上したため、営業利益以下の利益が大きく膨らんだ。営業利益では、併せてソフトウェアの除却損を2.8億円計上した。一過性の利益が合計で13.4億円となる。これを控除すると営業利益は11.1億円となり、前期のソフトウェア減損2.0億円を控除した営業利益7.9億円と比較すると前期比40.5%の増益となった。
2. セグメント別業績
(1) 広告プラットフォーム事業
広告プラットフォーム事業は、売上収益3,918百万円、売上総利益3,280百万円、セグメント利益2,163百万円となった。サプライサイド(広告媒体側)に提供するプロダクト「GENIEE SSP」のアップデート、新たにリリースしたWeb広告ページの長さやユーザー行動に応じた柔軟な配信制御を可能にする「GENIEE Auto Ads」のプロダクトの開発・拡販、Google提供のDSP「ディスプレイ&ビデオ360」と連携したデジタルOOH領域での新規取引などにより、広告の配信面と流通量を拡大した。
2023年3月期第4四半期は欧米の金利上昇に伴うリセッションの影響を受けた海外に加え、国内においても広告収益単価が低下し、売上総利益は四半期ベースで第4四半期は前年同期比13%増と伸び悩んだが、通期では前期比22%増と伸長した。プロダクトの提供社数は、四半期ベースではやや横ばいで推移した。1社当たりの売上収益単価については2023年3月期第4四半期で落ち込んだものの、2022年3月期通期の平均単価を上回っている。
(2) マーケティングSaaS事業
マーケティングSaaS事業は、売上収益1,976百万円、売上総利益1,440百万円、セグメント利益85百万円となった。2021年3月期は売上総利益が全体の20%弱を占める事業であったが、約28%まで拡大した。営業管理システム及び顧客管理システム「GENIEE SFA/CRM」とクラウド型コールセンターシステム「BIZTEL」との連携や機能強化や、「GENIEE CHAT」のLINE/Facebookボット「Engagebot」の提供先拡大が事業をけん引した。また、ChatGPTを用いたメッセージ自動作成機能などもリリースした。その結果、売上総利益は前期比67.4%増と大幅に伸長した。一方でプロダクトの開発費用など初期費用が多く発生し、セグメント利益は減益となった。
マーケティングSaaS事業はマーケティングプラットフォームを顧客に提供し、利用料を課金するリカーリングビジネスである。KPIとして有料アカウント数・解約率、リカーリング比率やARR※1、ARPA※2が重要視される。有料アカウント数は順調に伸びており、解約数も1%を切る状態をキープした。2023年3月期の売上収益、ARRはそれぞれ前期比で66.7%増、同97.8%増と大きく成長した。リカーリング比率も前期比4.2ポイント上昇し高い水準をキープした。ARPAは前期比9.1%減となったが、これはエンタープライズ領域の顧客が増加したため単価が低下したことが主因である。
※1 ARR(Annual Recurring Revenue)とは、年間経常収益。
※2 ARPA(Average Revenue Per Account)とは、1アカウント当たりの平均売上収益。
(3) 海外事業
海外事業は、売上収益783百万円、売上総利益520百万円、セグメント利益338百万円となった。第4四半期に米国のリセッションの影響を受けたものの、アプリ(アプリへの広告出稿事業者・アプリ運営事業者向け「GENIEE SSプラットフォームor App」及び「GENIEE DMプラットフォームor App」)が伸長し売上総利益は前期比で約2倍と、過去最高益を更新した。2023年2月に米国Zeltoを子会社化したことで、同社の「GENIEE SSP」などとの連携・機能の拡充が実現し世界各地のインターネットメディアに価値を提供することが可能となった。今後の海外事業の成長が期待されると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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